「不妊症・子宝治療」カテゴリーアーカイブ

原因不明不妊を考える 香川県鍼灸師会講演スライドから

7月の日曜診療は、3日、10日、31日の午前中のみとなります。
日曜日は術者が1名のため新患の対応はできません。

 

香川県鍼灸師会での講演のスライドです。

原因不明(女性)不妊に卵管のピックアップ障害が原因として推定されています。

ピックアップ障害とは、排卵寸前の卵胞を卵管が探り当て、排卵した卵子を卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)と呼ばれる部分でキャッチして卵管内に吸い込む働きを言います。

この機能が悪いために、射精され子宮内から卵管先端で待っていいる精子に、排卵した卵子が出会えなくて妊娠できないのです。

子宮内膜症の腹腔内には、子宮内膜症のために以上に免疫の活性化した腹水があります。

その腹水中には様々なサイトカインが産生され、例えば卵管のピックアップを阻害したり、未破裂黄体化卵胞(LUF: lutenized unruptured follicle)を起こさせたりします。

LUFは一種の遺残卵胞の一つで、多くの方が経験するものです。

たとえば子宮内膜症が進行したものに子宮内膜症性嚢胞(いわゆるチョコレート嚢胞)というものがあります。これは子宮内膜症の分類ではよく使われるr-ASRM分類:(修正米国不妊学会分類)の3~4期の進行したものになり、当然に不妊の原因になりうるわけですが、、、、

自然妊娠や人工授精の妊娠率をを阻害する卵管のピックアップ障害を引き起こすのは、r-SARM分類でも1~2期の軽い病期のものが多いそうです。

子宮内膜症の一種の広範な炎症状態でサイトカインが増えますから、たとえば、鍼灸のように月経痛が改善する治療はこうしたサイトカイン暴走の状態を改善するのではないかと考えます。

月経痛が改善したら、自然に赤ちゃんを授かった。
当院ではよくある話ですが、こうした要因があるのかもしれません。

 

原因不明(女性)不妊を考える

7月10日(日)は、午前中は日曜診療があります。

少し早めに切り上げて、午後からはリモート登壇で香川県鍼灸師会様の講習会の講師を務めます。

やっと、講義に使うスライドを作り上げました。

作ったスライドは90枚。
これも話さないとダメでしょ、これもこれも。。。
90枚になったわけですが。

枚数を少なくするのは、至難の業です。

今回は3時間の講義時間で、スライドでお話しするのは2時間。
残り1時間はビデオ撮りしておいたファイルを使っての実技披露です。

久しぶりにスライドを作りましたが、新しい気づきもたくさんありました。

やはりというか、原因不明不妊について思うのは、軽度の子宮内膜症が遠因になっているのではないか。

そう思います。

下のスライドは講義に使うものですが、ハンズ・エバーズというヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の会長も務めた学者さんの研究で、女性不妊患者にこれだけの子宮内膜症罹患の頻度があります、というデータです。

 

あと山王病院院長を務めた、東京大学産婦人科元教授の、堤治先生のデータ(生殖医療のすべて 丸善 P122)

初潮から20年といえば30代も半ばで、不妊で鍼灸院に良く来院する年代ですが、出産回数が0回だと75%近くが子宮内膜症になるだろうというものです。

もっとも子宮内膜症の患者さんを調べたデータで、すべての女性がそうなるわけではありません。

子宮内膜症は鍼灸で根治できるものではありませんが、その痛みなどの苦痛に対する対応は不妊治療に通じるものがあります。

ある日の採卵

次の休日診療は、7月10日(日)朝8時~正午までとなります。

某日子宝を望む患者様を治療していました。

過去2回採卵された方で、3回目の採卵ではよい成績を出したい、ということで鍼灸を始めた方でした。

十分な回数の鍼灸を行い、採卵周期に入るはずがFSHが高くいったんリセットに。次の周期もまだFSHが高いということでリセットへ。

その間も鍼灸とレーザーを休まず行い、やっと採卵周期に入り低刺激法での管理誘発を行い2個採卵できて、2個ともよいグレードで凍結できました。

主治医によると、その2個のほかにも多数の小卵胞が発育していたそうで、いつの間にか卵ができる体になっていたようです。

採卵の日は病院がとても混んでいたそうで、5件の採卵があったそうでした。

その患者様の治療をしながら、隣のベッドで次の患者さんの治療を開始。その患者さんも採卵後初の治療でした。

先ほどの患者さんと同じ日に採卵でした。ということはその病院の5件採卵のうち2件は当院の患者様だったわけです。
こんなこともあるんですね。

この患者様も卵巣機能が良くなかった方でしたが、長期にわたり真面目に根気よく通われ、2個採卵できて2個とも凍結できました。また空胞も入れれば10個以上卵胞が育っていたそうでした。
採卵数が2個ですので胚盤胞まで培養せず3日目胚で凍結したそうですが、1個はVeeckの分類でG1だったそうです。

一般的に卵巣機能が思わしくない場合は、最低限1週に1回、できれば2回の治療を、治療開始から3か月程度は集中的に行い、徐々に週に1回の治療にしていきます。

卵巣に栄養の富んだ血液をたくさん送るよう、卵巣周囲の血管が拡張するような治療法を行いますが、1回の治療で効果の持続する時間は限られてしまいます。

治療の開始時期から3か月は、特に頻回に治療を行うとその後の効果が良いようです。

 

香川県鍼灸師会様で講師を務めます(^^)

ご縁があり、7月10日の日曜日は午後から香川県鍼灸師会様で不妊症についての3時間の講義をさせて頂く事になりました。昨年の大阪についでリモートによる講義を行います。

毎年、全国の鍼灸師会様などで1回か2回くらい講師を務めさせていただいています。

昨年は大阪府鍼灸マッサージ師会様の『鍼灸師のための周産期ケア講座』と、あと自分の所属する福島県鍼灸師会の冬季学術講習会でした。

今年は7月のこの講座のほか、11月27日に仙台で開催される日本伝統看護連携学会にシンポジストとして登壇させて頂く事になりました。

診療の合間、パワーポイントを使ってスライドを作成します(^^)

冬は精液測定は慎重に

当院では、患者様同士と当院従業員の院内感染を防ぐ観点から、当分の間、風邪症状(のどの痛み、せき、くしゃみ、発熱、悪寒、倦怠感など)のある方の来院の自粛をお願いいたします。

当院では、第1の得意治療として不妊治療を標榜しております。

女性が治療に来院するのが非常に多いですが、男性不妊も対応しています。

男性不妊は端的にいえば精液・精子の状態を改善することを目的にしています。

そのほかは性交障害やEDなどにも対応します。

女性不妊では複雑なホルモン測定など、血液検査が必須となりますが、男性の精液測定は射精された成績を顕微鏡で調べるだけですので、割合簡単に評価できます。

この日の測定は30代の方でした。
(患者様には許可をいただいて掲載しています)

測定してみると、精液濃度(数)や総運動率に問題なさそうですが、厳冬期に当院まで1時間かけて射精した精液を持ち込まれたため、全体の印象としては『運動率はあるが、直線運動がすくなく全体的に元気が少ない印象がある』という感じでした。

精液を持ち込んで検査する場合、冬季は精液の容器はやや温めた状態のほうが良いようです。

温度としては、37度を越えないくらいで良いでしょう。
容器をタオルなどで覆い、その上から使い捨てのカイロで温めると良いようです。

当院には精液を測定評価できる設備があり、常に客観的なデータを蓄積して男性不妊のみならず、不妊症に対する鍼灸治療を行っています。

不妊治療後、妊娠した場合の病院選び

2月の診療案内(日曜休日診療含む)→

当院では、患者様同士と当院従業員の院内感染を防ぐ観点から、当分の間、風邪症状(のどの痛み、せき、くしゃみ、発熱、悪寒、倦怠感など)のある方の来院の自粛をお願いいたします。

本日は日曜診療で午前中診療をしておりました。

うれしいことに、最後の凍結卵1個で妊娠判定陽性!の方がおられました。

当院では、黄体期後半や基礎体温表で確認して必要がある場合は通常の電気鍼を多用する治療から、仰臥位では置鍼を多用する『流産予防』の治療に切り替えることが良くあります。

黄体期の後半は広義の妊娠を疑う必要があります。

妊娠した時とそうでない場合は、当院の場合は明らかに治療を変えるのですが、それは理由があります。

不妊はそれ自体は病気ではありませんが、ホルモンの分泌状態や子宮の機能は『結婚したらすぐ妊娠した』普通の方より弱いことを考えています。

もし鍼灸を行ってそれらの働きを補い妊娠されたとしたら、さらに妊娠を維持する機能を補う治療を当院では考えます。

ですので、『もう大丈夫』という時期まで鍼灸治療をすすめます。

具体的には、自然妊娠で35歳未満の方の場合は妊娠第12週までに週に1回程度で、それで無事ご卒業となります。

35歳を越えている場合や、体質的に流産しやすいとされている多嚢胞性卵巣(PCOS)の場合や体外受精による妊娠の場合は、妊娠第12週までは毎週1回鍼灸治療を行い、それ以降は2週に1回の鍼灸治療を妊娠第20~24週まで行います。

過去に流産を繰り返した方の場合は、妊娠第30週を越えるまで行う場合もあります。

1月には、当院通院5年越え、体外受精で胚移植16回目にして妊娠され妊娠時44歳を越えた方が45歳越えで無事ご出産されましたが、妊娠第34週まで鍼灸を継続されました。

不妊にはさまざまな原因がありますが、明らかな原因が判明していない方が多く、加齢による因子が非常に多いので、妊娠後はやはり流産には気をつけねばいけないと思います。

妊娠できたからと言って、『結婚したら簡単に妊娠できた』方と同じではないのです。

ですから、出産まで妊婦検診を行う病院は『時間的に通いやすい場所にある』『何かあったらすぐに受診できる距離にある』ところを選ぶべきです。

『施設が新しくて奇麗だから』『食事が良いから』など、そういうことで選んではいけません。

不妊治療で授かった場合、私としては24時間対応の産婦人科のある総合病院をおすすめします。

通常の自然妊娠の場合、特に高齢などリスク因子がなければ、大きな総合病院ではなく、開業されている産科医院などでももちろん大丈夫です。

 

本日は日曜日

2月の診療案内(日曜休日診療含む)→

当院では、患者様同士と当院従業員の院内感染を防ぐ観点から、当分の間、風邪症状(せき、くしゃみ、発熱、悪寒、倦怠感など)のある方の来院の自粛をお願いいたします。

本日は日曜日で、午前中だけの診療でした。

まず一日の始まりは、柴犬ユキカゼの散歩から始まります。
今日は日が昇ってからの散歩なので楽です。

いつもは早朝で暗いうちからの散歩ですので、この時期はつらいです。

散歩から帰って、すぐに出勤。

マクドナルドで朝食のマフィンのセットを買い、職場でメールをチェックしながら食べて、診療開始。

この日はほんの3人だけ診療(;^ω^)

日曜日は、休診も多い気まぐれ診療なので、そんなに人数は集まりません。

帰宅してからは、昼食を食べた後はリモートの講習会に参加しました。岐阜県鍼灸師会主催の男性不妊の鍼灸治療で、この分野ではおそらく世界一と思われる伊佐治景悠先生が講師でした。

約3時間の講習会でしっかり勉強し夕方からは家内と夕食の食材を買い出しに。

ついでに本屋へ寄りました。

本屋さんでは、せんねん灸のサンプルのついたセルフ灸の本が売っていました。びっくりですね。

その後はコンビニの複合機で写真の印刷を。

時々、本当に時々ですが、当院で治療をさせていただき授かった赤ちゃんをお連れになり出産のご報告をしてくださる患者様がいます。

その際に記念撮影した写真が、2年間貯め込んでいました。

せっかくですからプリントして待合室に飾らせていただきます。

13枚のうち2枚は出産と関係ない写真で、11枚が赤ちゃんの写真になります。

4歳になってお連れになったお母さんもいらっしゃったのですが、さすがに4歳になってやや大きくなった写真では、見た方にはだれかわかってしまうので、残念ですが撮りませんでした。

2年で11人の出産ではなく、赤ちゃんをお連れになるのは10組とか20組に一組くらいのカップルです。
ですので、実際に授かって出産された方はずっと多いのです。

1月には、当院に約5年半通ってご懐妊され、45歳をだいぶ越えて出産された方からの出産後報告の電話がありました。

待合室に飾らせていただいている写真は、私の宝物です。

 

 

スライド完成

年末年始の診療案内 →
(ついでに休日診療案内も)

12月になりました

実に早いもんです

12月は講義を2つ担当していまして

1つは12日(日)午後
大阪府鍼灸マッサージ師会様と
大阪府鍼灸師会様の
合同で開催している
『鍼灸師のための周産期ケア講座』
https://www.osmk.osaka.jp/syusanki_seminar2021.html

第1講座は
『誰にも聞けない月経のお話』
講師:長岡崇徳大学 看護学部
柳原 眞知子 教授

ワタクシは第2講座担当ですが

 

 

 

 

大学教授の後に講師やるのかぁ。。。

 

 

 

 

それ絶対間違ってるよなぁ(;^ω^)

 

 

とりあえず

まじめにスライド作ると・・・

月経関連の
月経痛とかPMSとかの諸症状で

ものすごい経済損失があり

しかもたかが生理痛でということで

病院とかに行かないで
我慢している方が8割

 

 

原発性とも続発性とも

月経痛には非常に鍼灸は効果がありますが

例えばエストロゲン依存性疾患である
子宮内膜症などは

根治を目的にした鍼灸はあり得ません

結婚していないとかまだ若いとかで
妊娠を希望されていないのであれば

積極的に専門医を受診し
ピルなどを服用した方が良いでしょう

 

 

もし結婚をしたとかで妊娠を希望した際は

ピル服用を中止すれば妊娠できます

今年もピル服用後に不妊治療でいらした方が

何人かいましたが

みなさん案外スムーズに妊娠されました

 

 

無駄に排卵させないという意味からも

ピル服用はおすすめです

 

 

不妊治療の最後の砦ともいえる

ART=高度生殖医療でも

子宮内膜症の進行した際に多い
チョコレート嚢腫などがあると

卵の質が問題になったりして

なかなか大変なケースが多いようです