3月は、本業よりも会長を務めている福島県鍼灸師会での雑用が大忙しです。
3月12日は土曜日で書き入れ時ですが、和樹先生、美智先生に治療室を任せて郡山市の福島医療専門学校さんへ行ってきました。
学校の壁には、3年間の学生生活を送った証である写真が掲載されていました。
毎年この時期、国家試験を終えて卒業間近の3年生を対象に『業団説明会』を行っています。
卒後研修が医師のように確立していない鍼灸業界において、若葉マークの新卒鍼灸師に対してわが福島県鍼灸師会は、最新の医療教養、治療技術の伝授、医療人としての人格形成など、一人前の鍼灸師に必要な研修を毎年継続して行っています。
また一人前の鍼灸師になるために知っておかないといけないことがあります。
WHOでも国際疾病分類の最新版(ICD-11)に、鍼灸を含む代替医療の疾病分類のコーディングが取り入れられました。
つまり鍼灸は全世界の共有財産となったわけです。
しかしある1国により、国際標準化機構(ISO)を使って独占されようとしているのです。
経済覇権では一帯一路、海洋覇権(領土拡張)などを強引に進める中国が、『鍼灸は中国が発祥であるから、鍼灸にかかわる教育や臨床すべては中医学式を国際標準にすべき』とされようとしているのです。
今や世界中で鍼灸は、効果が高い、安全性が高い、副作用も少ない、費用も少なくて済むということで広く行われています。
だからWHOも国際疾病分類に鍼灸での病症の分類のコーディングを取り入れたのです。
世界では主に中国式、韓国式、日本式という鍼灸の分類があります。いずれも良いところがある治療の様式ですが、ISOで独占されては、日本式の鍼灸の伝統も良さも絶えてしまいます。
こうした鍼灸という全世界の共有財産を守る運動は、一匹狼の開業鍼灸師ではできません。
鍼灸師会という組織に所属しその納めた尊い会費から、場合によっては政治家を使って国際ロビー活動を行う必要があります。
私が所属する福島県鍼灸師会に入会すると、その会費は上部の日本鍼灸師会にも上納され、日本鍼灸師会が所属しているJLOM(日本東洋医学サミット会議)がその会費で国際ロビー活動を展開します。
自分だけ儲かればよい、というのは一番ダメな鍼灸師です。
無事に国家試験をパスしたら、晴れて鍼灸師になります。
保険が使えない自由診療の鍼灸院には、健康には特に意識の高い高学歴の患者さんが多いという特徴があります。
当院にも医師や歯科医師などが常連として来院します。
そのようなハイレベルな患者さんから『先生』と呼ばれるのですから、教養を高め、国際的な視点をもって患者さんに向き合える鍼灸師を目指すことが非常に大切です。
私が会長を務める福島県鍼灸師会では、皆さんを高みに導き、鍼灸を職業に選んでよかった、と思えるような鍼灸師に育てていきます。
そのような話をしてきました。