ちょっとうれしかったこと

本日は名残雪・・・でしょうか。

高校の合格発表も終わり、当院患者さんでは大学進学が決まった方もあり、それぞれの名残雪なんでしょう。

先日、ちょっと、というかすごく嬉しかったことがありました。

当院の若先生夫婦が子供をつれてホームセンターで買い物をしてて、元患者さんであったあるご夫婦にばったりお会いしたそうでした。

そのご夫婦のことを思い出して書いてみます。

胚盤胞まで到達できず、凍結できない

体外受精を繰り返しているが、なかなか妊娠できない。そもそも卵はまぁまぁの個数を採卵できるが、胚盤胞まで行かず凍結できない、ということでした。

そろそろ妊娠が難しくなってくる年齢でしたし、真っ先に考えられるのは卵巣の老化=卵の老化でした。

また受精した後、卵は生物学的には卵子になり、細胞分裂を繰り返し成長していきますが、受精する際の遺伝子の半分は精子にありますから、精子に問題がある場合も胚盤胞に至らない、また着床しても流産を繰り返す場合があります。

このことを説明して、ご夫婦そろってきわめて真面目に、鍼灸治療を長期間続けました。

それでも良い胚盤胞にならない

鍼灸治療を続けながら、採卵を行い、わずか1個でも胚盤胞が取れれば移植をする。そんなことを2回か3回ありましたが妊娠できない。

病院が変わって妊娠

こういう場合は、あまりない事ではありますがその病院の治療が患者さんの体質に合わない場合もあります。

思い切って変えてみることを進言しました。ただし、かなり遠方の病院でしたが。

患者さんはいろいろ熟慮した末、転院をしました。

鍼灸治療は中止

ただし遠方の病院だし、通院にも交通費が大変かかるわけで、患者さんからは『鍼灸治療はいったん中止したい』と申し出がありました。

毎回新幹線利用ですし、それは仕方がない事だと思います。

不妊治療の鍼灸治療は、十分な期間と回数を行っていると、例えば、鍼灸治療を中止しても採卵の成績は4ヶ月くらいは低下しないことが経験上わかっています。

ですから鍼灸治療を中止しても、すぐに採卵できれば妊娠できる可能性は高いと思っていました。

このご夫婦は、開始から中止まで1年2ヶ月、最初の採卵は治療開始後4ケ月30回治療時で8個採卵ただし全部凍結できず。

その3ヶ月後に4個採卵、1個胚盤胞(4BC)へ。移植するも妊娠できず。

その後年が明けて半年後にまた採卵。8個採卵3個受精、ただし胚盤胞はゼロで凍結できず。

その後転院と鍼灸中止。

転院したらすぐ妊娠したそうな

若先生夫妻に再会したご夫婦は、転院してすぐに採卵と胚移植し、すぐに妊娠したそうでした。

昨年6月に当院を中止。若先生夫妻が先週再会した時に、奥様は妊娠7ヶ月だったか8ヶ月そうでした。妊娠期間を考えると、転院してすぐ妊娠できたようです。

心配していたご夫婦でしたので、そのお話を聞いて本当にうれしかったです。

なお、今専門医の治療を受けてもなかなか妊娠できない方がこれを読まれ、安易に転院を考えないようお願いいたします。

当院では1年2ケ月以上この患者さんご夫婦の治療の際、毎回詳細に状態を確認し、体質がその病院の治療に合っていないのでは、と思いました。その病院では高齢など非常に難しい方が何人も妊娠出産しておりますし、当院でもよく紹介させていただくところです。