月経不順 無月経

多くは排卵障害によって起こります。

 

大きく分けると、卵巣に原因があって無月経になるもの、と、排卵を促すシステムに問題がある脳下垂体性の無月経が原因になります。

鍼灸治療の効果が現れにくい、卵巣性の第二度無月経や、鍼灸治療のよく効く脳下垂体性の第一度無月経による月経不順があります。

すでに専門医の治療を受けている場合は、行っている治療内容をお聞きすると大体の判断ができます。

 

当院では、卵巣の血流を改善する治療のほか、脳下垂体の働きを改善する目的でレーザーも使います。

 

 

多嚢胞性卵巣(PCO)と鍼灸

年齢の若い方の月経不順に、多嚢胞性卵巣は大変多いです。

 

月経の周期が長くなる場合(39日以上・希発月経)は不妊の原因になることがありますので、治療の対象にします。

専門医の治療と同時に鍼灸を行うことが出来ます。

 

鍼灸は、ホルモンの環境を改善することが期待でき、また一部のPCOSの患者さんにはインスリン抵抗性や耐糖能異常があることから、糖尿病治療に用いるツボを使って治療します。

 

軽症では鍼灸だけでも十分な効果がありますが、70日以上も月経がない場合は専門医との治療も同時におすすめます。

 

当院では、専門医によるクロミッド処方、またフォリスチム+セトロタイド、ガニレストなどを使ったアンタゴニスト周期による体外授精などを行う患者さんにも鍼灸治療を行っています。

 

AMH高値(抗ミューラー管ホルモン)の方が多く、特に体外授精のための排卵誘発ではOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になりやすい体質の方が多いようです。

肥満傾向のある患者さんには、体重10%程度のダイエットを強くおすすめいたします。  

 

 

関連ページ

・妊娠しやすい体質への改善 → http://www.sanpei89in.com/tex/funin.html (排卵障害などの治療となるホルモン環境の改善について)

・卵巣機能向上・卵胞・卵子の質の改善 → http://www.sanpei89in.com/trx/funin3.html (卵子成長・卵子の質の改善)

・海外のPCOSに対する鍼灸の効果の文献 → http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=743

・難治性のPCOS → http://sanpei89.rakusaba.jp/?p=561

 

 

多嚢胞性卵巣の症例

以下に、過去にクロミッドによる排卵誘発を行い、次に腹腔鏡による電気的卵巣焼灼術+排卵誘発+人工授精4回行ったが妊娠せず、その後自然妊娠された症例を紹介いたします。

 

この患者さんは平成22年2月に無事妊娠20週を迎えられ、症例としての当ホームページへの紹介を快諾されたものです。
(この患者さんが妊娠された直後の昨年10月に、青森県八戸市で開催された北東北臨床研究会で講演させて頂いた際に使用したスライドより抜粋しました)

 

 初診時年齢 34歳  不妊歴3年

PCOSの鍼灸

 

 

当初は、不妊治療を行う専門医にて、クロミッドによる排卵誘発とタイミング療法を行っていたようです。
基礎体温上では2層になっているのは薬の作用によるもののようでした。

上記のBBT(基礎体温表)は、鍼灸治療を始める以前のものです。

 

 

基礎体温が2層性になっているのは、専門医でクロミッドを使って排卵誘発を行ったり、排卵を促すhCGを注射してるからです。

 

鍼灸治療をしながらクロミッドによる排卵誘発を行いましたが、なかなかな妊娠できないので、卵巣の表面にレーザーで小さな穴をたくさん空ける電気的卵巣焼灼術を行い、なおまたクロミッドによる排卵誘発と人工授精を行います。

この時期は体温が下がらず、不自然な状態で月経が来ていました。

 

(上記BBTで、黄緑色のラインが頚管粘液の分泌と思われる時期です、赤のラインは月経時期を表します)

 

約6ヶ月の間、人工授精を4回行いましたが妊娠できず、この患者さんは病院での治療を一時的に休止します。

そのため排卵誘発なども行わないので、1層性の基礎体温になります。


卵巣の手術後の自然排卵の効果は半年から長くても1年と言われています。

しかしながら人工授精を4回行っても妊娠できないでいることに大変悩んでおられる様子でした。

病院での治療を休んでいる時期は、鍼灸だけの治療を行いましたが、 100日以上も月経がない無月経の状態になりました。
様々な治療法を試してもなかなか改善しませんでしたが、やがてある治療法を見つけました。

普通の月経周期を持つ患者さんに対してその“ある治療”を行うと、排卵時期が必ず4~7日遅くなる現象があることがわかったのです。

この患者さんにその方法を試すと、50~60日くらいで月経が起きるようになり、次第に30~40日程度で月経が起き、また排卵の前頂である粘調性の頚管粘液が分泌されるようになりました。

 

 

いかがでしょうか? その後数周期、鍼灸治療を行うと、基礎体温も自然な2層性になってきました。

 

 

当院にて鍼灸治療開始後3年2ヶ月が経過しました。

その間にもAIHや卵巣の腹腔鏡手術などを行いましたが、鍼灸のみの治療周期で妊娠することが出来ました。

ただし、この患者さんの場合は、1年半前に遡って腹腔鏡による卵巣の電気的焼灼術を行っています。

長くても1年程度と言われるこの手術の効果ですが、この症例でもおそらく自然排卵を助けていたことは容易に想像できます。

ただ、自然排卵による正常な周期になって4周期程度で自然妊娠できたことは、鍼灸の効果によるものだと強く考えます。