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子宮内膜症と不妊、とくに着床阻害について(不妊鍼灸ネットワークでの講義内容)

名古屋での私の講義の持ち時間は30分。
テーマは『子宮内膜症で』と、明生鍼灸院の木津先生からお題を指名されたので、今回は着床を阻害する要因としての子宮内膜症に絞ってみました。

三瓶が口を開くと、あぁまた子宮内膜症か、、、と、参加者によっては5回も6回も聞かされていると思います。

それでも、原因不明不妊が難治性不妊の大部分を占める昨今の情勢の中、子宮内膜症を知れば知るほど、妊孕性を向上させるという曖昧な鍼灸の効果の一つに、この子宮内膜症がもたらす月経痛の改善効果があると思うのです。

着床とは、子宮の内膜に受精卵が接触した時から始まる一連の生理的生物的な反応ですが、その後の妊娠継続も含めて実に不思議で精巧なものです。

本来、授精した卵は母体にとっては異物であるはずです。
夫側由来の遺伝子と何かしらのエッセンスがあり、普通ならば母体が排除にかかります。

たとえば人体に無害なスギの花粉が鼻粘膜に接触すれば、花粉症の方は鼻炎を起こして花粉を排除しようとします。

話がそれましたが、妊娠や特に着床を阻害する子宮内膜症の話に戻ります。

子宮内膜症と不妊症・全体像
子宮内膜症と不妊症・全体像

子宮内膜症の女性不妊に及ぼす影響は実に様々です。
子宮内膜症に罹患すると、通常よりも腹水が多くなり、腹水中の免疫が亢進します。
この免疫が亢進した腹水がもたらす影響の一つとして、卵子のピックアップが悪くなり、また卵管内を泳ぐ精子の運動が阻害されるそうです。(参考文献1)

子宮内膜症の不妊要因3つ

また子宮内膜症は、進んだものになると卵巣でチョコレート嚢腫ができ、卵管内で繰り返し発症すると卵管が閉塞することが知られています。

今回のテーマは、子宮内膜症患者の腹腔内環境が不妊・特に着床にどういった影響があるか、についてでした。

 

子宮内膜書と着床障害

受精卵が子宮の内膜に接触しただけでは着床は始まらず、インテグリン、トロフィニンといったサイトカイン類の作用があって着床が開始されます。

その後、受精卵からはさまざまな信号や物質の移動が子宮内膜に向けて行われるそうです。

なお、着床の初期の接着を強固にするものとしては、精漿中に存在するケモカイン類が挙げられるそうです。
精漿中のケモカインが子宮の内膜に局所的な炎症を起こし、着床の準備状態が作られる可能性があるそうです(参考文献1)

 

ウサギを使ったHahnの実験(1)

子宮内膜症のウサギを作り、人工授精すると、通常の妊娠ウサギよりも大幅に胎児が少なかった、という実験。
アメリカの産婦人科雑誌に発表されました。

子宮内膜症ウサギの腹水を正常ウサギに腹腔内投与した実験

また子宮内膜症のウサギの腹水を、正常なウサギの腹腔内に投与して人工授精をしたところ、同様に平均胎児数より大きく減少した、そうです。

illeraの2000年に発表された実験

子宮内膜症患者(人間)の腹水を100倍に薄め、妊娠したマウスの腹腔内に投与したところ、胎児が大きく減少した。
(参考文献からは、妊娠前に投与とは書かれていませんでした)

以上はすべて子宮内膜症の腹水に、着床や妊娠を阻害する原因があることを示しています。

 

Edwardsの子宮内膜の実験 Lanset誌 1991年

一方、腹水ではなく『規則正しい周期で(妊娠せずに)月経が起こる子宮の内膜』に、着床や妊娠を阻害する要因があることを調べた実験もあります。

Edwardの仮説と、堤治先生の子宮内膜症の罹患率の説

Edwardsは、周期的に機能している子宮内膜には、着床や妊娠を阻害する因子が蓄積するのではないか?と仮説を立てました。

周期的に(妊娠せずに)月経がある子宮で、子宮内膜症が起こりやすい、とは、山王病院院長で元東大産婦人科教授の堤先生も言われております(文献3)

一方、子宮内膜症の主な症状は不妊のほかには強い月経痛があります。

鍼灸はその月経痛には大変良い効果があり、2~3周期の間、週に1~2回の治療を行うと服薬の必要がなくなったり、生活の質が大変向上します。

当院の考える、『妊孕性の向上

月経痛は子宮の収縮によるもののほか、骨盤内での炎症性病変が起こしているものだとすれば、これが改善するのはそういった炎症が少なくなることであり、すなわち着床・妊娠をを阻害する炎症性のサイトカインが少なくなるのではないかと当院では考えます。

子宮内膜症にはさまざまな重症度があり、アメリカの不妊学会ではそのステージを4つに分類しています。

重症度が高いほど、着床・妊娠を阻害するサイトカインが働くというのではなく、比較的軽症のⅠ期、Ⅱ期のものが、そういった生理活性が強いという報告もあります。(文献4)

月経痛があるかたは、その改善も妊娠しやすい体にするために大切なものとなります。

 

 

<参考文献>

後日掲げます

 

 

2014不妊鍼灸ネットワーク研修会 in 名古屋

(ブログの旧記事はhttp://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgiにあります)

6月に名古屋の明生鍼灸院で不妊鍼灸ネットワークの研修会を開催し、参加してきました。

私は、来年5月に郡山で開催される第64回全日本鍼灸学会の実行委員でもあり事務局長でもあるので、大会の企画について多くの先生のご意見を賜るべく、前泊での参加となりました。

前夜は不妊鍼灸ネットワーク唯一の北東北の会員で、岩手県盛岡市でラプレ鍼灸院を開業される石川良子先生の誕生日で、サプライズお誕生会となりました。

石川先生は大変に研究熱心で誠実な先生です。

不妊鍼灸ネットワークを設立される前にも、遠く岩手から私の不妊治療の講義を何度も受けに来てくれていました。

そのような研究熱心さから、不妊鍼灸ネットワークへお誘いし、入会していただきました。

また難しい症例などでは私のアドバイスを素直に聞いてくれて、難しい不妊症ばかり扱いながらも、何組ものカップルに子を授かるお手伝いをされました。

しかもこの春に、ご長男が医学部に合格されたんだとか。

親子で同じ道を歩まれることは、素晴らしいですね。

翌日は朝から夕方まで、びっしりと研修三昧。

研修の内容は、不妊鍼灸ネットワークの研修報告で私が書かせていただきました。ぜひご一読ください。

リンク → 不妊鍼灸ネットワーク 研修報告(名古屋)

講演1は、中村会長の不妊鍼灸ネットワークの設立の意義と、患者優先の治療院のあり方、について。

講演2は、私から、不妊要因からみた子宮内膜症を、文献的考察したものを話させていただきました。

お話の内容については、次のブログで書かせていただきます。

講演2は、アキュラ鍼灸院の徐 大兼院長から、患者さんの満足度を高める治療院のあり方、について。

昼食をはさみ、午後からは明生鍼灸院での治療内容のお話になります。

講演4は、明生鍼灸院副院長の木津先生。

明生鍼灸院での不妊症の研究は国内では文句なくトップであり、毎年の全日本鍼灸学会での発表はおなじみです。

難治性不妊で、特に体外受精などのARTで採卵の成績が良くない、採卵し授精させても卵子のグレードが良くない、などといった症例に有効な陰部神経刺鍼法の解説や効果などを客観的なデータをもってお話しいただきました。

データが揃っていて、刺鍼法をマスターすれば誰でも追試できるこの方法を実技での研修でも取り入れています。

当院でもひとつ前のブログの記事で書いた44歳で出産された方について、採卵前はずっとこの手法で治療を行っていました。

不妊鍼灸ネットワークの会員であれば、この方法はだれでも行うことができます。

また妊娠初期の鍼灸治療は安全か、というテーマでも時間を割いてお話しいただきました。

結論は、妊娠初期の鍼灸治療は全く安全で、それによって流産率が上がることはない、というものでした。

講演5は、明生鍼灸院院長の鈴木裕明先生。

不妊患者さんの持つストレスについてお話しくださいました。

エジンバラ産後うつ病質問標(EPDS)を用いたストレスの分析と治療後の妊娠のしやすさについてお話しいただきました。

この後の実技では・・・・

腹診の取り方と、本治法処置後の変化について講義を受けましたが・・・まさに神業です。

治る、のではなく治す、という、信念のこもった鍼に感じ入りました。

最後に記念撮影。

参加者は、以下の通りです。

北海道    ナチュラリー針灸院 浜口健介
岩手県    ラプレ鍼灸院 石川良子
宮城県    潮見治療院 阿部千代人
宮城県    キュアーズ長町 小松範明
山形県    麗明堂鍼灸院 五十嵐純知
福島県    三瓶鍼療院 三瓶真一(本会副会長)
福島県    はりきゅうはしもと 橋本修一
栃木県    きむら鍼灸 木村雅洋
群馬県    秋森指圧鍼灸院 秋森徹二
東京都    アキュラ鍼灸院 徐大兼(本会事務局長)
東京都    翠明館治療室 神薗克也
神奈川県    せりえ鍼灸室 小井土善彦
神奈川県    大和鍼灸院 徐 大恆
長野県    くま鍼灸院 熊谷賢一
愛知県    明生鍼灸院(本院) 鈴木裕明(本会名誉会員)
愛知県    明生鍼灸院(金山分院) 木津正義
愛知県    いずみ鍼灸院 西 いずみ
愛知県    なかば鍼灸院 櫻井 央
京都府    なかむら第二針療所 中村一徳(本会会長)
滋賀県    草津栗東鍼灸院 露木 藍
大阪府    ガイア針灸室 堀口正剛
大阪府    鍼灸香里治療院 西村和重
兵庫県    鍼灸さくら治療院 寺澤智栄子
兵庫県    桃の花針灸院 駒井知佳子
山口県    純はり・きゅう院 篠田純子
福岡県    田中はり灸療院 遠藤彰宏
鹿児島県   柿内鍼灸療院 柿内孝弘

 

44歳ご出産のご報告

(ブログの旧記事はhttp://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgiにあります)

6月13日金曜日。

13日の金曜日、、ですが、本日うれしい電話がありました。

しかも朝いちばんの電話で、44歳女性の方より無事ご長男を出産しました!とのこと。

ここに書くくらいですので、もちろん1人目のご出産でした。

通院期間は1年4ヶ月でした。

通院中のみなさまも、ぜひ頑張りましょう!

もちろん私も頑張っていろいろ勉強・研究いたします(^^)

第63回全日本鍼灸学会へ(2)

(ブログの旧記事はhttp://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgiにあります)

大会2日目の、愛媛県松山市 ひめぎんホール。

本日の戦場です!

さぁ、キビタン・がくとくんを用意して来年のふくしま大会のPRをするぞ~!

この63回愛媛大会が用意してくれたふくしま大会用のブースは2か所。

まずは2階の展示ホールの設営を終えると、、鍼灸師会ではお友達の福井の北先生、岡山の福原先生が遊びに来てくれました!

北先生はFacebookでも宣伝してくれてありがたかった(^^)/

1階の展示ブースではプロモーションビデオを放映しました。

さぁ、喉が渇いた。

オレンジジュースでも飲むか!

と、蛇口からポンジュースです(^^)

ではキビタン出発~!

階段にはめっぽう弱い。

楽屋から遠いので、次の日は台車で運ぼうという案も出ました。

がくとくんは歩く方はけっこういいみたいです。

全日本鍼灸学会会長の後藤先生!

ひそかにゆるキャラが大好きなんだとか。

遠い愛媛の地で、大人気のキビタンとがくとくん。

写真撮影には順番待ちの長い行列ができました。

一階展示場のふくしま大会ブースにて。

真ん中は来年福島・郡山で開催の第64回大会会頭の三潴先生(福島医大会津医療センター漢方医学講座教授)と右は名古屋・明生鍼灸院の鈴木院長(不妊鍼灸ネットワーク名誉会員)。

三潴先生とわが福島から参加の先生たちは、会期中毎晩、松山の夜を満喫しました。

鈴木先生には福島プレDCの缶バッジとステッカーをプレゼント。

翌日の不妊症の症例発表頑張ってくださいね!

日本一の書道パフォーマンスを披露する三島高校の書道ガールズたち。

ここでの作品を来年の64回大会で披露させていただくことになりました。

キビタン、がくとくんも参加させていただいて大感激!でした。

がくとくんの休憩。

しみじみと生活感が漂ってます。

学会総会で、来年のふくしま大会をPRしました!

懇親会を前に、2階ロビーで三潴隊長の音頭取りでウルトラマンの寸劇を練習してます。

いや~~~~恥ずかしかった(^^ゞ

そんでもって、大会二日目に大懇親会。

会津の山内先生が作成したふくしま大会PRビデオを放映しました。

トドメに三潴先生の掛け声でシュワッチ!

みなさん来年ふくしまに来てね!

そして松山の夜は更けていくのでした!

第63回全日本鍼灸学会へ

(ブログの旧記事はhttp://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgiにあります)

昨日、5月16日から第63回全日本鍼灸学会愛媛大会で、愛媛県松山市に来ております。

当院は公益社団法人日本鍼灸師会と公益社団法人全日本鍼灸学会の会員であり、常に学会などに参加し積極的に研修を行っております。

バイクに乗って遊んでばかりではございません(;^ω^)

来年5月には郡山市で第64回学術大会が開催されるため、そのPRのために福島県からキビタン、郡山市からがくとくんを連れて愛媛県入りしております。

あ~~~しかし!

『来週は金曜から学会で、代診は新人くんがやりますのでご心配なくご来院ください』と患者さんに告げると・・・

『え~先生!今度はバイクで愛媛ですか?』と訊き返す患者さんが5人くらいいらっしゃいました。。。

いえ、あの~、、学会なんですが。。

羽田空港から仲間と愛媛・松山へ。

写真は何かと話題の多いB787ですが、羽田~松山線はB737-800でした。

165席だったか?満席でした。

郡山から参加の一寸法師ハリ治療院の中沢先生(福島の鍼灸師会会長)は、JALのブッキングミスで親子別の一便違いの愛媛入り。。

なんでも一便遅らせてくれたら、7500マイルのプレゼントまたは1万円のキャッシュバックなんだとか。

私が一便遅くしても結構なんですが・・・(^^ゞ

トラブルもありましたが会場入りして、名刺をあちこち渡して挨拶し、一日目は終了!

明日はキビタンとPRしまくってきます!

 

 

GW能登ツーリング

(旧ブログは http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi にあります)

今年のGWの連休は、仲間4人と私で合計5人。

合わせてなんと!250歳弱。

能登方面へ3泊4日のツーリングに行って参りました。

旧友のコヤマ君、オザワ君、新メンバーのナイトー先生、ハセベさん。

3日は、先発隊のコヤマ君、オザワ君、ハセベさん。

私とナイトー先生は午後から出発で石川県金沢市で合流。

翌日から朝5時とかの早朝から連日出発で能登半島から信州から走り回ってきました。

千里浜なぎさドライブウェイは、満潮で走れず・・・(涙)

無理して侵入したら、スタック地獄に。

2日目の魚津駅前の居酒屋さんにて、生のホタルイカの刺身を堪能しました。

笑いあり、また笑いあり、プラス大爆笑珍道中の4日でした。

人生でこんなに笑える4日間があったでしょうか・・・っていうくらい大笑いの連続、、自分も仲間もバカになり切ったGWでした。

最終日の妙高高原を仰ぎ見るルート。

この日もいろいろあったなぁ、、と!

仲間と別れて、『また行こうね~(^^)/』の白河中央スマートインターにて。

終わってしまうと、ちょっと寂しいものです。

近日中に、従軍カメラマン・オザワ君の撮影した写真集を公開いたします。

新ブログ設定中

三瓶鍼療院院長の三瓶です。

いつも拙文にお付き合いくださいましてありがとうございます。

ブログ用に新たにレンタルサーバーを用意して、Wordpressをインストールしております。

旧ブログは、http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi にございます。

今後とも末永くお付き合いくださいますようお願い申し上げます。