「不妊症・子宝治療」カテゴリーアーカイブ

9月28日(日) 一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)総会・東京研修

9月激動の〆は、28日(日)の生殖鍼灸、とりわけ不妊症に特化した鍼灸研究会JISRAMの総会と東京研修でした。

私、この会長を仰せつかっております(;^ω^)

総会では、2024年度事業と財務の報告、新年度である2025年度の運営方針を会員へ示し、事業計画と予算案を諮り、問題なく承認いただき総会を終了できました。

その後は研修となります。

会員データを集積した研究の中間報告

会員から募集した多くのデータを、新潟医療福祉大学准教授の金子聡一郎先生に解析していただき、中間報告をいただきました。

反復着床障害では鍼灸の有効が示されていた

3回以上良好胚を移植しても妊娠できなかった多数の症例に対し、鍼灸を行ったところ6割の方が胎嚢確認以上の臨床的妊娠をされた、ということでした。

データの多くは、採卵前から鍼灸を行っていたため、胚の質が改善したとも考えられます。

JISRAMでは、採卵成績の改善(採卵数の増加、採卵して受精した胚の質の改善)を目的とした鍼灸の手技を共有しています。

その手法を『(現段階での)標準治療』として、国内へ普及していきます。

 

その標準治療の会得と確認

会員へ標準治療である陰部神経刺鍼鍼通電法と、中リョウ穴刺鍼法を指導する、名古屋・明生鍼灸院の木津副院長。

木津先生は俵IVFクリニックで胚移植を行う患者さんへ鍼灸を行っており、また国内でも最も古くから不妊症へ鍼灸を研究している方でもあります。

私も、木津先生から不妊鍼灸の多くの技術を学びました。

終わって記念撮影

金子准教授、木津先生、皆さんで記念撮影です。南は鹿児島、北は仙台。みなさん良く集まってくださいました。

 

その後はお楽しみ懇親会へ

その後は、東京駅八重洲近くで懇親会。

みなさん生き生きしています(^^♪

日本不妊カウンセリング学会 第56回認定カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座で講演しました

去る9月21日(日)に、東京・日本橋でNPO法人日本不妊カウンセリング学会 第56回認定カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座にて、講演をさせていただきました。

演題は「生殖鍼灸における鍼灸の役割」

持ち時間は1時間。会場講演とリモート参加(アーカイブあり)のハイブリッド開催で、参加者は約700名ということでした。

聴講者は、認定カウンセラーや体外受精コーディネーターを目指す看護師さん、胚培養士さん、鍼灸師や薬剤師、医師の皆さまでした。

お話しした内容は、生殖医療に対して鍼灸が貢献できる内容やチーム医療を目指した鍼灸師の指導について。

特に生殖医療を実践しているクリニックの皆様に、鍼灸を紹介する、という内容でした。

なかなか採卵の成績がふるわない。そんな時は鍼灸を併用してはどうでしょうか。今行っている先生方の治療を邪魔せず、アド・オンできる治療が鍼灸です、みたいな話。

良い注射薬。高価な薬を使っていても、患者さんが疲弊していては良い効果が出にくいと思います。

そんな時は鍼灸を試していただきたいと思います。

座長は盟友の徐大兼先生(東京・アキュラ鍼灸院)

もともと講師の話を持ってきてくださったのは、東京・青山で古くから不妊症を扱っているアキュラ鍼灸院の徐大兼先生。

日本鍼灸師会の青年部時代からのお付き合いで、もう20年近くの交流がある盟友です。

このような学会で講演できたことは大変な名誉です。徐先生には大変感謝しております。

私の講演の次は富山県立中央病院の谷村悟医師による、『帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)について』でした。

そのアーカイブを見させていただきましたが、『私の前の鍼灸の話、すごく面白かったですね』と言っていただいておりました(^^♪ちょっと嬉しかったです。

この次の週は、私が会長を務める一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の2025年度総会と東京研修でした。

さらに翌週10月4日・5日は、つくば国際会議場で開催される第20回(公社)日本鍼灸師会全国大会での講演がありまして・・・。

バタバタですね(;^ω^)

赤ちゃん来訪!

9月は自然妊娠が2名。

お1人は、続発性不妊でいわゆる2人目不妊。

1人目の時人工授精をしていましたが妊娠せず、頑張って鍼灸治療をしていたら自然妊娠。しかしすぐに流産。

翌月、またも自然妊娠し、今度は月満ちて無事出産。

1人目を出産して、しばらくしてから2人目を希望して来院。
今回は手こずって、7ケ月かかって自然妊娠し、無事心拍確認され順調に経過しています。

 

2人目の方は、原発性不妊つまり1人目不妊。

人工授精しましたが妊娠せず、頑張って鍼灸を続けたら5ケ月で自然妊娠されました。40歳近い年齢でしたので、ほんとに良かったです。

 

7月末には、赤ちゃんを見せに来てくれた方がおりました。

排卵障害があり、鍼灸を行いながら専門医ではカウフマン療法を行い、自然に排卵するようになり、自然妊娠されました。

それにしても、写真をAI処理すると私は爺さんなんですねぇ(;^ω^)

2025年の講演予定

今年は下記のような講演予定となっております。

私を講師にお声がけくださいました皆様、大変感謝いたします。

 

2025年

8月3日(日) 長野県 工(たくみ)塾

演題『不妊鍼灸のイロハ 女性不妊・男性不妊の初歩から応用まで』

9月21日(日)日本不妊カウンセリング学会 第56回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座

演題『生殖医療における鍼灸の役割』

10月4日(土)
第20回(公社)日本鍼灸師会全国大会茨城大会

教育講演
『不妊鍼灸の手技の国内標準化を目指して』

大きな学会、大学教授や超有名な不妊治療専門クリニックの医師たちが登壇するような不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターの養成講座で講師を務めさせていただくことになりました。

大変な光栄ですが、多(他)職種の皆様方に不妊症領域での鍼灸をしっかりお伝えできるよう、頑張って務めさせていただきます。

 

日本東洋医学会福島県部会で教育講演を行いました

激動の6月。。。でした。

6月28日は、盛岡で日本鍼灸師会東北ブロック会議に出席。
翌日も昼直前まで会議出席し、12時17分の新幹線で福島へ。

福島駅からタクシーで福島医大へ。

日本東洋医学会福島県部会で教育講演を行いました

福島医大の中にあるM&A薬局・光が丘鍼灸院の会議室で日本東洋医学会福島県部会の学術総会に参加し、教育講演で当院の不妊治療について1時間講演させていただきました。

多くの医師に聴講いただきましたが、とてもありがたい機会でした。

会場参加は30名弱でしたが、オンラインでは120名以上参加があったということでした。

鍼灸により採卵し受精した胚の質が向上する

当院の女性不妊では、例えば体外受精での採卵後、移植可能になる胚が増えることを過去のデータで示し、

鍼灸により、精液の濃度(数)が改善し運動率が向上する

男性不妊では、当院の鍼灸治療により精子の数や精子の運動率が改善することを示しました。

発表後、JA福島厚生連 白河厚生総合病院の石橋真輝帆医師からご質問をいただき、講演後もPCOSなどでいろいろ教えていただきました。

とても貴重な学びの場となりました。

採卵成績、卵(胚)質改善の鍼灸の効果

ながらく執筆をサボっておりました。。。

なにしろ6月は激動でした。
6月1日(日)は、名古屋で学会発表をしてきました。

もう一つ大きなイベントがあり、日本東洋医学会福島県部会学術総会(会場・福島医大)で教育講演を依頼されました。

普段の鍼灸師や学生を対象にした講演ではなく、多くの医師しかも生殖医療専門医を対象にした講演ですから、不妊に対して鍼灸が効果があるデータを示さなければなりません。

しかも現在、当院ではさらなる効果を目指して鍼灸+レーザーも使った治療を行っています。そのデータは鍼だけの効果ではないので、2011年当時の鍼灸と電気鍼のみのデータを長らく検証しました。

目的

〇鍼灸介入前後で、採卵できた卵の数の変化
〇鍼灸介入前後で、受精し移植可能となった胚=胚(卵)の数の変化

データ比較の条件

  1. 鍼灸介入前に最低3回採卵を行っていたものが対象
  2. 最低限、鍼灸介入3周期前と、介入後も同じ卵巣刺激法で採卵を行っていた
  3. 鍼灸治療は最低週に1回以上で、4ヶ月以上(16回以上)行ったもの
  4. 鍼灸介入後、夫が精巣内精子回収法、精索静脈瘤の手術を行っていないもの
  5. 獲得した胚は、胚盤胞、桑実胚、初期胚またグレードを問わず計測
  6. 移植を実施した胚のほか、移植可能と判断して凍結した胚も含めて計測

上記の条件で残ったのは14人(平均年齢39.2±2.91
この14人の、鍼灸介入前後でのデータを比較しました。

 

結果

鍼灸介入前

  • 合計67採卵周期
  • 総採卵個数 138
  • 移植可能胚個数 451周期あたり、2.05個採卵
    1周期あたり移植可能な胚 0.67

鍼灸介入後

  • 合計62採卵周期
  • 総採卵個数 147
  • 移植可能胚個数 721周期あたり、2.37個採卵
    1周期あたり移植可能な胚 1.16

1周期あたり

  • 採卵個数の改善  +16.9%
    P>0.05Wilcoxon符号付順位検定P=0.062
  • 移植可能な胚数  +73.1%
    P < 0.005t検定P=0.0031

院長コメント
統計処理すると、鍼灸を行うと採卵数が上がる可能性が高い。
また、鍼灸を行うと、受精し『移植が可能になる卵子(胚)が増える』ことがわかる(P=0.0031)。

 

結果のプロット

以上の通りの結果となりました。

現在はより効果の高い治療法と低刺激レーザーを使っていますので、さらに効果が高いと考えています。

鍼灸により体外受精の成功率が高くなることは、これで十分考えられます。

 

全日本鍼灸学会雑誌へ論文を掲載していただきました

昨年5月開催の、第73回全日本鍼灸学会開催から、もう一年を迎えます。

昨日の記事に書かせていただいたように、教育講演1『不妊鍼灸の特別演題入りとこれから』を講演させていただきました。

その内容をレビューとして学会雑誌に掲載させていただきました。

 

学会が終わったらすぐに執筆しなければなかったのですが、数年がかりの学会準備で、燃え尽きて書けませんでした(;^ω^)

私が生涯のライフワークに選んだ不妊鍼灸で、このように掲載されたことは一生の宝です。

内容は、不妊鍼灸のエビデンスを、しかもメイド・イン・ジャパンの質の高いエビデンスを作り、世界に発信してきましょう、と言うものです。

しばらくの間、当院玄関前に置いておきますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

ちょっとうれしかったこと

本日は名残雪・・・でしょうか。

高校の合格発表も終わり、当院患者さんでは大学進学が決まった方もあり、それぞれの名残雪なんでしょう。

先日、ちょっと、というかすごく嬉しかったことがありました。

当院の若先生夫婦が子供をつれてホームセンターで買い物をしてて、元患者さんであったあるご夫婦にばったりお会いしたそうでした。

そのご夫婦のことを思い出して書いてみます。

胚盤胞まで到達できず、凍結できない

体外受精を繰り返しているが、なかなか妊娠できない。そもそも卵はまぁまぁの個数を採卵できるが、胚盤胞まで行かず凍結できない、ということでした。

そろそろ妊娠が難しくなってくる年齢でしたし、真っ先に考えられるのは卵巣の老化=卵の老化でした。

また受精した後、卵は生物学的には卵子になり、細胞分裂を繰り返し成長していきますが、受精する際の遺伝子の半分は精子にありますから、精子に問題がある場合も胚盤胞に至らない、また着床しても流産を繰り返す場合があります。

このことを説明して、ご夫婦そろってきわめて真面目に、鍼灸治療を長期間続けました。

それでも良い胚盤胞にならない

鍼灸治療を続けながら、採卵を行い、わずか1個でも胚盤胞が取れれば移植をする。そんなことを2回か3回ありましたが妊娠できない。

病院が変わって妊娠

こういう場合は、あまりない事ではありますがその病院の治療が患者さんの体質に合わない場合もあります。

思い切って変えてみることを進言しました。ただし、かなり遠方の病院でしたが。

患者さんはいろいろ熟慮した末、転院をしました。

鍼灸治療は中止

ただし遠方の病院だし、通院にも交通費が大変かかるわけで、患者さんからは『鍼灸治療はいったん中止したい』と申し出がありました。

毎回新幹線利用ですし、それは仕方がない事だと思います。

不妊治療の鍼灸治療は、十分な期間と回数を行っていると、例えば、鍼灸治療を中止しても採卵の成績は4ヶ月くらいは低下しないことが経験上わかっています。

ですから鍼灸治療を中止しても、すぐに採卵できれば妊娠できる可能性は高いと思っていました。

このご夫婦は、開始から中止まで1年2ヶ月、最初の採卵は治療開始後4ケ月30回治療時で8個採卵ただし全部凍結できず。

その3ヶ月後に4個採卵、1個胚盤胞(4BC)へ。移植するも妊娠できず。

その後年が明けて半年後にまた採卵。8個採卵3個受精、ただし胚盤胞はゼロで凍結できず。

その後転院と鍼灸中止。

転院したらすぐ妊娠したそうな

若先生夫妻に再会したご夫婦は、転院してすぐに採卵と胚移植し、すぐに妊娠したそうでした。

昨年6月に当院を中止。若先生夫妻が先週再会した時に、奥様は妊娠7ヶ月だったか8ヶ月そうでした。妊娠期間を考えると、転院してすぐ妊娠できたようです。

心配していたご夫婦でしたので、そのお話を聞いて本当にうれしかったです。

なお、今専門医の治療を受けてもなかなか妊娠できない方がこれを読まれ、安易に転院を考えないようお願いいたします。

当院では1年2ケ月以上この患者さんご夫婦の治療の際、毎回詳細に状態を確認し、体質がその病院の治療に合っていないのでは、と思いました。その病院では高齢など非常に難しい方が何人も妊娠出産しておりますし、当院でもよく紹介させていただくところです。