「講演活動」カテゴリーアーカイブ

10月4日(土)は、第20回日本鍼灸師会全国大会で講演してきました

激動は10月まで続いておりました。

10月4日(土)は、つくば国際会議場で開催された第20回日本鍼灸師会全国大会に参加してきました。

参加とは言え、不妊鍼灸についての講演を90分も依頼されておりました。名誉なことだと思っております。

写真は、中村聡・日本鍼灸師会会長のご挨拶です。

同じ会場で講演をさせていただきました。

演題は、『不妊鍼灸の手技の国内標準化を目指して』

様々な鍼灸の流儀があり、また不妊症への鍼灸治療法も様々あります。

現段階で一定の効果が認められるものについて公開して、広く行っていただいてデータを集め、やがて世界に文献として発信していきたい、という内容でした。

私が会長を拝命している一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)では、過去これまでに効果的な不妊症への鍼灸手技を会員間で共有し、また公開講座などで会員外へも広めてきました。

まずシンプルに、鍼や灸、世界的に鍼の補助に使われている低周波通電気くらいで、このような効果がありました、という少ないながら私の研究を示しました。

今現在はレーザーも使っているため、レーザー導入前のデータを提示しました。今後レーザーを使っての結果と比し、また私以外のJISRAM会員のデータも比べ、やがてレーザーを併用した治療法が『標準治療』になるかもしれません。

実技も披露しました(^^♪

与えられた時間は90分。なかなか長いです。

標準治療としてJISRAMで推奨している3つの刺鍼手技を披露しました。

 

日本不妊カウンセリング学会 第56回認定カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座で講演しました

去る9月21日(日)に、東京・日本橋でNPO法人日本不妊カウンセリング学会 第56回認定カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座にて、講演をさせていただきました。

演題は「生殖鍼灸における鍼灸の役割」

持ち時間は1時間。会場講演とリモート参加(アーカイブあり)のハイブリッド開催で、参加者は約700名ということでした。

聴講者は、認定カウンセラーや体外受精コーディネーターを目指す看護師さん、胚培養士さん、鍼灸師や薬剤師、医師の皆さまでした。

お話しした内容は、生殖医療に対して鍼灸が貢献できる内容やチーム医療を目指した鍼灸師の指導について。

特に生殖医療を実践しているクリニックの皆様に、鍼灸を紹介する、という内容でした。

なかなか採卵の成績がふるわない。そんな時は鍼灸を併用してはどうでしょうか。今行っている先生方の治療を邪魔せず、アド・オンできる治療が鍼灸です、みたいな話。

良い注射薬。高価な薬を使っていても、患者さんが疲弊していては良い効果が出にくいと思います。

そんな時は鍼灸を試していただきたいと思います。

座長は盟友の徐大兼先生(東京・アキュラ鍼灸院)

もともと講師の話を持ってきてくださったのは、東京・青山で古くから不妊症を扱っているアキュラ鍼灸院の徐大兼先生。

日本鍼灸師会の青年部時代からのお付き合いで、もう20年近くの交流がある盟友です。

このような学会で講演できたことは大変な名誉です。徐先生には大変感謝しております。

私の講演の次は富山県立中央病院の谷村悟医師による、『帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)について』でした。

そのアーカイブを見させていただきましたが、『私の前の鍼灸の話、すごく面白かったですね』と言っていただいておりました(^^♪ちょっと嬉しかったです。

この次の週は、私が会長を務める一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の2025年度総会と東京研修でした。

さらに翌週10月4日・5日は、つくば国際会議場で開催される第20回(公社)日本鍼灸師会全国大会での講演がありまして・・・。

バタバタですね(;^ω^)

8月9月は激動でした(;^ω^) 鍼灸研究会 工塾(長野)講演

久しぶりの、ほんとに久しぶりのブログ更新です。

何しろ、8月9月は本当に忙しかったです。

8月3日(日)は、長野県で開業しておられる工藤先生の主宰している鍼灸研究会『工(たくみ)塾』で、不妊症の講義をさせていただきました。

長野市の権堂と言うところにある、奇麗な公共施設でした。

たっぷり3時間!

もちろん、実技たっぷり(^^♪

会長の工藤先生は、郡山にお住まいで、国際メディカルテクノロジー専門学校鍼灸科で、当院の和樹先生の恩師でした。

長野に移住しても現地の鍼灸学校の教員をされていて、のちに開業され盛業されています。

講義が終わってから懇親会へ。

JISRAMの会員の先生方も参加いただき、楽しい研修でした。

全日本鍼灸学会雑誌へ論文を掲載していただきました

昨年5月開催の、第73回全日本鍼灸学会開催から、もう一年を迎えます。

昨日の記事に書かせていただいたように、教育講演1『不妊鍼灸の特別演題入りとこれから』を講演させていただきました。

その内容をレビューとして学会雑誌に掲載させていただきました。

 

学会が終わったらすぐに執筆しなければなかったのですが、数年がかりの学会準備で、燃え尽きて書けませんでした(;^ω^)

私が生涯のライフワークに選んだ不妊鍼灸で、このように掲載されたことは一生の宝です。

内容は、不妊鍼灸のエビデンスを、しかもメイド・イン・ジャパンの質の高いエビデンスを作り、世界に発信してきましょう、と言うものです。

しばらくの間、当院玄関前に置いておきますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

不妊鍼灸・患者さんへの対応 いろいろな思いの患者さん

9月の診療案内
https://sanpei89in.com/blog/?p=4594

9月8日(日)は午前中診療します。
9月22日(日)、23日(祝)は休診となります。
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カナケンセミナーや、わが福島県鍼灸師会でのオンライン不妊症セミナーで話した内容をもうちょっと書いていきます。

不妊治療を受けに患者さんが来られるわけですが、みなさん当たり前ですが妊娠出産を希望しておられます。

しかしごく一部ですが、すっかり妊娠をあきらめていらっしゃるかたもおられます。さまざまな治療を行ったけど、妊娠できなかった、という方もいらっしゃるし、そもそも夫が非協力的で、専門医の治療に進めない、という方もこれまでいました。

中には体外受精まで行ったけど妊娠できなくて、姑さんに『うちの息子はどこも悪くないんだけど妊娠できないから』と言って、お嫁さんを連れて来たこともありました。

諦めたけど、鍼灸だけでも続けていれば、周囲への『私はまだ頑張っているんです』という言い訳にになる、と考えたのででしょうか。真面目に通われる方もおられます。

ところが、そうした患者さんを治療していると、体調がよくなり妊娠できるかもしれないと前向きになり、また専門医での治療を目指す方がおられます。

またそうした中に自然妊娠される方が、少なからずおられます。

当院の不妊治療の特徴は、人工授精を行っている方、体外受精を行っている方でも自然妊娠される方がおられることです。

鍼灸を受けに行くことが苦痛ではなく、楽しみになるような対応が必要です。多くのストレスを抱えている患者さんを癒していければ生殖機能は高まると考えます。

12月か1月に、第3回オンライン不妊症セミナーを開催したいと思いますが、その時にまたこれらの患者さんへの対応を復習してお話ししようと思っています。

不妊鍼灸・患者さんへの対応・流産編(2)

鍼灸師の教育課程では、『死』についての学習がないか、あってもごくわずかと思います。

流産は不妊で治療されていた方にとっては、自身の死、家族の死にも値するのではないかと感じます。

体外受精では、凍結胚を移植するとき『子供を迎えに行く』と思われる方もいらっしゃいます。凍結した胚の写真を見てわが子のように『可愛い』と声に出すかたもおられます。私には全く不思議ではなく、当たり前に思います。

流産、死をどう受け入れるか。

以前に不妊鍼灸ネットワーク時代に、不妊症専門看護師の菅野先生(ファテリティクリニック東京・看護師長)の講義を受けたことがありました。

その時のテーマがキューブラー・ロスの著書の抜粋からの、流産について、でした。

死=流産を受け入れるまでの心理状態のプロセスをまとめたものが、『死の瞬間』に書かれています。

流産してしまって、それですべての治療を終了する方もおられます。一方、新たに治療に踏み出す方もおられます。どちらが正しいということはありません。

術者としては、患者さんがから治療復帰の連絡を待つことしかできません。

 

不妊鍼灸・患者さんへの対応・流産編

9月の診療案内
https://sanpei89in.com/blog/?p=4594

9月8日(日)は午前中診療します。
9月22日(日)、23日(祝)は休診となります。
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8月25日に東京の八丁堀・日本鍼灸福祉専門学校で開催された、カナケン・セミナーでお話しした内容をもうちょっと書きます。

ちょうど今日は、学会で発表できるような自然妊娠の方がいらっしゃいました。無排卵・無月経で長期の治療になりましたが、鍼灸を行いながら専門医を紹介し、転院してカウフマン療法を行い、人工授精(4回目)周期に自然妊娠した方でした。

お年も40歳が近づいてきた年齢。郡山から頑張って鍼灸に通った甲斐がありました。

無月経は第1度、第2度とありますが、鍼灸だけで再度月経が来るのはなかなか難しいです。

この患者さんも専門医によるしてホルモン療法を行いました。その後は鍼灸の効果だったか、持続的に順調に自然排卵が続くようになりました。

妊娠され、順調に続くことを願うばかりですが、鍼灸は妊娠継続に良い効果があります。もうちょっと鍼灸は続けます。

さてカナケンセミナーでの話。

せっかく妊娠しても、流産されることが良くあります。

特に、不妊症だった方が自然妊娠した場合、流産される方は特に多いと感じます。それは、妊娠出来なかった原因にホルモンがあり、鍼灸でホルモンが改善して妊娠したとしても、出産できるまでの回復までにもう一歩!という時期だったかもしれません

初期の流産の7割は偶発的な染色体の異常が原因と言われています。つまり流産の7割は受精の時に運命が決まる、ということだそうです。

しかし、残り3割に黄体機能不全などホルモンに原因があります。だから改善途中の妊娠だから流産が多いのかもしれません。

流産は大変つらいですが、当院では鍼灸治療を開始する前に『鍼灸を開始して1回目や2回目の妊娠は、流産することが多い』と説明します。これは流産した際にはとても言えないからです。

流産はとても辛いことですが、妊娠しなければ流産もしません。多くの鍼灸院には一人目の子供が授からない(原発性不妊)の方は多いと思います。

そのほとんどの方は、化学妊娠(胎嚢確認まで至らない妊娠反応のみ)すらない方ばかりなのです。

妊娠できた現実は事実として受け入れ、妊娠を喜ぶのではなく『夫婦ともども妊娠でっきる体であった』事を喜んで、安心していただきたいと思います。

流産はとてもつらいものですが、妊娠できたからこそあり得る不幸です。次の妊娠に向けて治療の時期を逃さないでほしいと思います。

流産して失意の底におられる方がもし読まれておりましたら、まずは一言お見舞い申し上げます。治療者側の一意見として、まずはご容赦下さい。

カナケン 不妊症セミナーでお話しした内容の一部

9月の診療案内
https://sanpei89in.com/blog/?p=4594

9月1日(日)は東北鍼灸学会出席で休診となります。
9月22日(日)、23日(祝)は休診となります。
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8月25日は早朝だけで診療し、午後1時から東京の八丁堀にある東京医療福祉専門学校で(株)カナケンさんのセミナー講師をしてきました。

講義時間4時間の不妊症のセミナーです。

実技が1時間くらい。ほかパワーポイントを使った座学が3時間でした。非常に長いセミナーですが、これでも伝えきれません。

何枚かスライドを紹介します。

 

妊娠カップルの精液所見像

もう何回かこのブログでもお伝えしていますが、WHOの精液基準が下限基準値であることを伝えるための資料です。

聖マリアンナ医科大学教授時代の現国際医療福祉大学教授の岩本先生の貴重な研究です。

すでにお子さんがいるカップル(正確には妊婦さんのパートナー)の精液所見を研究したものです。

全体で、1ミリリットル当たり1億2千万くらいの精子となっています。

ところが、妊娠を問わない、18歳から24歳までの男性を調べると平均は6千800万ということでした。この平均でも十分な精液濃度ですが、この中には平均を大きく下回る精液所見の方がいるはずで、その方が例えば妊娠率を大きく下げている原因になっている、という話をしました。

もちろん、当院で行っている男性不妊の治療法も紹介しました。

 

基礎体温表の解釈・基礎体温で気を付けること

最近は、スマホのアプリで記録している方も多い基礎体温ですが、奇麗かどうか、気にする必要はありません。2層になっていればOKとします。

ただし、月経周期が25日以下の方は要注意。高FSH・低AMHが予測され、自然妊娠ばかり狙って長期間治療すると手遅れになることがあります。

早めの医療連携が求められます。

 

タイミング指導について

排卵日を狙って性交を行うと首尾よく妊娠を狙えそうですが、実は排卵日に射精して受精すると80%以上の確率で流産する。
出展は→(Wilcox AJ et.al. Hum Reprod 13: 394-397, 1998)

なお、上記の出展はオックスフォード大学出版局の生殖医療学術誌です。

一番妊娠率が高いのは、排卵2日前のタイミングということですが、性交回数が少ない(5回未満)だと、やはり流産率が高い。

排卵して基礎体温も高くなり、もはや妊娠に関係ない黄体期にも性交を行うと、妊娠継続を助ける働きがある。
出展は→(Science 1995; 270: 630 / Mol Hum Reprod 2006; 12: 301 / Biol Reprod 2009; 80: 1036 / Hum Reprod Update 2009; 15: 517 (Review) / J Reprod Immunol. 2010; 85:121)

実に多数の学者の研究結果があります。

一番良いのは、月経がすっかり終わったら一日おきに10回性交を行うと良いと思います。患者さんへのタイミング指導に役立ててほしいと思いました。

 

継続した治療の必要性を説く

私たち鍼灸師の治療は体質改善であり、西洋医学的な治療は周期ごとで治療が完結するのに対し、長期にわたって治療を繰り返して体質を向上させる、というものです。

一回治療を行うと、まぁ1週間は治療の効果があると思いますが、1週間以上経過すると、治療を行う前と同じあたりに体の状態が戻ります。

図では、右肩上がりの太実線が、破線で下がるように下がります。

破線が下がりきる前に、つまり、1週に1回を過ぎないように、とか、卵の質の改善や、採卵成績を向上させる場合などは2週で3回から週に2回の治療を必要とします。

なぜ必要なのか、このような図を使って説明すると良い、ということをお話ししました。

不妊期間が長いと、病に親しむ状態の方も多いです。
いかにやる気スイッチを入れるか。モチベーションを高めるか。

大切なことだと思います。

真面目に通われている方には妊娠する方も多いですが、そうでない方にはやはり妊娠は少ないです。

限りある時間を大切に有効に使い、鍼灸だけで妊娠が出来なくても、場合によっては専門医による薬や高度な治療が効きやすくすることも目標にしています。