「治療日記」カテゴリーアーカイブ

原坊の朝顔の種

昨日夕方、患者様が朝顔の種を持って来て下さいました。

その患者様は、赤ちゃんからするとおばあちゃんです。

長らく赤ちゃんが授からない娘さんのために、当院で配布していた朝顔の種を大切に育てたそうです。

この種を含め、今年赤ちゃんを授かった方からの朝顔の種がたくさんありますので、来年の2月からまた配布を始めます。

当院では2011年から配布しています。

昨年の記事をぜひご高覧下さい。

https://sanpei89in.com/blog/?p=2164

ストレスは首肩の凝りに現れる

木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付は、19時30分までとなります。 (当日の18時までにご連絡ください)

 10月の日曜と祝日診療は、1日、8日、9日、15日、29日です。

日曜診療は原則前日までに予約が必要で、急患の場合でも日曜朝9時までにご連絡ください。(予約分の診療が終わった段階で終了します)

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今日もストレスを抱えた患者さんが大勢いらっしゃいました。

肩こり、頭痛、めまいなどはいうに及ばず、腰痛などにも日常のストレスが強く関与します。

また中高年以降は睡眠の質が低下し、寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める・朝方早くに目が覚める・日中眠い、活力が出ない、などなど。

こうした方は、首肩こりが非常に強かったりします。

下の写真の緑のシールを貼ってあるあたりが凝ります。

こうしたツボに鍼灸を行うと、鍼の刺激が非常に心地よく、うっとりとします

いろいろなところで鍼灸の講演をさせていただきますが、そんな時いつもスライドで入れる動画です。

うっとりとした鍼灸の刺激で、セロトニンやドーパミンといった神経関連の物質が増えるという報告が多くあります。

ピンクのマーキングは日本の福田文彦先生の研究です。

脳の報酬系と言われる、鍼灸のストレスに関連する研究は有名な研究者です。

下の写真の真ん中がその福田文彦先生。左は先日、お墓参りでばったり再会した山田朋樹先生(精神科医・樹診療所・三瓶の同級生)

5年前にわが福島県鍼灸師会の創立70周年の時、お二人の先生に記念講演をお願いしたのでした。

その際に、記念祝賀会の2次会を郡山エキナカの『もりっしゅ』でひっそりと開催。

『鍼ってストレスに効くのですね』と、盛り上がりました。

親を看取ると言うこと

ずっと、何年も当院に通われている自営業の男性の方がいらっしゃいます。

母親から受け継いだお店を立派に守り、母親はもうだいぶ早くに他界されました。

勤め人であった父親は、その後、だいぶ長生きをされたそうですが、認知症を発症されました。

自営業の患者さんは、いわゆる『家を継いだ』ので、独身であったので家業をしながら認知症の父親の面倒をずっとみておられました。

デイサービスに行った話、あまり事情をよく知らない、『外野』である兄弟たちの話、

治療に来られると、いろいろ話てくださいました。

仕事をしながら認知症の親の世話を1人でするなんて、並大抵ではありません。

その父親も虹の橋をわたり、母親の待つ天国へと旅立たれました。

今まで本当に大変でしたが、認知症の親を看取ると言う苦労より、親と一緒だった楽しかった思い出ばからりの夢を見るんです、と治療の際にお話下さいました。

最後まで親孝行をされた方の言葉なのでしょう。

鍼灸の効果 体質改善

不妊治療などでの、妊娠体質や卵の質の改善、またアレルギーや認知症の予防など、鍼灸治療ではありとあらゆる症状や疾患に人間の本質的な体の状態を改善させることを目指します。

例えば不妊治療では、何度も採卵を行い、次第に卵の質が低下してきたり採卵できる数が少なくなってきたりします。

これは治療期間が長くなればその分だけ体は老化します。卵巣の老化は考えているより早いことが多いです。

また薬や注射で卵巣を刺激すれば、それだけ卵の在庫を多く使うことになり卵巣の老化を早くします。

鍼灸やこうした老化を防ぎ、場合によっては若返らせる効果があります。

例えば下に2つのグラフは、ある難病の方の腎機能の指標である推定GFRとクレアチニンの推移を追ったものです。

推定GFRは、腎臓での濾過量を表しています。腎臓が老化するとこの数値は低下します。

この患者さんは、40ml/分/1.73立方メートルでした。1分間に40mlしか濾過していない状態でしたが、鍼灸治療を行うと12日目から濾過量が増えて、正常域まで改善しました。

通常、年齢とともに腎機能が落ちてきますが、年齢以上に悪化していくものが慢性腎不全(CKD)と言われています。

この方は病院での診断で、難病のほか慢性腎不全と言われていました。

 

同じ方のクレアチニンです。

やはり鍼灸開始後、10日目以降からクレアチニンが改善し、正常域になっています。

腎機能は生命力を表しているともいわれます。あらゆる症状や疾患の治療や予防に大切な機能ですし、人間の根源的なエネルギーを表しますので、不妊治療での卵子改善や男性不妊での精液所見改善にも必要なものだと思います。

なお鍼灸治療によって改善した腎機能は、鍼灸治療中止により緩やかに元の状態まで悪化してきます。その期間は結構長く、3~半年くらいのようです。

そのくらい鍼灸は効果があるのでしょう。

いろいろな症状が改善しても、2~3週に1回くらい鍼灸治療を行い健康管理をしていると、どんな方でも年齢以上に若い体になっていきます。

さかごの鍼灸治療

当院では、不妊や妊活治療を得意治療に掲げております。

現在まで、全国の多くの鍼灸師会や学会などで、当院の治療について講演させていただきました → 学会発表・講演歴

そのほか、、つわり症状、さかご(骨盤位)の方が良く来院されます。

当院での鍼灸治療でのさかごの改善率は、80%以上です。
ある年は、25人以上、連続で改善した時もあります。

26人目か27人目か、3回で来院をあきらめ帝王切開で分娩された方がいて、非常に残念な思いをして以来、改善率の追及をやめました。安全に治っていただく、それが最善です。

なぜにさかごが鍼灸で治るのか?

以下の科学的な理由があります。

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フランシスコ・ガルディニ『骨盤位矯正に対する灸の効果』
JAMA(米国医師会雑誌)1998;280(18):1580-4

・左右の至陰(足にあるツボ)に、15分ずつ棒灸を行う。

・結果、胎動回数が増加(平均35.35回→48.45回に増加)
頭位回転数も増加(62/130→98/130)

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高橋佳代『骨盤位矯正における温灸刺激の効果について』
東京女子医大誌1995.5(10)801-7
・実験と結果
至陰穴に温灸後、胎動が有意に増加し、施灸後15分で減少してきた。超音波ドップラーにて、子宮動脈(UtA)、臍帯動脈(UmA)の血管抵抗を調べてみると、施灸後が有意に低下している。
・考察
灸による子宮循環抵抗の低下は、子宮筋のトーヌスの低下を起こし、子宮筋の弛緩は胎動を容易にさせた。

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以上、鍼灸を行うと子宮動脈、臍帯動脈の血管抵抗が低下して血行が改善することにより、子宮筋が弛緩(柔らかくなる)というのが鍼灸によるさかご改善のエビデンスです。

なお、さかご(骨盤位)や正常の頭位は妊婦さんの腹部の触診ではまずわかりません。これは熟練した産科医でも確実にはわからないといいます。

そもそも、さかご(骨盤位)の発見は、スコットランドの医師、ウィリアム・スメリー(1697-1763)が世界で初めて発表されたそうですが、同じ時期・江戸時代の賀川流産科術・賀川玄悦が1765年に発表されています。資料にもよりますが、賀川玄悦が世界で最初にさかごを発見したともいわれています。

賀川流産科術の教科書 東京上野の科学博物館『医は仁術展』にて

つまり、超音波診断が登場するはるか以前、胎児は分娩直前に頭が下になって生まれてくる、と考えられ、さかごの概念がなかったとのことです。

加賀流産科術の、産科の模型 同じく医は仁術展より

私も妊婦さんを触診してさかごかどうか判別できませんので、治療の際には参考に超音波を使っています。胎児は通常、前にしか回転しませんので、鍼灸施術後は胎児の背中が上になるよう、妊婦さんに指導しています。

これもさかご治療の高改善率に寄与しているのでしょう。

当院のさかご治療は、超音波による観察料も含め1回4,300円です。治る方はだいたい5回以内の治療で治りますが、来院時の週数やさかごになってからの日数によりなかなか治りにくい方もおられます。

5回以上で治らなかった場合、6回目からは2,300円に施術料金を調整して患者さんの負担を軽減しています。

 

だいぶ前(2014年)に書いたブログの記事を思い出しながら書きました。
http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=1015

今年初の診療日記、初妊娠

10年に1度の大寒波だそうで、なるほど気温も大変低く、雪もちらほら。この程度だったら、まぁ普通の雪なんじゃないかなと。

不妊治療に健康保険が使えるようになり、想像していたことですが鍼灸院に来院する方もだいぶ減ったように感じます。

それでも、以前から何度も体外受精を受けられてそれでも妊娠されなかったような方など、だいぶ以前から通院され、良い卵が多く取れるようになり、昨年より無事妊娠20週を迎えて卒業されるかたが続いています。12月の卒業は5名で、今月の卒業が1名となり、さすがに通院中の不妊患者さんが減ってきました。

 

昨日は3名の妊娠された方が来院

昨日は、自然妊娠できそうでなかなか授からなく、とうとう体外受精まで来てしまった30代初めの患者さんの、初めての妊娠判定後の来院でした。

結果は3週5日の判定で血中hCGが50、4週0日で320以上。しっかりした陽性だったようで、遅かったですが今年初めての妊娠例となりました。

毎回、黄体期後半は基礎体温表を確認する私も緊張します。
逆に、もう基礎体温表は記録しなくてもいいですよ、と告げるときは大変うれしいものです。

郡山市の乾マタニティークリニックが診療していたころ、1月4日の診療開始の日に8名の妊娠陽性があったと乾マタニティークリニックの培養士の菊地瑛子先生に聞いたことがありますが、実はこのうちの4名が当院の患者さんでした。この年は当院の妊娠例が80名を超えた年でした。

多分こんな時代はもうないのでしょう。ここ数年は年間の妊娠数は40~50くらいです。また年間の不妊の新患数は70名くらいです。

数回以内に来院しなくなった方を除き、妊娠率にすると、まじめに通院された方については大まかに70%くらいの妊娠率になると思います。

昨日は、30代半ばの方が妊娠中の腰痛で来院しました。

この方は不妊で当院へ来院された方でした。
自然妊娠した後流産し、その後なかなか妊娠しないため当院へ来院。途中で西那須野の石塚産婦人科さんを紹介させていただき、病鍼連携して治療していて妊娠されました。

妊娠も23週の中期ですが、看護師さんでとても頑張り屋の方。腰痛があってもお仕事を頑張っていたそうです。

妊娠中は、湿布は使えません。特に妊娠中期以降は胎児の腎動脈を細くするような副作用があるといわれています。

昨年末に妊娠19週を過ぎ、もう流産はないだろうといったん鍼灸を中止しましたが、仕事も大変ですし、妊娠による体の負担は大きくなるばかり。肩こりや頭痛もあるので、副作用のない鍼灸を行いました。

治療が終わって一応は念のため、胎児の確認をエコーで行います。これは病気の診断ではなく、鍼灸治療後にも胎児に異常はないか確認するために当院では妊婦さんの治療の際はなからず行っているものです。

23週ともなると胎児も大きくなります。男の子だそうで、元気に子宮内であちこち蹴っているそう胎動も激しいのだそうです。

また昨日は、夕方に妊娠30週の妊婦さんが来院しました。
この方はご縁のある方で、二本松の渡邊健先生が中学校の教壇に立っていた時の教え子さんでした。

もともと不妊で当院に来院されましたが、数回の治療で妊娠された方です。当院の妊娠基準からすると、『当院の治療は関係なく』自然に妊娠された方で、当院の妊娠率には関係のない方となります。

当院の妊娠数計算の基準

当院では自然妊娠や人工授精の妊娠数を計算する場合、1)治療期間に最低1回の月経期間が入ること。最低4回の治療を行っていることとしています。この方は3回の治療後、4回来院の際に妊娠が判明した方でした。

大寒波とかで、雪も降って治療室もヒマで(;^ω^) そろそろこの基準に照らし合わせ、当院の妊娠率についてカルテを数えてみようかな?と思います。

 

 

日曜は診療の傍ら研究を

コロナ禍になって、日曜日によくあった会議はリモートでしかも平日開催。

学会も研修もなくなり、やがてリモート開催に。

そんなわけで手持無沙汰な休日の日曜を半日診療したり、通常の診療日になかなかできない男性不妊のスクリーニングを行うことにして早2年。

朝早く犬の散歩を済ませ、マックか吉野家で朝食を。

朝食を食べ終えて店を出ると見事な朝焼けが・・・

この日は雪化粧になったのでした。

いや~寒い寒い。。。

朝8時から精液検体を持ち込んでいただき、1ミリリットル中の精子の数、運動する精子の数、運動の様子を観察します。

いろいろレンズを試しましたが、オリンパス製が一番良いようです。顕微鏡部門を売り飛ばしたそうですが、ちょっと寂しいですね。

だいたいが女性ばかりが治療に来ますが、もし夫のほうに男性不妊があって、知らずにのんきに奥さんだけに鍼灸を行っていたのでは手遅れになる時があります。

この日測定したご主人の精液は、実にエクセレント!

 

 

 

 朝からいいもの見せていただきました(笑)

 

 

 

 

数も多く、運動精子も多い。だけど寒さのせいか、動きがちょっと遅いかな。

念のため、亜鉛などのサプリを摂取することをすすめました。

精液を一滴(正確には10μℓ)載せるためにマイクロピベットを使い、マクラ―・カウンティング・チャンバーという、一種の計算盤に載せて精子を数えます。

この計算盤、メッチャ高価です。

それでも1個使用すると、使用後に洗浄~乾燥~消毒を行うので最低半日は使用できません。

そんなわけで当院では予備にもう1個購入してあります。

なお、室温が低い時期には計算盤や顕微鏡のレンズが曇ったりするので、検鏡の最低1時間前には治療室のエアコンを入れて室温を上げるようにします。

なかなか手間がかかるし、大変なんです。

この精液測定は、現在当院の患者さんのみ無料で行っています。

前日までの予約制で、私は朝7時に来ていますので当日キャンセルは不可です。さすがに当日に無断キャンセルした方は、次回から有料(6千円で前払い)になります。

妊娠初期の鍼灸治療について

当院での不妊治療・妊活治療で妊娠された方へは、20歳代、不妊歴が1年程度などで自然妊娠された場合などは、妊娠第12週くらいで鍼灸治療を終了します。

これは、流産などは無治療で妊娠された方と差異はないと考えているためです。まぁ鍼灸を続けても続けなくても、心配ないでしょう。

ただし、つわり症状や肩こり腰痛などのマイナートラブルがあれば、必要に応じて1週に1回~2週に1回程度の鍼灸治療をすすめる場合もあります。

35歳以上、また体外受精などで妊娠された場合は、妊娠第12週までは1週に1回の治療を続け、妊娠第12週以降は20週まで、2週に1回の治療をおすすめしています。

体外受精で授かった場合、多くはそれまでさまざまな治療をステップアップで進めてきた方が多く、また年齢も高くなっています。

体外受精で、例えば40歳で妊娠されると流産率が40%を超えるという報告もあります。

初期の流産は7割が偶発的な染色体異常といわれ、そもそも鍼灸で流産予防はできませんし、可能だとすればそれはそれで問題です。流産も必要あって起こる場合があるからです。

初期の流産の3割は黄体機能不全などホルモン環境などに原因があるそうで、これは母体が健全であれば防げるものと考えます。鍼灸の出番があるところです。

 

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もう数年も前の話です。

極端な肥満があり、年齢も40歳以上。それで体外受精で妊娠したら妊娠高血圧になった方がいました。ハイリスク妊娠で危険なので、妊娠後も管理的な鍼灸を続け、第27週までがんばって持たせて帝王切開で分娩し、児はNICUへ。

たまにランチを食べに行くお店で、かわいい女児が『ただいま~』と元気にランドセルを背負って飛び込んで帰ってきます。
ママも頑張って産んだ子供。

まだ顔つきにNICU卒業生のようにか弱いところが残っていますが、元気なかわいい女の子です。

妊娠されても、もし年齢が高かったら、不妊歴が長かったら、もうちょっと鍼灸を続けてみて下さい。