妊娠しやすい体質への改善

●はじめに

当院の鍼灸治療は、まず体の冷えやストレス状態を改善し、自然な月経周期を目指します。 産婦人科で、『黄体機能不全』、『排卵障害』と言われたり、月経不順のある方はこの働きが悪い方が多いです。

 

また高プロラクチン血症や潜在性高プロラクチン血症と診断される方も多いようです。

 

これらは『妊娠しなくなる病気』なのでしょうか?

診断されると、ずっとかかわっていく病気と思いがちですが、これは『その時の状態』を表す病態名であり、調子が良いときはその病態から外れます。

(ただし排卵障害には病気としての第二度無月経なども厳密にはあります)

 

はじめに、これら上記の『病気ではないけど、妊娠しにくいホルモンの状態』を改善させることが必要です。

 

これらは、考える高等動物=人間であるゆえの、さまざまな社会的ストレスなどが関係し、下記の間脳(視床)~脳下垂体~卵巣などのシステムを『調子悪く』します。ただ、ストレスに対する治療として鍼灸は特に有効ですので、ご安心ください。

 

下記の図は、間脳(視床)~脳下垂体~卵巣の、排卵の起こるホルモンの仕組み(ネガティブ・フィードバック)の模式図です。

卵巣は単独で働いているわけではなく、常に脳の奥から分泌されるホルモンの働きによって、卵子・卵胞を育てたり、十分に発育した卵胞があれば排卵するようにホルモンの切替と、排卵させるためのホルモンが一気に放出されます。

 

ホルモンのフィードバック図

 

常に冷えを感じていたり、ストレスによって首や肩が凝るとか、寝起きが非常に調子悪い、と言うような方は、このようなホルモンの働きや切替がうまくできなくて月経の周期が乱れたり、基礎体温でも高温期が短いとか、綺麗な二層にならないとかの状態が起きやすくなります。

 

加齢による卵巣機能の低下や早発閉経等でなければ、週に2~1回の治療をおおむね3周期くらい続けると、基礎体温でもその効果が確認できるようになります。

 

 

関連ページ

当院ブログ 基礎体温と鍼灸
→ http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=599

当院ブログ 高プロラクチン血症・潜在性高プロラクチン血症と鍼灸
→ http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=549

 

 

子宮内膜症体質の改善

未妊・不妊期間が長い=月経の回数を多く経験する=起こりやすい子宮内膜症体質

 

子宮内膜症という病気がありますが、これはたとえば重度になれば卵巣や卵管の癒着を引き起こしたり、卵巣にチョコレート嚢種が出来たりします。

 

軽症な子宮内膜症は診断されること自体が少なく、主な症状である月経痛だけで済まされるケースが多いようです。

 

妊娠しにくい体質としては、この軽症な子宮内膜症などが腹水を免疫的に過剰にし、妊娠しにくい体質を作っています。

 

子宮内膜症の症状

 

・初潮の頃は強くなかったが、最近強くなってきた

・月経痛のために痛み止めを飲んでいる

・PMS(月経前症候群)がある

 

上記に思い当たる方は、子宮内膜症という診断がされていなくても子宮内膜症になりやすい体質として、当院では子宮内膜症体質と呼んでいます。

また子宮内膜炎の状態も同様だと思います。

 

東洋医学で言う肝鬱(かんうつ)・肝実(かんじつ)という証が多く、またストレスも関係しています。

 

 

子宮内膜症体質、子宮内膜炎の腹腔内免疫による不妊

妊娠は、受精卵や胎児という自己の組織だけではない一種の異物を10ヶ月間大切に育てるという免疫的には大変不思議な現象です。

 

妊娠が成立する少し前に、子宮内膜に受精卵が接着して着床しますが、子宮内膜症体質によって過剰な免疫が働いていると、この着床がまずうまくいきにくくなります。

 

また過剰な免疫が働いている腹腔の中の腹水では、サイトカインという数種の化学物質が産生されます。

 

子宮内膜症の方の腹水中では、その化学物質が原因で卵管が卵子をピックアップしにくくなったり卵子の成長を阻害するそうです。

 

下図は、子宮内膜症の腹水の生理活性が妊孕脳(妊娠のしやさ)に及ぼす影響をざっと挙げたものです。

 

子宮内膜症の腹水の悪影響

 

いかがでしょうか。

卵管が卵子をピックアップしにくくなるとか、初期の胚の成長が抑制されるとか、精子が泳ぎにくくるとか、悪い影響がたくさんあります。

 

そして、LUF(未破裂黄体化卵胞)の発生は3~4倍になるという事です。

LUFは、排卵しないで黄体になってしまう卵胞の現象です。

 

月経が28日周期の方は年間13回の排卵があることになりますが、子宮内膜症の方は13回の排卵のうち、4回に1回は排卵していない、という事になります。

しかもLUFは、排卵しなくとも基礎体温では2層性になることが知られています。

 

こうした子宮内膜症は及ぼす免疫的な不妊への影響は、r-ASRM(アメリカ生殖医学会)の分類でⅠ、Ⅱ期の軽症で起こりやすい、と言われています。

 

 

 

出産回数と密接に関係する、子宮内膜症の発生率

出産回数と子宮内膜症の発症率には密接な関係があります。

 

当院に妊娠希望で来院されている方は、圧倒的に1人目の妊娠出産を希望されている方々です。

つまり、未だに出産しない年齢で順調に月経だけは経験されている、ということです。

 


(出典 堤治著:生殖医療のすべて 丸善出版 ISBN978-4-621-07099-4)

 

たとえば、35歳で妊娠出産経験なし、13歳で初潮があった方だと仮定します。

上の図で、ピンクの楕円のあたりの罹患率となります。

 

出産回数が一度もない初経から20年経過の方では実に75%の方が子宮内膜症に罹患していた、と言うことです。

 

当院に一番来院の多いのは35歳以上の女性で、ピンクの楕円のあたりにいらっしゃる方だと思われます。

妻の結婚年齢が30歳を超えた場合は、仮に子宮内膜症と診断はされていなくとも、体質的に子宮内膜症になりやすい体質であると考えます。

 

当院では原因不明不妊の多くは、子宮内膜症や、実際に月経痛などの痛みの症状を現す『子宮内膜炎』が関与していると考えています。

当院では、鍼灸治療と自宅での灸治療をすすめています。

 

 

関連ページ

当院ブログ 自然妊娠を目指して・月経痛の改善
http://www.sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=801