男性不妊・男性妊活での鍼灸の効果

不妊には、男性に原因がある割合は約5割あります。

近年、女性の卵子老化が大きな問題となって取り上げられており、そういう話題はよく見聞します。

一方、いまだに男性については加齢による精子の劣化や精液初見の悪化など話題になることが少ないように思います。

実際には、男性も女性同様、同じ男性であっても年齢によって大きく悪化していきます。

男性不妊かどうかの線引きは、WHOの精液所見基準があります。

最新版は2021年版がありますが、今でも国内で多く使われているのは2010年版です。

WHOで男性不妊の基準を決める際の『基準値』は下記グラフのような研究から導き出されています。

出典:オックスフォード大学出版局
Human Reprodacution Vol16、P231-P245、2010

結婚などで過去1年以内に自然妊娠された、世界5大大陸8か国、1,953人を対象に、また比較として世界5大大陸5か国の男性965名を比較群として調査したものです。

下限・上限それぞれ2.5%をカットした95%信頼区間で、精液の量では2.0ml、精液濃度では1500万匹/ml、精子の運動率では50%をそれぞれ下回った群では1年以内に自然妊娠者がいなかった、というものです。

現在は11年ぶりに改訂された2021年版となり、それぞれ1.4ml、1400万匹/ml、40%、となっています。

非常に大切なことは、ここで『基準値』といわれているのは、グラフのピンクに染められた縦帯の付近であり、『これ以下だと自然妊娠できない』という『最低基準』です。

ですから、精液所見を調べた際、主治医が『基準を満たしています』みたいなことを言われても、まずは数字を確認してみましょう。

参考に、国内では国際医療福祉大学の岩本教授の調査報告が有名です。
出典:ブリティッシュ・メディカル・オープン
Teruaki Iwamoto, et al. BMJ Open. 2013.DOI: 10.1136/bmjopen-2012-002223
1999年から2002年にかけて札幌、大阪、金沢、福岡で不妊治療を実施していないで妊娠したカップルの日本人男性(20~45歳 792名、年齢中央値31.4歳)の精液を調査したもの。

結果:上記国内4都市の男性50パーセンタイル中央区間では、精液量3ml、精液濃度8,400万匹/ml、総運動率は66%でした。

なお、最近当院で妊活目的で3ケ月間週に1回しっかり通院治療した方の精液所見の変化をビジュアルでご覧ください。

動画の左側は治療開始時のもので、右は週に1回・3ケ月治療後のものです。

動画では約3倍の改善が確認できると思います。

この方は治療前の精液所見では男性不妊とは言えないレベルですが、熱心に治療に通われ、このように大きく改善しました。

もちろん、精液の量、数、運動率が改善することは妊娠しやすくなったことを示唆します。それはずっと上で示したグラフで理解できるでしょう。

当院では客観的に判断できるよう、当院に通院されている方で希望された方には精液測定を無料で行っています。