パーキンソン病と鍼灸 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症にも

去る7月7日(日)全日本鍼灸学会東北支部の研修会で、盛岡に行ってきました。

受講した講座は、3つ。

「高齢化社会における口腔と嚥下の話し」
講師:はら歯科口腔外科・嚥下 曽根田駅前 院長 原 純一 先生

歯科医療としては、80歳で20本の自分の歯を、という8020(はちまるにいまる)運動というのがありました。

入れ歯ではない、自身の歯でおいしく食べるというものでしたが、超高齢化時代になると高齢者、特に寝たきりに近い高齢者が歯を磨くという大変な問題に直面するそうです。

嚥下機能も歳とともに衰えますから、口腔の衛生は本当に大切な問題と思いました。

左から2枚目が原先生です。

前夜の会食時に、写真を撮らせていただきました。

 

「パーキンソン病と鍼灸」
講師:新潟医療福祉大学鍼灸健康学科 教授 江川雅人 先生

高齢化社会になると増えてくる神経難病。特にパーキンソン病のお話でした。

鍼灸は、パーキンソン病特有の『筋強直』、『振戦』、『抑うつ症状』に特に有効である、ということでした。

大脳の黒質細胞にレビー小体というαシヌクレインという病的タンパク質の塊が蓄積するのがパーキンソン病であり、病的な『筋強直』、『振戦』、『抑うつ症状』の改善のほか、鍼灸は睡眠の質を改善することから、グリンパティックシステムを発動して、脳の代謝を高めて予防する可能性についてお話しいただきました。

ただしパーキンソン病が治るわけではなく、鍼灸は進行をゆっくりと遅らせ、日常生活を楽にする、というくらいの効果です。

しかし、パーキンソン病と診断される前から鍼灸治療を健康維持のために受けていると、パーキンソン病の予防になるのではないかと思いました。

なお、グリンパティックシステムが鍼灸で発動しやすくなるのであれば、アルツハイマー型認知症(アミロイドβという病的タンパク質が大脳皮質に蓄積して発病)、レビー小体型認知症(αシヌクレインという病的タンパク質が大脳皮質に蓄積して発病)など、鍼灸で予防できる可能性があります。

神経難病の予防に鍼灸を

鍼灸は脳内のドーパミンやセロトニンを増やすことがわかっています。また脳の血行も改善します。

脳内の掃除を行う、脳内リンパの流れ(グリンパティックシステム)を改善し、神経難病の予防治療が、これから注目されそうです。

 

全日本鍼灸学会東北支部の仲間(学術委員)と

5月の全日本鍼灸学会総会で、私・三瓶は全日本鍼灸学会理事・東北支部長に選任いただきました。

東北支部学術委員の皆さんと、東北支部の鍼灸学術を盛り立てていきたいと思います。