「治療日記」カテゴリーアーカイブ

よくある、さかごのケース 治ってた?

12月・年末年始の診療案内
https://sanpei89in.com/blog/?p=3963

12月10日(日)正午まで診療します。
12月24日(日)正午まで診療します。

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さかご(逆子・骨盤位)治療、あるあるの話。

昨日来院された妊娠第34週の産婦さん。

33週の検診時に初めてさかごと診断された方でした。

事前にいろいろお話を伺い、まぁエコーで確認して勝手に治っていればそのままお帰り頂くということで、

まずはお腹を見させていただきました。

胎動もみぞおちあたりが強いということで、触診でも丸く固いものがみぞおちにあり、まぁさかごだろうと。

エコーで確認すると、、、

 

 

 

 

 

 

 

これがまた、しっかり下に頭があって、治っているわけなんですわ(;^ω^)  

 

 

 

 

ほんとね、10人に1人くらいの割合で勝手に治っているパターンがあります。

熟練の産科医でも、さかごの診断にはエコーが必須だそうです。

もちろん治療せず、初診料だけ頂いてお帰り頂きました。

産婦さん大喜びだったのは言うまでもありません。

 

 

 

頭が下にあるのが普通というのは、実は割合近年になってから分かった医学的事実です。

西暦1,700年中ごろ、日本の産科医の賀川玄悦とスコットランドの産科医・ウイリアム・スメリーがほぼ同じころに発見したと言われています。

良かったら下記のリンクから、過去に書いたブログ記事をご覧ください。

  ↓ 

さかごの鍼灸治療

ふと思い出す患者さん

正確には、元患者さん、になるでしょうか。

なかなか妊娠しなくて、とうとう体外受精まで進み、何度か胚移植を行っても妊娠しない。

本当に妊娠希望だったのか

すっかり諦めていて、親の勧めで鍼灸治療に通い出した40歳目前の奥さんをいつも思い出します。

結果から言うと、二年半を毎週一回欠かさず治療を続け、奇跡的に自然妊娠して出産しました。

周囲に気を遣い、あらゆる治療を受けたけど妊娠出来なかった。でも諦めず私は頑張っているんです。と、とても辛い言い訳を二年半続けていたように、私はずっと感じていました。

この患者さんを連れて来たのはお姑さん

この患者さんを当院に連れて来たと言うのが、夫のお母さん。つまり姑さんでした。

体外受精の排卵誘発は、お姑さんが自宅で注射をしてくれたそうでした。

また当院を勧めて一緒に付き添って初めて来院した際、うちの息子はどこも異常ないんですけどねぇ、とも言いながらの来院でした。

結婚してから15年目の初妊娠でした。

元気な女の子を出産されました。

あの時の気持ちは

あの日から、まじめに来院を続けた持ちは、妊娠を希望しての前向きな気持ちだったのか、あるいは、妊娠はあきらめていたけど周囲に対しての言い訳として通っていたのか。

ふと思い出します。

嬉しいお客さん

週明けの月曜日。

とても寒い日でした。今年は秋がないと言われていたほど、温かい秋でした。

びっくりするほどの冷え込みよう(^◇^;)

こんな日は治療室もヒマです。

午後早くに、小さなお子さん連れのお母さんがふたり来訪されました。

ふたりのお母さんは、お友達どうし。

体外受精を何度も受けて、なかなか授からないので鍼灸に来た方たちでした。

どちらも7 回とか8回、9回の胚移植をされていて、授からなかった方でした。

最初にひとりが鍼灸をはじめ、一年経ってからもう一人が来院するようななりました。

『三年くらい通いましたかね?』

『先生、何言ってんですか。五年も通いましたよ(笑)』

最初に来院した方は、妊娠された頃の採卵では、空胞が目立って来た方。

一年遅れて鍼灸を始めた方は、採卵の数は毎回良いのですが、受精培養後にあまりグレードの良い胚にならなかった方。

なにしろ五年ですから、当方の治療もいろいろ変わります。

より良い方法を求めてレーザーを加えたり、様々な先生のご指導で現在の治療になりました。

おふたりは、43歳、44歳で無事妊娠されました。

当院来院後、6回とか8回の胚移植でした。

おふたりのお子さんは一歳違い。

もしかしたら一緒に治療を始めたら、同級生になっていたかもしれません。

原坊の朝顔の種

昨日夕方、患者様が朝顔の種を持って来て下さいました。

その患者様は、赤ちゃんからするとおばあちゃんです。

長らく赤ちゃんが授からない娘さんのために、当院で配布していた朝顔の種を大切に育てたそうです。

この種を含め、今年赤ちゃんを授かった方からの朝顔の種がたくさんありますので、来年の2月からまた配布を始めます。

当院では2011年から配布しています。

昨年の記事をぜひご高覧下さい。

https://sanpei89in.com/blog/?p=2164

ストレスは首肩の凝りに現れる

木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付は、19時30分までとなります。 (当日の18時までにご連絡ください)

 10月の日曜と祝日診療は、1日、8日、9日、15日、29日です。

日曜診療は原則前日までに予約が必要で、急患の場合でも日曜朝9時までにご連絡ください。(予約分の診療が終わった段階で終了します)

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今日もストレスを抱えた患者さんが大勢いらっしゃいました。

肩こり、頭痛、めまいなどはいうに及ばず、腰痛などにも日常のストレスが強く関与します。

また中高年以降は睡眠の質が低下し、寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める・朝方早くに目が覚める・日中眠い、活力が出ない、などなど。

こうした方は、首肩こりが非常に強かったりします。

下の写真の緑のシールを貼ってあるあたりが凝ります。

こうしたツボに鍼灸を行うと、鍼の刺激が非常に心地よく、うっとりとします

いろいろなところで鍼灸の講演をさせていただきますが、そんな時いつもスライドで入れる動画です。

うっとりとした鍼灸の刺激で、セロトニンやドーパミンといった神経関連の物質が増えるという報告が多くあります。

ピンクのマーキングは日本の福田文彦先生の研究です。

脳の報酬系と言われる、鍼灸のストレスに関連する研究は有名な研究者です。

下の写真の真ん中がその福田文彦先生。左は先日、お墓参りでばったり再会した山田朋樹先生(精神科医・樹診療所・三瓶の同級生)

5年前にわが福島県鍼灸師会の創立70周年の時、お二人の先生に記念講演をお願いしたのでした。

その際に、記念祝賀会の2次会を郡山エキナカの『もりっしゅ』でひっそりと開催。

『鍼ってストレスに効くのですね』と、盛り上がりました。

親を看取ると言うこと

ずっと、何年も当院に通われている自営業の男性の方がいらっしゃいます。

母親から受け継いだお店を立派に守り、母親はもうだいぶ早くに他界されました。

勤め人であった父親は、その後、だいぶ長生きをされたそうですが、認知症を発症されました。

自営業の患者さんは、いわゆる『家を継いだ』ので、独身であったので家業をしながら認知症の父親の面倒をずっとみておられました。

デイサービスに行った話、あまり事情をよく知らない、『外野』である兄弟たちの話、

治療に来られると、いろいろ話てくださいました。

仕事をしながら認知症の親の世話を1人でするなんて、並大抵ではありません。

その父親も虹の橋をわたり、母親の待つ天国へと旅立たれました。

今まで本当に大変でしたが、認知症の親を看取ると言う苦労より、親と一緒だった楽しかった思い出ばからりの夢を見るんです、と治療の際にお話下さいました。

最後まで親孝行をされた方の言葉なのでしょう。

鍼灸の効果 体質改善

不妊治療などでの、妊娠体質や卵の質の改善、またアレルギーや認知症の予防など、鍼灸治療ではありとあらゆる症状や疾患に人間の本質的な体の状態を改善させることを目指します。

例えば不妊治療では、何度も採卵を行い、次第に卵の質が低下してきたり採卵できる数が少なくなってきたりします。

これは治療期間が長くなればその分だけ体は老化します。卵巣の老化は考えているより早いことが多いです。

また薬や注射で卵巣を刺激すれば、それだけ卵の在庫を多く使うことになり卵巣の老化を早くします。

鍼灸やこうした老化を防ぎ、場合によっては若返らせる効果があります。

例えば下に2つのグラフは、ある難病の方の腎機能の指標である推定GFRとクレアチニンの推移を追ったものです。

推定GFRは、腎臓での濾過量を表しています。腎臓が老化するとこの数値は低下します。

この患者さんは、40ml/分/1.73立方メートルでした。1分間に40mlしか濾過していない状態でしたが、鍼灸治療を行うと12日目から濾過量が増えて、正常域まで改善しました。

通常、年齢とともに腎機能が落ちてきますが、年齢以上に悪化していくものが慢性腎不全(CKD)と言われています。

この方は病院での診断で、難病のほか慢性腎不全と言われていました。

 

同じ方のクレアチニンです。

やはり鍼灸開始後、10日目以降からクレアチニンが改善し、正常域になっています。

腎機能は生命力を表しているともいわれます。あらゆる症状や疾患の治療や予防に大切な機能ですし、人間の根源的なエネルギーを表しますので、不妊治療での卵子改善や男性不妊での精液所見改善にも必要なものだと思います。

なお鍼灸治療によって改善した腎機能は、鍼灸治療中止により緩やかに元の状態まで悪化してきます。その期間は結構長く、3~半年くらいのようです。

そのくらい鍼灸は効果があるのでしょう。

いろいろな症状が改善しても、2~3週に1回くらい鍼灸治療を行い健康管理をしていると、どんな方でも年齢以上に若い体になっていきます。

さかごの鍼灸治療

当院では、不妊や妊活治療を得意治療に掲げております。

現在まで、全国の多くの鍼灸師会や学会などで、当院の治療について講演させていただきました → 学会発表・講演歴

そのほか、、つわり症状、さかご(骨盤位)の方が良く来院されます。

当院での鍼灸治療でのさかごの改善率は、80%以上です。
ある年は、25人以上、連続で改善した時もあります。

26人目か27人目か、3回で来院をあきらめ帝王切開で分娩された方がいて、非常に残念な思いをして以来、改善率の追及をやめました。安全に治っていただく、それが最善です。

なぜにさかごが鍼灸で治るのか?

以下の科学的な理由があります。

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フランシスコ・ガルディニ『骨盤位矯正に対する灸の効果』
JAMA(米国医師会雑誌)1998;280(18):1580-4

・左右の至陰(足にあるツボ)に、15分ずつ棒灸を行う。

・結果、胎動回数が増加(平均35.35回→48.45回に増加)
頭位回転数も増加(62/130→98/130)

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高橋佳代『骨盤位矯正における温灸刺激の効果について』
東京女子医大誌1995.5(10)801-7
・実験と結果
至陰穴に温灸後、胎動が有意に増加し、施灸後15分で減少してきた。超音波ドップラーにて、子宮動脈(UtA)、臍帯動脈(UmA)の血管抵抗を調べてみると、施灸後が有意に低下している。
・考察
灸による子宮循環抵抗の低下は、子宮筋のトーヌスの低下を起こし、子宮筋の弛緩は胎動を容易にさせた。

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以上、鍼灸を行うと子宮動脈、臍帯動脈の血管抵抗が低下して血行が改善することにより、子宮筋が弛緩(柔らかくなる)というのが鍼灸によるさかご改善のエビデンスです。

なお、さかご(骨盤位)や正常の頭位は妊婦さんの腹部の触診ではまずわかりません。これは熟練した産科医でも確実にはわからないといいます。

そもそも、さかご(骨盤位)の発見は、スコットランドの医師、ウィリアム・スメリー(1697-1763)が世界で初めて発表されたそうですが、同じ時期・江戸時代の賀川流産科術・賀川玄悦が1765年に発表されています。資料にもよりますが、賀川玄悦が世界で最初にさかごを発見したともいわれています。

賀川流産科術の教科書 東京上野の科学博物館『医は仁術展』にて

つまり、超音波診断が登場するはるか以前、胎児は分娩直前に頭が下になって生まれてくる、と考えられ、さかごの概念がなかったとのことです。

加賀流産科術の、産科の模型 同じく医は仁術展より

私も妊婦さんを触診してさかごかどうか判別できませんので、治療の際には参考に超音波を使っています。胎児は通常、前にしか回転しませんので、鍼灸施術後は胎児の背中が上になるよう、妊婦さんに指導しています。

これもさかご治療の高改善率に寄与しているのでしょう。

当院のさかご治療は、超音波による観察料も含め1回4,300円です。治る方はだいたい5回以内の治療で治りますが、来院時の週数やさかごになってからの日数によりなかなか治りにくい方もおられます。

5回以上で治らなかった場合、6回目からは2,300円に施術料金を調整して患者さんの負担を軽減しています。

 

だいぶ前(2014年)に書いたブログの記事を思い出しながら書きました。
http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=1015