鈴木雅雄先生教授就任記念学術集会(福島医学会学術研修会)へ参加・出席しました

10月15日の土曜日午後は、診療を任せて福島市で開催された福島医学会学術研修会へ参加してきました。

この学術医研修会は、福島医大・会津医療センターの鈴木雅雄先生の附属研究所・教授就任を記念しての開催で、テーマは鈴木先生のCOPD(慢性閉塞性肺疾患=肺気腫など)についてでした。

開催に先立っては、会津医療センター漢方医学講座の三潴忠道先生からの開会あいさつがありました。

三潴先生は会津医療センター開設準備室ができてから、福島県鍼灸師会として10年のお付き合いになります。

私が鍼灸師会の会長になった際、会津医療センターの三潴教授に挨拶に伺い、その際、教授室で三潴先生が自ら淹れてくださったコーヒーの味が今でも忘れられません。

湯液と鍼灸は(日本)漢方の両輪、とは、いつも三潴先生が語っておられます。三潴先生も『専門外だけどね』と言いながら、実は鍼灸での学会発表もされています。クールでユーモアがあって、日本漢方界の重鎮です。今日の教授就任祝いを誰よりも喜ばれたのではないでしょうか。

学術プログラムの最初は、明治国際医療大学の矢野忠学長より、『我が国における鍼灸医学の近現代史』が講演されました。

日本の医療が明治に、ドイツ医学を中心とした西洋医学を主流にし、太平洋戦争で日本が敗戦した後、GHQより鍼灸や漢方がアメリカにない医療ということで、禁止されました。

鍼灸という優れた伝統医療が日本から消滅しそうになったのですが、私たちの先輩鍼灸師が国会前で座り込みの抗議を行ったり、鍼灸に理解のある三重県立医学専門学校(現在の三重大学医学部の前身)石川日出丸博士が、当時最先端の研究であった『自律神経の二重支配』をもってGHQに対して鍼灸の効果を科学的に説明したそうです。

また視覚障がい者などにマッサージや鍼灸をさせてはいけない、という案に、ヘレンケラーがGHQのマッカーサーに対して直接に手紙を書き、それを取り消しさせたといいます。マッカーサーはヘレンケラーに大変尊敬していたのだそうでした。

鈴木雅雄先生のご研究は、鍼灸の科学的追及であり、日本式鍼灸が内科疾患であるCOPDに対して優れた効果があると世界に周知したものですから、これもまたGHQから鍼灸を守った石川博士たちの活躍と重なるところがあります。

学術プログラムの2番目は、福島医大・呼吸器内科学講座教授の柴田陽光先生、京都大学大学院医学研究科医療情報学の准教授である高橋由光先生、そして鈴木雅雄先生の三名によるシンポジウムが行われました。

鈴木雅雄先生は、日本の鍼灸を研究する科学者として抜きんでていますが、多数の先生方の活躍で、慢性疼痛や線維筋痛症をはじめ多数の診療ガイドラインで鍼灸を推奨するグレードで記載されるようになったことは大変心強く思います。