当院の不妊治療、妊活治療の成績
(2011年1月~2013年12月 5年間)

 

●当院初診時に、当院に来院された方が受けていた専門医での治療状況は下記の通りになります。

 

当院初診時に受けていた医療

妊娠・出産希望で5年間に来院された患者さんの総数は391名になります。
(妊娠後流産され、また継続された方も1名に数えています)

 

医療機関に受診していない、または、服薬+タイミング治療など

・153名 39%

人工授精を行なっていた方
・75名 19%

体外受精を行っていた方
・163名 42%

 

平成28年には、出生する子供の21名に1名は体外受精で授かった子供であるという統計があります。

一昔前には大変敷居の高かった体外受精も、福島県で普通に受けられるという事は、隔世の感があります。

 

 

その全体391名の方が、一定期間当院で鍼灸治療を受けての結果

●荒っぽいデータの出し方ですが、上記391名の方のその後です。

 

当院で鍼灸を行った方の妊娠・非妊娠の割合

 

データ締め切り年の2015年になってからの来院の方も含まれていますので、『継続中(治療継続中)』の方が75名と多いです。

また3年超の、長期通院の方も数名いらっしゃいます。

 

通院5回以内で来院しなくなった方 46名、治療5回以内で妊娠された方3名 を除外し、治療継続中の方75名も除外し、ざっくりと言えば総妊娠率は62%になります。

 

ただし、『治療継続中』の75名には、3年超の長期継続者も含まれ、そもそも非妊娠者(残念ながら妊娠できなかった方)になりそうな方も含まれるだろうことから、これだけで当院の治療を行ったから62%の妊娠率になった、とは言えません。

 

もう一点、『非妊娠』の38%の方について、当院の治療を中止して三ケ月以内に自然妊娠されている方がたまにいらっしゃいます。

 

データを締め切り、数年たってから人づてに妊娠されたことを聞いたり、年賀状をいただいた際に、妊娠出産を知った、というパターンです。

 

鍼灸の効果は遅れて出てくることもありますので、治療終了後3~4ヶ月以内の妊娠は鍼灸の効果があると考えます。

一応の参考データとして掲示します。

 

 

初診時に、専門医で積極的な治療を行っていなかった方153名について(人工授精未満の方)

●次に、専門医での治療を受けていなかった方~服薬や+タイミング指導くらいの治療だった方です。

 

鍼灸を行って自然妊娠した内訳

 

ざっくり言う分析すると、治療5回以内で来院中止(妊娠2名、脱落30名)、治療継続中27名を抜くと、何らかの形で妊娠された方は78%となりました。

 

ただし、自然妊娠を目指して鍼灸治療を行い、1年、2年と経過していき最終的に専門医の方でステップアップし体外受精で妊娠された方が7名7%いらっしゃいます。

 

人工授精での妊娠率が低いですが、そもそも、人工授精の妊娠率はあまり高くありません。

このグループで特に目立つのは、全年齢層で特に性交回数が少ないご夫婦が多かったように思います。

 

また残念なのは、早期に妊娠しないまま治療を中断された(脱落)30名の方で、そのまま治療を継続していれば結構な確率で妊娠されたのではないかと考えます。

 

 

 

初診時に、人工授精を行っていた75名について

●大半の方が、すでに人工授精を3~6回行い妊娠せず、体外受精などのステップアップを勧められている状況でした。

 

人工授精を行っていた方の妊娠率

 

・除外は10名(5回以内で脱落9名、5回以内で妊娠1名)で、継続中は14名です。

上記を分析から外すと、何らかの形で妊娠された方は65%になりました。

 

自然妊娠は31%、引き続き人工受精での妊娠は20%、体外授精までステップアップしての妊娠は14%となりました。

 

数度の人工授精で妊娠されなかった場合、すぐまたに続けず、しばらくの期間鍼灸を行って自然妊娠した方が多かった印象を裏付けるグラフとなりました。

 

 

 

当院初診時に体外授精を行っていた163名について

●当院に妊娠希望で来院する方の2人に1人以上は、体外受精を受けていらっしゃる方でした。

 

体外受精を行っていた方の妊娠率

 

・除外は7名で5%、継続中は34名で21%です。これを抜くと何らかの形で妊娠した方が50%となります。

何らかの形で妊娠とは言いますが、すでに体外受精を何度か失敗されている方たちです。

それでも驚くことに自然妊娠される方が、妊娠者の3分の1を占めます。まさに当院の治療の特徴を表しています。

 

平成29年12月現在で、体外受精胚移植9回で一回も陽性が出ず、それでも自然妊娠した45歳の方がいました。元気な児の出産を確認した最高齢は体外受精での44歳でした。

 

このグループは、専門医でもこれ以上の治療がないせいか、脱落される方は非常に少ないです。

 

当院では不妊鍼灸ネットワーク時代から習練していた陰部神経刺鍼法や、低出力レーザーなどを使い、また先代の三瓶悌一時代から一子相伝で行っている太極療法での鍼灸術を行い、まず1)妊娠しやすくなる体質へ、2)卵子の質の改善、3)子宮の状態の改善 以上を目指します。

 

しかし、そもそも体外受精そのものが『原因不明の長期不妊、高齢不妊』等に行っている実態があります。

体質が良くなっていると、自然に妊娠される場合もあるわけです。

 

ただし、あくまでもこのグループの場合は、体外受精での卵質の改善や、獲得卵子数の増加、子宮内膜の厚さ・質の改善などから次の体外受精の成功率を高めることを目的とします。

 

限られた時間を無駄にしないよう、今後も当院では研究にしたいテーマです。