ながらく執筆をサボっておりました。。。
なにしろ6月は激動でした。
6月1日(日)は、名古屋で学会発表をしてきました。
もう一つ大きなイベントがあり、日本東洋医学会福島県部会学術総会(会場・福島医大)で教育講演を依頼されました。
普段の鍼灸師や学生を対象にした講演ではなく、多くの医師しかも生殖医療専門医を対象にした講演ですから、不妊に対して鍼灸が効果があるデータを示さなければなりません。
しかも現在、当院ではさらなる効果を目指して鍼灸+レーザーも使った治療を行っています。そのデータは鍼だけの効果ではないので、2011年当時の鍼灸と電気鍼のみのデータを長らく検証しました。
目的
〇鍼灸介入前後で、採卵できた卵の数の変化
〇鍼灸介入前後で、受精し移植可能となった胚=胚(卵)の数の変化
データ比較の条件
- 鍼灸介入前に最低3回採卵を行っていたものが対象
- 最低限、鍼灸介入3周期前と、介入後も同じ卵巣刺激法で採卵を行っていた
- 鍼灸治療は最低週に1回以上で、4ヶ月以上(16回以上)行ったもの
- 鍼灸介入後、夫が精巣内精子回収法、精索静脈瘤の手術を行っていないもの
- 獲得した胚は、胚盤胞、桑実胚、初期胚またグレードを問わず計測
- 移植を実施した胚のほか、移植可能と判断して凍結した胚も含めて計測
上記の条件で残ったのは14人(平均年齢39.2歳±2.91歳)
この14人の、鍼灸介入前後でのデータを比較しました。
結果
鍼灸介入前
- 合計67採卵周期
- 総採卵個数 138個
- 移植可能胚個数 45個1周期あたり、2.05個採卵
1周期あたり移植可能な胚 0.67個
鍼灸介入後
- 合計62採卵周期
- 総採卵個数 147個
- 移植可能胚個数 72個1周期あたり、2.37個採卵
1周期あたり移植可能な胚 1.16個
1周期あたり
- 採卵個数の改善 +16.9%
P>0.05(Wilcoxon符号付順位検定P=0.062 ) - 移植可能な胚数 +73.1%
P < 0.005(t検定P=0.0031)
院長コメント
統計処理すると、鍼灸を行うと採卵数が上がる可能性が高い。
また、鍼灸を行うと、受精し『移植が可能になる卵子(胚)が増える』ことがわかる(P=0.0031)。
結果のプロット
以上の通りの結果となりました。
現在はより効果の高い治療法と低刺激レーザーを使っていますので、さらに効果が高いと考えています。
鍼灸により体外受精の成功率が高くなることは、これで十分考えられます。