「治療日記」カテゴリーアーカイブ

うれしかったこと 2024年7月3日

今日は蒸し暑く、朝からエアコンを入れてました。

いよいよ梅雨に入ってしまったのでしょう。

午前中のんびり診療を行い、午後の1人目の、中華料理屋さんの

ご主人を治療している最中、

『無沙汰してます』と、小柄な女性が入ってきました。

もう何年も前。何度も何度も体外受精を行ってもなかなか妊娠できなくて鍼灸に通っていた方でした。

隣県の大学病院に通い、何度も採卵を行っていましたが、妊娠できないばかりか卵も採れなくなって、困っていた方でした。

鍼灸は真面目に通い、また採卵で卵が採れなかった。もうダメなのか、と気落ちする姿に慰める言葉もなく、できる限りの治療を行っていました。

今であれば、有効な鍼灸治療の技術もいくつかありますし、採卵の成績が飛躍的に良くなるレーザー治療も行っていますが、その当時は今ほど当院の治療も誇れるものがなかったのでした。

高単位のhMG注射の注射でダメ、クロミッドでの低刺激もダメ。当時、使い始める施設が出始めたフェマーラを使い、なんどか採卵し、やっと胚移植まで漕ぎつけました。

無事胚移植後、患者さんの来院がすっかり途絶えました。

当然、結果はダメで、やっと採卵できて移植ができて、もうあきらめたのだろうと思っていました。

ところが、その時に妊娠して無事出産し、その子が5歳になったそうでした。どうしても鍼灸に通っていたことが忘れられず、今日はお礼に来てくださったのだそうでした。

私はすぐ人の名を忘れるのですが、その方の名はずっと気になっていて忘れていませんでした。

知子さん、今日はお子さんの写真を見せていただき、ありがとうございました。このことを励みにして、これからもいろいろな治療法を研究していきます。

胚移植後~妊娠初期の出血について

7月の休日診療案内

<休診>
7月7日(日) 全日本鍼灸学会盛岡講座のため
7月21日(日) 福島県鍼灸師会夏季学術講習会のため

<日曜・休日診療>
7月14日(日) 午前8時~正午まで
7月15日(月・祝) 午前8時~正午まで
7月28日(日) 午前8時~11時まで

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着床後に子宮から出血を訴える方が割合多くいます、

特に、体外受精の胚移植後の妊娠者に多い印象がありますが、一番心配なのは進行流産で、出血量が多くなったり先決であったりする場合は要注意です。

現在当院で無事妊娠し、妊娠20週越えの安全圏まで行く途中に、出血を訴えていた方は3人いました。

うち1名は妊娠8週で、もう1名は自然妊娠で11週。1名は12週。3人とも着床後から出血を訴えていました。

子宮の内膜に胎盤になる絨毛組織が根を張ると、小さな血管を壊して広がることがあり、それが血腫になって出血を起こすことがあります。

ほとんどは心配ないもので、やがて吸収されるようになります。

ただし中にはおおきな血腫となって胎盤をはがすこともありますから、血腫が見つかったり、出血がある時はあまり体を動かさないほうが良いです。

当院では、妊娠前から使っていた三陰交などのツボのお灸を勧めています。三陰交に灸を行うことによって、血腫が吸収されやすくなる印象があります。

うれしかったこと

昨日はとても嬉しい事がありました。

カルテを見ると、4年以上も通われている方。

個人情報を伏せても、あまり書けないほど様々な事がありました。

大学病院のご紹介。不成功を数え様々な治療を乗り越えてのやっとの妊娠。

ご出産の日を楽しみにしていての、突然の不幸。

治療に復帰しても、なかなか妊娠せず。

さすがに初診から4年経ち、年齢的に厳しくなって来たところ。

今度はしっかり妊娠して、昨日は胎児心拍も確認できました。

初診時から4年経っていても、卵巣の機能があまり衰えておらす。やはり鍼灸は効果があったなでしょう。

帰ってきた赤ちゃん。しっかり育ちますように。

子宮内膜症既往の不妊の方

チョコレート嚢腫手術の既往のある患者さん

昨年の8月から不妊で来院している方。

20代の半ばに卵巣のチョコレート嚢腫で片側の卵巣を内視鏡で部分手術し、30代初めとなった今は月経の周期が25日くらい。

卵巣機能低下による高FSH状態による頻発月経状態(一ヶ月に2回月経)と低AMHで閉経が早くなる早発閉経予備軍と判断し、鍼灸治療開始後、3ヶ月で国際医療福祉大学を紹介させていただきました。

当院での卵巣機能改善、卵子の質の改善を目指した治療をしながら、紹介先でのリプロダクションセンターでの諸検査中に自然妊娠。

喜んだのもつかの間、胎嚢確認できずに化学流産へ。

再度自然妊娠

その翌周期からはリプロダクションセンターでも積極的な治療を開始したらしく、プロミッドを使ったタイミング指導から始まり、2周期目で再度妊娠。

前回、化学流産した周期から1周期置いた周期です。

数年妊娠しなかったのが、3か月に2回妊娠ですので、やはり鍼灸は妊娠する体質へ体を変えるのでしょう。

定期的な治療継続が効果をもたらす

この患者さんは、時々2週に1回になる時がありましたが、週に一回真面目に通われていました。

体質改善のためには、継続した治療が必要です。

前回の治療の効果が残っているうちに、次の治療を重ねると、効果も重なっていきます。

せっかく治療を始めたのならぜひ真面目に継続しましょう。

流産について

日常的に不妊症の方を治療していると、必ずと言っていいほどの流産の患者さんを経験します。

不妊の原因は様々ですが、結婚して数年間も妊娠の経験のない方が鍼灸治療を根気よく続けてやがて妊娠できると、喜ぶまもなく失意のどん底に突き落とされることがあります。

初期の流産のほとんどは精子と卵の受精の瞬間に決まってしまうという偶発的なものがほとんど、と言われています。初期の流産の約7割はこうした染色体の異常によるものだそうです。

そのほか3割に黄体機能のが弱かったとか、ホルモンの不調を原因とするものがあるそうです。また原因不明なものもあることでしょう。

2月のオンラインセミナーで、流産の場合の患者さんへの対応についてほんの少しですがお話をしました。

E,キューブラー・ロスの『死の受容過程』を提示して、どう術者は対応すべきか、をお話します。

『また妊娠できるから大丈夫』などと軽々しく患者さんを励ましてはいけない、と皆さんには話します。

流産したことをどう受け入れるか迷われているときには、どんなことを言っても旨く伝わることはないでしょう。

ベストな対応はありませんが、女性であれば誰しも流産は経験している可能性があることを当院ではまずお話します。

お話するタイミングは、妊娠前がベストで、妊娠直後にもう一回お話します。『もしそのまま妊娠が継続すると、大変体が弱い、重い障害があるお子様が生まれてしまう可能性があるのです』、というような説明をします。

また、妊娠できるかどうかわからない、先が見えない状態から、妊娠できた事実を受け止めるべきでしょう、というようなお話をします。ただし流産前に。

次のオンラインセミナーは7月14日に開催しますが、その際にまた説明しようと思います。

 

 

 

びっくりした採卵成績

<3月の休日診療>
3月20日(水・祝)朝8時30分~正午まで診療します。
3月24日(日)朝8時00分~正午まで診療します。
3月31日(日)午後3時~5時まで診療します。

17日(日)は学会会議のため休診になります。

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長らく不妊治療で来院されていた患者様の、初めての体外受精を控えての初めての採卵が最近ありました。

そも多嚢胞性卵巣気味の方で、卵巣予備能は高めだった筈ですが、その採卵成績にびっくりしました。

21個採卵し、15個をなかなかのグレードの胚盤胞で凍結されたそうでした。

通常、多嚢胞性卵巣気味の方はたくさん際らされても凍結まで至る卵が非常に少なくなる傾向があります。

過去の患者様には30個以上採卵されて、凍結できたのは1個とか2個などと言う方が多かったです。

卵巣過剰刺激症候群という、卵巣が腫れる事も多く、非常に体には負担がかかります。

良いグレードの胚盤胞が15個あれば、おそらくもう採卵しないで済むでしょう。

鍼灸とレーザーは良い効果があったようです。

21日日曜日は全日本鍼灸学会東北支部の研修でした

1月28日(日)は、前日までのご予約の方に限り、正午まで診療いたします。

令和6年 2月の診療案内
https://sanpei89in.com/blog/?p=4207
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1月になり今年初めての研修会は1月21日(日)郡山での全日本鍼灸学会東北支部の研修会でした。

しっかり研修して認定ポイントを貯めないと、学会の認定が更新できなくなるので必死です(;^ω^)

第1講座は福島医大・地域・家庭医療学講座の豊田先生が講師で、家庭医療について勉強しました。

会場は郡山の福島医療専門学校の鍼灸科学生もたくさん参加し、大賑わいでした。

第2,3講座は、関西医療大学の坂口俊二教授による、冷え性と鍼灸治療でした。

なかなかとらえどころのない冷え性。冷え性のある方女性のは、妊娠した場合優位に早産になりやすいというデータがあるようです。

また冷えの強い女性は、分娩時間も長くなるのだそうでした。そのデータも示されました。

安産には冷え性の改善も大切なようです。当院でも単なる冷え性と軽く扱わず、少しでも改善を試みるようにします。

研修が終わって白河に戻り、西那須野の髙橋先生夫妻とグリル銀座で夕食。

毎度のステーキ&ハンバーグですが、おいしかったです。

下記にリンクのある、習慣性流産の患者さんですが、その後も順調です。責任がありますから当院でも治療前後に経腹エコーで確認しますが、胎児心拍もしっかり見えています。

習慣性流産の患者さん

 

 

 

習慣性流産の患者さん

昨年の夏頃、とある病院で人工授精を受けているけど、なかなか妊娠できない、と言う方が鍼灸治療で来院しました。

問診票には、過去に2回流産した事がかいてありました。

聞けば無治療での自然妊娠てあったと。

脈診すると明らかな腎虚で、まだ若いけど先天の精が薄いようで、卵巣予備能であるAMHも年齢に比して低く、主治医も治療を急いでいるのだとか。

とにかく、腎を補いつつ、子宮と卵巣の機能改善を狙った鍼灸とレーザーを続け、2か月過ぎると自然妊娠されました。

しかし、妊娠したのを喜ぶ間も無くすぐに流産してしまいました。

胎嚢確認以上の流産2回で習慣性流産といいます。3回繰り返すと不育症といいます。

流産を繰り返すには理由があるのですが、初期の流産の大部分、7割くらいは偶然の染色体の異常で、受精の時に運命は決まるようです。

当院では、流産を繰り返す方には、鍼灸治療を初めて一回目の妊娠時には流産しやすいので、諦めないこと、と最初に良く説明します。

なかなか妊娠出来ない状態が、自然妊娠できるようになった事で、まずは改善したわけです。

さらに体が改善すれば、つまりこのかたの場合、さらに腎虚が改善すれば、出産につながる妊娠ができるようになりますから。そんな説明をしっかりしました。

流産後、3週期過ぎてまた自然妊娠されました。

今度は順調なようで、2週続けて胎児心拍も確認出来ています。

今度は、脈状も良く、胎児の生命力を表す命門の脈もしっかりあります。

出産まで大丈夫と確信しています。