鍼灸治療のエビデンス(効果の根拠) その3 神経血流の改善の効果について

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痛みの鎮痛効果、痛み止めだけではなく、筋肉の血流を改善して疲労や痛みを改善する鍼灸の効果について、その1 その2と書いていきました。

今回は、神経血流の改善の効果について鍼灸の働きを書いていきたいと思います。

・アドレナリンによる神経収縮 → 末梢の血流減少
末梢神経血管の血管収縮神経には、アドレナリン作動性の神経繊維が存在すると言われている。
この神経が活動すると、神経末端よりノルアドレナリンが放出され、血管平滑筋のα受容体に作用して血管を収縮させ、局所神経血流を減少させる。
逆にこの神経の活動が低下すると血管は緩んで拡張し、局所神経血流は増加する。

・血管拡張神経の活動 → 神経血管の拡張
血管拡張神経には遠心性のコリン作動性血管拡張神経と求心性の血管拡張神経があると考えられている。
求心性の血管拡張神経は、求心性神経の逆行性興奮によって起こるもので、軸索反射機転によるものと考えられている。
すなわち、逆行性興奮により求心性の神経末端からカルシトニン遺伝関連ペプチド(CGRP)が分泌され、それが末梢神経血管のCGRP受容体に作用して血管を拡張させる。
※鍼灸刺激により軸索反射を介し、CGRPの分泌が起こり、神経血管の拡張→神経血管の血流改善が起こる。

 

特にしびれや冷えなどの改善=末梢神経血管の神経性調節について

・アドレナリン作動性の血管収縮神経の末端からノルアドレナリン(N A)が分泌され、血管のα受容体に作用すると末梢神経血管は収縮して局所神経血流は減少する。

・一方、コリン作動性の血管拡張神経の末端からはアセチルコリン(ACh)が分泌され、ムスカリン受容体に作用すると末梢神経血管は拡張して局所神経血流は増加する。
※鍼灸刺激は、コリン作動性神経を活性化させ、アセチルコリンの分泌を増やす効果があります。

・求心性神経を逆行性に興奮させる軸索反射機転により神経末端からCGRPが分泌され、CGRP受容体に作用すると末梢神経血管は拡張して局所神経血流は増加する。
※鍼灸は刺入部位付近から支配領域の脊髄より軸索反射を起こし、CGRPの分泌を起こして血流を改善します。

もうちょっと知りたい方には、当院ホームページ内の下記ページをご覧ください。

しびれなど、神経の血流改善に対しての鍼灸治療の効果の根拠 →