子宮と黄体の働きの改善

●~黄体機能不全、基礎体温で高温層がはっきりしない方へ~

 

産婦人科へ受診し基礎体温をドクターに見て頂くと、『黄体機能不全かな?』と言われる方が良くおられます。

その周期に排卵した状態が良くなかったりして起きるもので、決して病気ではなく、その時の『排卵後の状態』を表します。

 

基礎体温上で、高温期が9日未満であるとか、低温層の平均と高温層の平均の差が0.3度以内であるとか、排卵後のプロゲステロン値が10ng/ml未満であると言われます。

 

黄体ホルモンの働き

 

 排卵は、その周期の数周期前の排卵などのホルモン状態が関与します。

 数周期前からの卵胞の発育が悪いと、続く排卵後での黄体が良く働かなくなります。

 FSHやLH等のホルモンの状態を改善させる必要があります。

 

これに対しての鍼灸治療は、自然で良好な月経周期を目指し、良い状態の卵胞を育てる治療を行います。

具体的には、低出力レーザ―と、脈や舌の状態を診ながらツボを選んで鍼灸を行ないます。

基礎体温でもはっきりした高温期が現れない、また高温期があっても日数が短い、黄体期(高温期)でも子宮内膜が薄いなどとと言った黄体機能の働きが悪い不妊には鍼灸は良い効果があります。

 

 

自然なホルモンの状態を目指します

●卵巣で卵胞を育て、やがて排卵へ進むホルモンの働きは『ネガティブ・フィードバック機能』と呼ばれ、脳の中に中枢があります。

この中枢の働きは、ストレスに非常に弱く、大変デリケートに出来ています。

 

フィードバック機能

 

鍼灸は、冷えやストレス状態にある体の状態を改善し、自然な状態で質の良い卵子の排卵を目指します。

専門医での排卵誘発や人工授精、体外受精などの治療中は、体外からの薬や注射に頼って自然な排卵が損なわれがちです。

 

連続して行うよりも、ときどきは鍼灸などでストレス状態を緩和しながら続けると良いです。

 

加齢による卵巣機能の低下や早発閉経等でなければ、週に2~1回の治療をおおむね3周期くらい続けると、基礎体温でもその効果が確認できるようになります。

 

 

 

子宮の働きの改善

●黄体に良く反応する、血行の良い子宮を目指します。

自然妊娠だけではなく、体外授精での胚移植前などにもこの治療法を行います 。

当院では、全身的な診察と基本治療の後、子宮や卵巣の血行改善を目的とした独自のハリ通電治療を行います。

骨盤周囲の副交感神経を刺激することにより、ハリ治療による子宮の血行改善は医学的にも証明されています。

  

佐藤優子(筑波大学生理学教室教授)らの研究
J.Auton.Nerve.Syst.1996;59;151-1558.1996
麻酔ラットを用いた実験
1)遠心性神経刺激による子宮血流の変化を調べ、
・下腹神経遠心路刺激(交感神経刺激)→子宮血流は平常時の70%へ(減少する=胎児には悪影響)
・骨盤神経遠心路刺激(副交感神経刺激)→子宮血流は平常時の125%へ増加する。(=子宮への血行が改善した

 

 

明生鍼灸院(名古屋)での研究

(第51回全日本鍼灸学会学術大会で発表)

・鍼治療により、子宮動脈、子宮放射動脈の血管抵抗が明らかに少なくなった。(=子宮への血流が改善した

・子宮動脈の血流改善は子宮内膜を厚くし、子宮放射動脈の血流改善は、子宮内膜の質を改善すると解釈します。

 

※リンクを張るにあたり、不妊鍼灸ネットワーク顧問の明生鍼灸院院長 鈴木裕明先生より許可を頂いております。

 

 

当院も、名古屋の明生鍼灸院で研修を受けています。

 

不妊症の勉強会写真

子宮の血行を改善し、子宮内膜を厚く良い状態にする、また体外授精などでの採卵で、卵子の老化により良い卵子が採卵できない、卵子のグレードが良くない、などに対する治療について、平成25年3月に、名古屋の明生鍼灸院にて研修を行いました。