不妊治療で大切なこと3)子宮系、着床成績の向上に鍼灸は寄与するか

11月の全日本鍼灸学会東北支部学術集会で講演する内容の整理シリーズです。これをもとにスライドを組み立てていきます。

さて、良い胚を移植しても着床しない妊娠できない。

卵が先か子宮が先か。 体外受精では良い胚の獲得と並んで永遠のテーマだと思います。

近年は胚盤胞の細胞をいくつか採取して染色体の異常を検査する着床前スクリーニング・着床前診断を行う方が増えてきました。

何度も胚移植しても妊娠に至らないのは、可能性としては一番先に疑うのは胚の良否だと思います。

しかし、遺伝子を扱ううえで倫理上様々な制限があり、そう簡単に受けられないのが染色体の検査です。

さて、胚に何の問題もないと前提しての話になります。 何度も胚移植して着床しない・妊娠できないのは、子宮側に何らかの問題があると考えるのは普通のことでしょう。

子宮側の視点で反復着床障害(RIF=Repeated Implantation Failure)という病態を検査するには、

  • ALICEテスト 子宮が慢性子宮内膜炎に罹患していないか、の検査。慢性子宮内膜炎に罹患していると、まず妊娠しない着床しないと言われています。
  • ERAテスト 子宮は胚盤胞を着床させるのは数時間程度と短く、移植のタイミングがずれていないか調べるテストです。
  • ほかEMMAテスト、通常の子宮鏡による子宮内検索など行うようです。

さて、鍼灸による着床改善に関しての論文は?

あります。イエスPuMed!

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33613685/

The Effects of Acupuncture on Pregnancy Outcomes of Recurrent Implantation Failure: A Systematic Review and Meta-Analysis

日本語訳タイトル「再発性着床不全の妊娠転帰に対する鍼治療の影響:系統的レビューとメタ分析」

2021年の、最近の研究です。

目的: 体外受精・胚移植(IVF-ET)を受ける再発性着床不全(RIF)患者に対する鍼治療の有効性と安全性を系統的に評価し、臨床医と患者に信頼できるガイダンスを提供することを目指す。

【方法】 国内外の医学雑誌を検索し、IVF-ETを受けているRIFに対する鍼治療のランダム化比較試験(RCT)の文献を収集した。

メタ分析には RevMan 5.3 ソフトウェアが使用され、含まれた研究の品質を評価するためにコクランのバイアスリスク評価ツールが使用されました。

結果: 最終的に基準を満たす 7 つの文書が含まれました。 その結果、臨床的妊娠率(RR = 1.90、95% CI (1.51, 2.40)、 P < 0.05)、生化学的妊娠率(RR = 1.59、95% CI (1.27, 1.99)などの転帰において介入群(鍼灸群)の方がより寄与していることが示されました。、P < 0.05)、

胚の着床率(RR = 1.89、95% CI (1.47、2.45)、P < 0.05)、子宮内膜の厚さ(MD = 1.11、95% CI (0.59、1.63)、P < 0.05)の場合対照群と比較すると、その差は統計的に有意です。

胚移植の数と子宮内膜の種類に関して、鍼治療グループと対照グループの間の差は統計的に有意ではありませんでした。

結論: RIF患者に対する鍼治療は、患者の妊娠転帰を改善する可能性がある。 比較的有効で安全性が高く、臨床応用に適した治療法です。

ただし、含まれている研究の質は十分ではないため、このメタ分析の結論は注意して扱う必要があります。 証拠レベルの向上のためには、高品質で大量のサンプルを備えた二重盲検RCTの増加が期待されます。

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上記は7文献を検討したレビューになります。

鍼灸を行うと、体外受精での着床率と妊娠率が改善するようですが、今後さらにサンプル数を多くした研究を行う必要がある、ということです。

 

結論。

着床改善に、鍼灸は有効である。しかし、ERA、EMMA、ALICEテストなど陽性の場合、もちろん医療による治療が必要なのは言うまでもありません。