「講演活動」カテゴリーアーカイブ

不妊治療 病院と鍼灸院の治療の違い

だいぶ先と思っていた香川県鍼灸師会様の講習会も今週末となりました。

時間があればスライドの読み直しをしていますが、さて3時間で完了できるか??

いつもセミナーで話す場合に強調するのは、不妊治療での、専門医での治療と当院など鍼灸院の治療の大きな違いです。

名の通った有名なクリニックでも、患者さんの体質を治療することはありません。たいていは周期ごとに完結する治療となります。

血液検査によるホルモンチェック→排卵誘発・卵を育てます→卵が育ってきたら、排卵させる・採卵する→受精させる→着床したか?

だいたいはこの流れになります。加齢による卵巣機能改善では数周期にわたってDHEA-Sなどのサプリメントを使ったりして卵巣機能の改善を目指す治療もあるにはありますが、一般的ではありません。

鍼灸治療の場合は、直接卵を育てる治療もありませんし、育った卵をきっちり36時間後に排卵させるような治療もありません。
もしかしたらそれができる達人がいるのかもしれませんが。

鍼灸治療は数周期にわたっての体質改善であり、これによってのホルモン環境の改善、子宮・卵巣の血流の改善を目指していきます。

例えば、鍼灸治療のみを行って体質改善を行っている間に自然妊娠できなくとも、その後の専門医の治療を行うと、それまでクロミッド1錠で卵が育たず、2錠→注射など行っていた方でも、クロミッド1錠でよい卵が育ったりするようになります。

また体外受精を行っていて、採卵できる数が少なかったりグレー度の低い卵子にしか育たなかったものが、良いグレードの胚に育つことがあります。

こうした体質改善は、実は大切なのだと思います。

当院では最低の治療頻度で1週に1回を行います。

これが2週に1回くらいだと、あまり改善効果がないようです。

原因不明不妊を考える 香川県鍼灸師会講演スライドから

7月の日曜診療は、3日、10日、31日の午前中のみとなります。
日曜日は術者が1名のため新患の対応はできません。

 

香川県鍼灸師会での講演のスライドです。

原因不明(女性)不妊に卵管のピックアップ障害が原因として推定されています。

ピックアップ障害とは、排卵寸前の卵胞を卵管が探り当て、排卵した卵子を卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)と呼ばれる部分でキャッチして卵管内に吸い込む働きを言います。

この機能が悪いために、射精され子宮内から卵管先端で待っていいる精子に、排卵した卵子が出会えなくて妊娠できないのです。

子宮内膜症の腹腔内には、子宮内膜症のために以上に免疫の活性化した腹水があります。

その腹水中には様々なサイトカインが産生され、例えば卵管のピックアップを阻害したり、未破裂黄体化卵胞(LUF: lutenized unruptured follicle)を起こさせたりします。

LUFは一種の遺残卵胞の一つで、多くの方が経験するものです。

たとえば子宮内膜症が進行したものに子宮内膜症性嚢胞(いわゆるチョコレート嚢胞)というものがあります。これは子宮内膜症の分類ではよく使われるr-ASRM分類:(修正米国不妊学会分類)の3~4期の進行したものになり、当然に不妊の原因になりうるわけですが、、、、

自然妊娠や人工授精の妊娠率をを阻害する卵管のピックアップ障害を引き起こすのは、r-SARM分類でも1~2期の軽い病期のものが多いそうです。

子宮内膜症の一種の広範な炎症状態でサイトカインが増えますから、たとえば、鍼灸のように月経痛が改善する治療はこうしたサイトカイン暴走の状態を改善するのではないかと考えます。

月経痛が改善したら、自然に赤ちゃんを授かった。
当院ではよくある話ですが、こうした要因があるのかもしれません。

 

原因不明(女性)不妊を考える

7月10日(日)は、午前中は日曜診療があります。

少し早めに切り上げて、午後からはリモート登壇で香川県鍼灸師会様の講習会の講師を務めます。

やっと、講義に使うスライドを作り上げました。

作ったスライドは90枚。
これも話さないとダメでしょ、これもこれも。。。
90枚になったわけですが。

枚数を少なくするのは、至難の業です。

今回は3時間の講義時間で、スライドでお話しするのは2時間。
残り1時間はビデオ撮りしておいたファイルを使っての実技披露です。

久しぶりにスライドを作りましたが、新しい気づきもたくさんありました。

やはりというか、原因不明不妊について思うのは、軽度の子宮内膜症が遠因になっているのではないか。

そう思います。

下のスライドは講義に使うものですが、ハンズ・エバーズというヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の会長も務めた学者さんの研究で、女性不妊患者にこれだけの子宮内膜症罹患の頻度があります、というデータです。

 

あと山王病院院長を務めた、東京大学産婦人科元教授の、堤治先生のデータ(生殖医療のすべて 丸善 P122)

初潮から20年といえば30代も半ばで、不妊で鍼灸院に良く来院する年代ですが、出産回数が0回だと75%近くが子宮内膜症になるだろうというものです。

もっとも子宮内膜症の患者さんを調べたデータで、すべての女性がそうなるわけではありません。

子宮内膜症は鍼灸で根治できるものではありませんが、その痛みなどの苦痛に対する対応は不妊治療に通じるものがあります。

11月に日本伝統医療看護連携学会様でシンポジウムとミニセミナー登壇します

来月・7月10日は四国・香川県鍼灸師会様の講習会での、リモート講師を依頼されたことは、以前のブログに書きました。

11月は仙台赤門短期大学と赤門鍼灸専門学校の教員の皆様で作られている日本伝統医療看護連携学会様よりシンポジストとミニセミナーの講師を依頼いただきました。

シンポジウムは、会津医療センターとの交流についてお話してほしいということでした。

去る4月には会津医療センター附属研究所の鈴木雅雄先生の教授就任を記念して、県民公開講座を開催させていただいたところです。

会津から福島から、日本から鍼灸を変えていくという所信表明の場をわが福島県鍼灸師会で準備させていただいたことは、大変な光栄です。

ミニセミナーでは、不妊治療について実技を込みでお話してほしいということでした。

看護師養成コースもある学校も関連した学会ですし、発表する内容を少しひねって考えたいと思います。

 

香川県鍼灸師会様で講師を務めます(^^)

ご縁があり、7月10日の日曜日は午後から香川県鍼灸師会様で不妊症についての3時間の講義をさせて頂く事になりました。昨年の大阪についでリモートによる講義を行います。

毎年、全国の鍼灸師会様などで1回か2回くらい講師を務めさせていただいています。

昨年は大阪府鍼灸マッサージ師会様の『鍼灸師のための周産期ケア講座』と、あと自分の所属する福島県鍼灸師会の冬季学術講習会でした。

今年は7月のこの講座のほか、11月27日に仙台で開催される日本伝統看護連携学会にシンポジストとして登壇させて頂く事になりました。

診療の合間、パワーポイントを使ってスライドを作成します(^^)

昨日は勉強会

4月の診療案内 →

4月は年度初めと、私が会長を務めている福島県鍼灸師会では総会を控え、非常~にバタバタしておりますが、

昨年度入会していただいた新入会員、 鍼灸学校の学生さんを対象に当院主催の私塾を始めました。

志高く、地域に愛される鍼灸師になっていただきたいという願いを込めて『開業塾』と名付けました。

参加者には、子宝の縁起ものである『原坊の朝顔の種』を配りました。

メインは不妊治療を講義していきますが、まず最初に『鍼灸道』についてお話しし、だんだんと回を重ねるごとに不妊治療に入っていきたいと思います。

実技では首肩の凝りの緩和、ストレス対策があらゆる治療の基本になります。

全員に当院の鍼灸手技を体験していただき、終了しました。

次回は5月10日の日曜午後に開催します。

鍼灸学校卒業生さんへの、道しるべに(業団説明会)

3月の診療案内 →

3月は、本業よりも会長を務めている福島県鍼灸師会での雑用が大忙しです。

3月12日は土曜日で書き入れ時ですが、和樹先生、美智先生に治療室を任せて郡山市の福島医療専門学校さんへ行ってきました。

学校の壁には、3年間の学生生活を送った証である写真が掲載されていました。

毎年この時期、国家試験を終えて卒業間近の3年生を対象に『業団説明会』を行っています。

卒後研修が医師のように確立していない鍼灸業界において、若葉マークの新卒鍼灸師に対してわが福島県鍼灸師会は、最新の医療教養、治療技術の伝授、医療人としての人格形成など、一人前の鍼灸師に必要な研修を毎年継続して行っています。

また一人前の鍼灸師になるために知っておかないといけないことがあります。

WHOでも国際疾病分類の最新版(ICD-11)に、鍼灸を含む代替医療の疾病分類のコーディングが取り入れられました。

つまり鍼灸は全世界の共有財産となったわけです。

しかしある1国により、国際標準化機構(ISO)を使って独占されようとしているのです。

経済覇権では一帯一路、海洋覇権(領土拡張)などを強引に進める中国が、『鍼灸は中国が発祥であるから、鍼灸にかかわる教育や臨床すべては中医学式を国際標準にすべき』とされようとしているのです。

今や世界中で鍼灸は、効果が高い、安全性が高い、副作用も少ない、費用も少なくて済むということで広く行われています。
だからWHOも国際疾病分類に鍼灸での病症の分類のコーディングを取り入れたのです。

世界では主に中国式、韓国式、日本式という鍼灸の分類があります。いずれも良いところがある治療の様式ですが、ISOで独占されては、日本式の鍼灸の伝統も良さも絶えてしまいます。

こうした鍼灸という全世界の共有財産を守る運動は、一匹狼の開業鍼灸師ではできません。

鍼灸師会という組織に所属しその納めた尊い会費から、場合によっては政治家を使って国際ロビー活動を行う必要があります。

私が所属する福島県鍼灸師会に入会すると、その会費は上部の日本鍼灸師会にも上納され、日本鍼灸師会が所属しているJLOM(日本東洋医学サミット会議)がその会費で国際ロビー活動を展開します。

JLOMの国際ロビー活動について →

自分だけ儲かればよい、というのは一番ダメな鍼灸師です。

無事に国家試験をパスしたら、晴れて鍼灸師になります。
保険が使えない自由診療の鍼灸院には、健康には特に意識の高い高学歴の患者さんが多いという特徴があります。

当院にも医師や歯科医師などが常連として来院します。

そのようなハイレベルな患者さんから『先生』と呼ばれるのですから、教養を高め、国際的な視点をもって患者さんに向き合える鍼灸師を目指すことが非常に大切です。

私が会長を務める福島県鍼灸師会では、皆さんを高みに導き、鍼灸を職業に選んでよかった、と思えるような鍼灸師に育てていきます。

そのような話をしてきました。

冬季学術講習会無事終了しました

激動の12月でした。

12月は2回講師を務めました。

順序が逆ですが、12月26日の福島県鍼灸師会冬季学術講習会の内容を。

講演第1部は、

多嚢胞性卵巣を西洋医学的、基礎医学的に解説していただくということで、

福島県立医科大学 総合周産期母子医療センター母体胎児部門 講師 山口明子先生

多嚢性卵巣症候群(PCOS)は、特に若い年代での月経不順・排卵障害で非常に多い病態です。

海外で多い男性化は日本ではあまり多くなく、高アンドロゲン状態よりもインスリン抵抗性の体質による未熟卵胞の多数存在による排卵障害が多く、よって海外と日本では診断基準が変わります。

この病態の詳しい解説と、治療の進め方について、参加者の皆さんは理解を深めたと思います。

山口先生の講義は非常にわかりやすいと評判が高いです。

常々、PCOSの方は妊娠しても流産される方が多いことに疑問を持っていましたが、そのことにも理由があり、解説していただきました。

 

講演2部は三瓶が講師を務めました。

講義中の写真がないので、スライドトップの画像を。

いっそ、期間限定でアーカイブ配信の公開をしてみるかと(;^ω^)
三瓶はこんな風に講義してますhttps://youtu.be/a6zRJkDPyMU

東洋医学的には、1)瘀血、2)痰湿のタイプが多く、その鑑別と治療の進め方を解説し、実技を動画で紹介しました。

常々、PCOSの方は正常に排卵できるようになっても妊娠率が低く、また山口先生のお話に合ったように流産率も高い現実があります。

講義では、n値が低いのでお話しませんでしたが、講義でお話しした治療法を続けると、妊娠する方も増えた印象がありますし、流産される方も減ったように思います。

まだまだn数を増やして研究していきたいと思います。

講演3部は、秋に行った療養費のビギナー講習会の上のアドバンス講習会でした。

東京都鍼灸師会副会長 日本鍼灸師会健保委員会委員長の小林潤一郎先生に講義をお願いしました。

小林先生の講義は、複雑な療養費の仕組みを理路整然としてわかりやすくお話しくださいます。

エキスパートは違うなぁ、といつも感心します。

小林先生には、まだまだ今後も講座をお願いしたいと思います。