研修その3は、インシデントレポートです。
鍼灸は副作用もない(非常に少ない)安全な医療ですが、もちろん危険防止について学ぶこともたいへん重要です。
研修では、より安全な刺鍼法について、明生鍼灸院・木津先生より提案がありました。
中髎穴刺鍼法という、子宮内膜を厚くする効果がある刺鍼法です。また間質性膀胱炎という極めて難治な膀胱炎に対しても行う手技です。
より安全に刺入するためのハリの長さ、角度について提示がありました。
研修その3は、インシデントレポートです。
鍼灸は副作用もない(非常に少ない)安全な医療ですが、もちろん危険防止について学ぶこともたいへん重要です。
研修では、より安全な刺鍼法について、明生鍼灸院・木津先生より提案がありました。
中髎穴刺鍼法という、子宮内膜を厚くする効果がある刺鍼法です。また間質性膀胱炎という極めて難治な膀胱炎に対しても行う手技です。
より安全に刺入するためのハリの長さ、角度について提示がありました。
JISRAM東京研修その2は、山下湘南夢クリニックの培養室長である中田久美子先生による『一流の培養士への道』です。
中田先生は、以前は加藤レディスクリニックの研究室に勤務しており、様々な研究業績を残されました。
『不妊治療はつらくない』(加藤修著)の中に紹介されている、『卵子回帰説』を証明する実験に参加された第一人者でもあります。
卵子回帰説とは、子宮内に移植された胚が子宮内にとどまらず、黄体ホルモン(プロゲステロン)、卵胞ホルモン(エストロゲン)の高低によって、卵管に戻ったり子宮に留まったりする、というものです。
一人前で終わらず、生命を扱う医療者として常に一流の高みを目指す培養士の使命について、常に厳しい研究姿勢をお持ちだと感じました。
私たち鍼灸師も、常にそうありたいと思います。
先日、山形へ行った次の日の9月18日は、東京での研修でした。
この日はライフワークである不妊や生殖医療についてなので、非常に楽しみにしていました。
会場は、渋谷のヒカリエ。
11階の展望台から見る、富士山。
第一講座は、不妊症とは一見関係ないと思われる、リウマチの話で、大阪の中島先生の講義でした。
一昔前は、進行性で骨変形が不可避であったリウマチでしたが、近年、MTX(抗がん剤・メトトレキサート)、生物学的製剤などの出現により、しっかりした医療を受けていれば、生活の質を高く保っていられる例が多い、という事でした。
ただし、こうした高価な薬が効くにも、もともとの体の状態も良くしておくことが必要であり、鍼灸は『薬が効く状態にすることができる』という事でした。
これは体外受精などでの排卵誘発にも言えることだと思います。
高価な注射などで排卵誘発するにも、体の基礎的な状態を良い状態にしてくことで、質の良い卵が採卵できる、という事だと思いました。
もう夏も過ぎ明日から9月。
今週末の土日は東北鍼灸学会に参加して来ます。
我が福島県鍼灸師会からは、いわきの湯本で開業されている『はりきゅう はしもと』の橋本修一先生が二人目不妊の症例発表を予定し、私がその座長をさせて頂きます。
当院では9月には胚移植と採卵を控えた方が数人いらっしゃいます。
私が学会のため治療院を不在にするときにご予約を取られた方もいらっしゃいますが、あらかじめ全てカルテに指示書をつけておきますので、ご安心して治療をお受け下さい。
今回発表される橋本先生の続発性不妊の症例報告は、1人目のお子様の夜泣きを小児鍼で治療し、改善させ、お母さんの治療も行って、早期に2人目の妊娠に成功させた、と言う一風変わったもので、大変珍しい発表です。
このような発表の座長をさせて頂くこは、大変ありがたいです。
昨日、8月27日は天気の良い最高のバイク日和(;^_^Aでしたが、当院に治療器具一式を卸してくださっている株式会社カナケンさんのセミナーで講演してきました。
カナケンさんも、お得意様サービスのために、時々こうしたセミナーを開催していて、私はこれで4度目でした。
郡山開催はこれで2回目。仙台、新潟、とこれまでやらせていただきました。
今回は、秋田県、山形県、宮城県、栃木県からはるばるご参加くださった先生もいらっしゃって、大変楽しくやらせていただきました。
写真は、子宮内膜を厚くするなど着床改善の効果のある、中リョウ穴刺鍼法を行っています。
パワーポイントを使った座学が1時間半、実技が1時間半と長丁場の講義となりましたが、まだまだお話ししたいことは山ほどあります。
質疑応答では、質の高い質問を多数いただき、受講された先生のレベルの高さがうかがえまして、ますますこちらも勉強していく必要を感じました。
今年は11月に佐賀県鍼灸師会での講演がありますが、資料も良いり良いものを揃えたいと思います。
先日書いた『禁欲日数と精液所見』
http://sanpei89.rakusaba.jp/?p=1157 に、下記の通り追補します。
以前書いていたブログ
http://sanpei89.rakusaba.jp/diary/diary.cgi?no=899 に、下記の着床のことを書いていました。
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着床とは、黄体因子、子宮内膜因子、胚因子がいずれもが譲れない因子となり、それぞれが時間的に複雑に関係し合っています。
ハッチングした胚は子宮内膜上皮に乗って接着が起こります。その際にトロフィニンとインテグリンという物質が接着剤の役割をすると言うことです。
インテグリンがよりよい働きをするためには、炎症反応などによって出現するケモカインの働きが必要とのことです。
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※上記は、産科と婦人科2003年10号(1)1295 診断と治療社 ISSN 0386-9792『着床のメカニズム』
『膣内に射精された精漿中のケモカインやサイトカインが子宮内に炎症を起こし、着床準備状態を形成し』とここに書かれています。
頻繁に射精すると、精子の質も良くなる、また子宮内に頻繁に精子が侵入することにより、着床しやすい子宮内膜の状態が得られます。
もう一つありまして、禁欲日数が長くなると、精子の持っているDNAの断片化率が高くなる、というものです。
ごく初期の(化学)流産を繰り返したり、採卵し授精させても分割がストップしたりするのは、ここに一因があるかもしれません。
当院では、妊活・不妊治療にいらっしゃる患者さんの、初めての問診の時に、問診表を使います。
自然妊娠、人工授精、体外受精と問わず、妊娠に成功し赤ちゃんを迎えることができる方に共通する質問項目があります。
それは、1周期当たりの性交の回数です。
当院に訪れる方で一番多い回答は、1周期あたり2~3回でした。
これが5回以上と回答するご夫婦に、妊娠される方が非常に多い印象があります。
性交の回数は自然妊娠にすぐ直結しますが、人工授精や体外受精においても、成功の回数の多いご夫婦に、その今受けている治療の成功率も関連します。
考えられる理由としては、
以上が挙げられます。
例えば、体外受精を行っているカップルなど、、今更性交など・・・と思われる方も多いと思います。
しかし、自然な夫婦生活は大変重要なのです。
理由の2.については、免疫の関係する話でなかなか複雑ですが、後日書いてみたいと思います。
体の状態を改善し、また栄養の状態を良くして、次はその栄養や改善したホルモンの状態を成長していく卵子にどうリレーするか、の話になります。
原子卵胞から成長していった卵子は、排卵前3ヶ月より胞状卵胞となります。このあたりでは、ホルモンでは排卵するためのLHホルモンの刺激により成長し、受精した後に卵割~成長へ必要な栄養をためていきます。
卵巣にはたくさんの細かい血管があり、LHサージの時にその刺激を血液で伝え、またそれ以前1年くらい前からすこしずつ栄養を卵子は蓄えていきます。
特定のツボへ特定の刺激を加えると、交感神経の抑制を得られ、卵巣の血流が改善することは、いくつか前のブログ投稿で書いた通りです。
この、卵巣などの特定の臓器の血流を改善する(血流を増加させる)ことは、鍼灸が得意なところです。
※以降、カラーアトラス 不妊診療のための卵子学 より
上は排卵直前の成熟卵胞ですが、卵胞壁から卵子顆粒膜細胞へ血管が出来ています。ここまで運んできた栄養やホルモンは、さらに微小な循環で卵子に供給されます。
顆粒膜細胞の最も内側(卵子側)にある放射冠細胞の先はTZPと呼ばれる先端が卵子の透明体に入り込んでいます。
TZPと卵子表面は、GapJunction(ギャップジャンクション)と呼ばれる一種の突起でつながれていて、ここから栄養やホルモンが卵子に入り込んでいきます。
一節には卵子内のミトコンドリアはこの近辺まで近づき、糖質などの栄養を確保するというお話でした。
※日本IVF学会前理事長 森本義晴先生から直接お聞きしたお話しです。
森本先生はIVFなんば、IVF大阪、HORACグランフロント大阪クリニックの3院を合わせると世界最大の生殖医療専門クリニックとなるIVFジャパンの理事長をされていて、ミトコンドリア自己移植による生殖医療の研究をされていますが、鍼灸の可能性には大変な期待を持たれています。
下の写真は、2年前に開催された第64回全日本鍼灸学会(郡山開催)の懇親会の時のものですが、鍼灸の学会に来ていただいて不妊症と鍼灸についてご講演いただいた事は大変良い思い出です。