秋の学会・研修シーズン真っ盛り!
9月21日(日)に東京渋谷のヒカリエにて、不妊鍼灸ネットワークの26年度第二回研修に参加してきました。
今回は会員の従業員は参加OKなので、鍼灸師4年目の息子も参加です。
前夜は鹿児島の柿内先生、北海道旭川の浜口先生、明生鍼灸院の木津先生、アキュラ鍼灸院の徐先生と、前夜懇親会。
渋谷のオシャレーなアメリカンダイニング?で、フライドチキンを乗せたワッフルで生ビール。
メープルシロップをたくさんかけて食べるんですが、これが食べたことのない旨さでした。
その後、、、中村会長と職員のみなさまと合流し、再開を祝して乾杯!研修とは名ばかりでアルコール三昧でしたが、これは前夜だけ!
その後ホテルに帰って、三次会。
徐先生と木津先生と深~いお話をしました。
翌日、快晴の東京。
青山のホテルから通りに出ると、国連大学がありました。
敷地内では、採れたての野菜の即売をしておりました。
しばらく歩いてヒカリエへ。
会場は11階のヒカリエホール。
田舎の会場と違い、会場費が高い!一ケタ違いますよ。
まずは会長のあいさつから。
設立した前年、札幌で中村先生、徐先生といろいろ話して、こんな会にしたい!あんな会にしたい!と話していてやっと実現して。
研修会のたびに、いい会になったなぁ、、と心底思います。
1番目の講演は、久保春海先生の『不妊予防について』
日本の生殖医療の現在を築かれた第一人者で、東邦大学第一産婦人科を退官された後、現在はNPO法人日本不妊予防協会の理事長に就任され、社会貢献に尽くされている先生です。
多くの生殖医療専門医が久保先生の執筆された本をお持ちだと思います。私も久保先生の書かれた本は何冊も持っています。
今日ほど、この会の会員であることをありがたく思った日はありませんでした。
高度生殖医療の問題点を挙げ、鍼灸医療が貢献できる可能性についてもお話しいただきました。
久保先生の講義の後は昼食となりますが、なんと昼食の時間を利用して会員の発表会を行いました。
くま鍼灸院の熊谷先生の発表は、多嚢胞性卵巣(PCO)の不妊患者さんの症例から、インスリン抵抗性の考察でした。
排卵障害の4割は多嚢胞性卵巣が関係する、とは久保先生の講義にもありました。
多くの成書では多毛、肥満、高アンドロゲン血症という男性化がPCOの特徴と書かれていますが、実はアジア人種・日本人では男性化の見られるPCOの方はたいへん少なく、日本産婦人科学会・内分泌委員会の診断基準は、欧米の診断基準と大きく変わっています。
高アンドロゲン血症は1990年のNIH(アメリカの厚生省)の診断基準と2007年のESHRE(ヨーロッパ生殖学会)では絶対的な基準となっていますが、日本の場合、1993年版から改訂された2007年の日本産婦人科学会生殖内分泌委員会の診断基準では、排卵障害があり、常にFSH値<LH値か、高アンドロゲン血症、PCO所見あり(ネックレスサインあり)、となっています。
当院の印象では、普通体型やせ形で美人のタイプにPCOSが非常に多いように思います。また肥満のPCO患者さんの排卵障害は大変治療が難しく、安易な治療により月経周期がますます長くなる症例を多く経験しています。
また標準や、やせ形のPCOの方ほど治療成績が良く、体外授精を行っていた患者さんの中でも自然妊娠される方が時々見られます。
インスリン抵抗性はすべてのPCO患者さんにみられるわけではありませんが、糖代謝を考えた鍼灸治療やBMIが標準体重以上の方は積極的にダイエットすると効果が良いようです。
インスリン抵抗性の体質は、PCOだけではなくすべての難治性不妊に多く関係するようです。糖代謝に関する鍼灸治療法は、不妊の治療に応用できそうです。
1例ながら、熊谷先生の考察は今後不妊症を扱う上で大変重要になる知見だと思いました。
仙台で開業するキュアーズ長町の小松先生の発表は、不妊鍼灸NWで習得した明生鍼灸院方式の陰部神経刺鍼による卵質の改善、採卵成績向上と、中リョウ穴刺鍼法による子宮内膜改善、体外授精での胚移植成功の変化についてでした。
40歳以上の妊娠率が多く、やはりこれらの明生鍼灸院式の治療は効果が大変高いようです。もちろん、当院でもこの治療法は取り入れています。
患者さんの治療歴や採卵の成績変化などを詳細にできれば、全日本鍼灸学会での発表も十分に視野に入れられます。
ぜひ来年郡山で開催されるふくしま大会で発表をしていただきたいと思いました。
人間総合科学大学の鍵谷先生のお話は、ラットを用いた子宮や卵巣の神経支配について、でした。
ラットなので、人間とは少々違いますが・・と前置きされましたが、子宮の血行改善で副交感神経を刺激する骨盤神経刺激の部分は、明生鍼灸院での中リョウ穴刺鍼での効果の説明が十分できる検証内容だと思いました。
また神経刺激と血中エストロゲン濃度変化による卵巣の神経支配のお話も大変貴重でした。
今後も研究が進むと、不妊症に対する鍼灸のエビデンスも積みあがっていくと思いました。
福島県立医科大学会津医療センター准教授の鈴木先生からは、臨床研究についてお話しいただきました。
良き臨床家は良き研究家である、とは、毎日の臨床では常々心がけていないと流されてしまいます。
臨床研究の結果は、行政のあり方も変えることがあるという事で、不妊症治療には特に大切な心構えだと思いました。
研修の終わりに、26年度中で2回の研修に参加された先生へ正会員認定証が会長から授与されました。
不妊鍼灸ネットワークは入会すれば会員になれるのではなく、単年度に3回の研修のうち、2回参加でその年度の会員として認められます。
2年続けて正会員に認定されないと、退会処分となる厳しい会です。もっとも、国内最高の研修ですから、参加しない先生はよっぽどの理由がある先生です。名前だけの会員は存在しません。
(なにしろ入会金だけで10万円ですし)
すべてのプログラムが終了しての記念撮影。皆さんお疲れ様でした。
<参加者の皆さん>
北海道 ナチュラリー針灸院 浜口健介 / 宮城県 潮見治療院 阿部千代人 / 宮城県 キュアーズ長町 小松範明 / 山形県 麗明堂鍼灸院 五十嵐純知 / 福島県 三瓶鍼療院 三瓶真一(本会副会長)/ 福島県 はりきゅうはしもと 橋本修一 / 栃木県 きむら鍼灸 木村雅洋 / 群馬県 秋森指圧鍼灸院 秋森徹二 / 東京都 アキュラ鍼灸院 徐大兼(本会事務局長)/ 東京都 翠明館治療室 神薗克也 / 東京都 中村希求子はり灸治療室 中村希求子 / 神奈川県 せりえ鍼灸室 小井土善彦 / 神奈川県 大和鍼灸院 徐 大恆 / 長野県 くま鍼灸院 熊谷賢一 / 愛知県 明生鍼灸院 木津正義 / 愛知県 いずみ鍼灸院 西 いずみ / 愛知県 なかば鍼灸院 櫻井 央 / 京都府 なかむら第二針療所 中村一徳(本会会長) / 滋賀県 草津栗東鍼灸院 露木 藍 / 大阪府 ガイア針灸室 堀口正剛 / 大阪府 鍼灸香里治療院 西村和重 / 兵庫県 鍼灸さくら治療院 寺澤智栄子 / 兵庫県 桃の花針灸院 駒井知佳子 / 福岡県 田中はり灸療院 遠藤彰宏 / 鹿児島県 柿内鍼灸療院 柿内孝弘 (以上敬称略)
久保先生をお見送りする際、役員だけで記念撮影させていただきました。
左から、不妊鍼灸ネットワーク事務局長 徐大兼先生(アキュラ鍼灸院)、会長 中村一徳先生(なかむら第二針療所)、久保春海先生、右が私(副会長 三瓶鍼療院)
久保先生、大変お疲れ様でした!
また第二弾、三弾の講義をお願いいたします。
夕方5時からは、渋谷で懇親会。
次回の会員発表の先生の指名がありました。
〆はアキュラ鍼灸院の徐先生の案内で、油そばを食べに行きました。息子も『旨かった~~~』と帰りの新幹線で連発してました。
秋の研修シーズンはまだまだ続きます。
次回は岐阜での第10回日鍼会大会です。
不妊症セッションで、司会兼座長をやらせていただきます(^^)
講師はわが不妊鍼灸ネットワークの会長、中村一徳先生になります。