「研究会・勉強会・研修会参加」カテゴリーアーカイブ

当院の治療についてその1(福岡で講演してきた内容メモ)

10月10日の、福岡日帰り講演の内容を書きます。

当院の治療の基本的な考え方、また女性不妊治療での骨格となる部分です。

写真右は、生後15日目の私。中の写真上段右は私の母:三瓶美恵子(故人)、抱っこされているのが弟、その左は父:三瓶悌一(故人)、下段右は祖母:三瓶ノブエ、抱っこされているのが私) 写真左は、小学校入学の時の私。三瓶治療院の看板前にて。

当院の前身となる『三瓶マッサージ』は、昭和30年代に福島県甲子温泉に温泉マッサージ業として開業しました。

当初から祖母が視覚障害のある従業員を5~8名雇用しての温泉マッサージ業を営業し、後にマッサージ師であった私の父が鍼灸師を目指して神奈川の鍼灸専門学校に入学し、鍼灸師となります。

温泉マッサージ院と並行し、祖母は白河市に鍼灸マッサージ院(写真左:三瓶治療院)を開業し、すでに父より早く鍼灸師となっていた母の弟に治療を任せていました。

温泉マッサージは、鍼灸とは違い純粋な医療ではなく、慰安業と言ってよいと思います。現在のリラクゼーションでしょうか。
温泉に来てお湯につかり、のんびりしておいしいごちそうを食べ、凝っているところ、疲れているところを揉んでもらって英気を養う、というような感じです。

父は盲目のマッサージ師上がりの鍼灸師でしたから、お客さん(温泉マッサージ業では患者さんと言いません)の全身の凝りや疲れを揉みながら把握し揉み解す、という施術行為からそのまま後年の鍼灸治療に発展していったようでした。

マッサージは術後の爽快感があります。
また凝っているところ、疲れているところのマッサージは実に心地よいものです。

日本式の鍼は毛髪のような細い針を使います。
これも凝っているところに刺入すると心地よい感覚があります。

心地よい刺激・・・
日本式の鍼灸治療の効果について、スウェーデン・カロリンスカ研究所で鍼灸を研究しているT.Lundeberg博士は、『日本式の鍼は、(膝痛治療で)脳の報酬系を賦活し、効果を現している可能性がある』と2006年に京都で開催された国際学会で講演されました。

スウェーデンのカロリンスカ研究所とは、ノーベル賞医学生理部門の選考委員会がある世界最大の医科大学です。

心地よい、気持ち良いという刺激(脳への報酬)があると、ドーパミンやセロトニンといった体に良い物質が脳で生成されて、痛みを和らげたりする、というものです。

当院では、不妊治療だけではなく、腰痛や肩こり、また胃の痛みなどの内科的疾患の鍼灸治療でも、鍼灸の効果はこの報酬系の強い関与があると考えます。

女性不妊については、下記の視床(間脳)~脳下垂体~卵巣(卵胞の成長・排卵)の負のフィードバックの改善に、鍼灸による報酬系の関与が関係していると考えます。

不妊の患者さんに関わらず、どこかにストレスがあると、たいてい首や肩の凝りなどを持っています。
この凝りに対して日本式の丁寧な、優しい鍼を行うことにより、報酬系が刺激され、たとえばドーパミンなどが放出されると考えます。

ドーパミンは排卵を抑制するプロラクチンに拮抗(対抗)します。患者さんの中には週に一回、たいていは土曜日にテルロンやカバサールといったドーパミン作動薬を服用している方もいらっしゃるでしょう。

鍼灸で凝りや些細な不調を治療すると、こうしたホルモンの分泌に良い影響が得られると考えます。

(その2に続く)

福岡と盛岡で講演してきます

50回の節目にあたる東北鍼灸学会を無事終えても秋の学会シーズン真っただ中の当院です。

10月10日には福岡で第12回日本鍼灸師会全国大会福岡大会に参加し、光栄にも青年部講座『不妊鍼灸のススメ』の講演を担当することになりました。

また11月27日日曜日は盛岡で開催される全日本鍼灸学会東北支部B講座で『社会に役立つ不妊治療』の講演を担当させていただくことになりました。

10月の日本鍼灸師会主催の全国大会は、私も12年間日本鍼灸師会の青年部委員をやらせていただいたこともあり、大変思い入れのある学会となります。
当院の治療の紹介のほか、日ごろ不妊に対して思っていること、また若き鍼灸師の先生方へ特別なメッセージを添えて90分間お話ししたいと思います。

11月の盛岡での講座では、おなじく当院での治療の実際を実技をまじえてご紹介させていただき、少子高齢化の予想される東北の近未来の社会について鍼灸師が役立てるステージを提示したいと思っております。

第50回東北鍼灸学会が開催されました

9月18日(日)、19日(月・祝)の二日間にわたり、第50回東北鍼灸学会学術大会福島大会がわが福島県鍼灸師会の担当で開催されました。

学会頭は、福島県鍼灸師会会長の中沢良平先生(郡山市・一寸法師ハリ治療院
学会副会頭は、同副会長の佐藤今一先生(矢吹町・あけぼの鍼灸院
私(三瓶)は同じく鍼灸師会副会長でしたので、大会実行委員長を仰せつかり、準備期間1年を掛け、盛大な大会となりました。

特別講演1は、福島県立医科大学付属病院 性差医療センター部長の小宮先生をお迎えし、私は光栄なことに座長をさせていただきました。座長というか、役員の役得としてご講演の打ち合わせ時間に、小宮先生には日常診療での様々な疑問点、特に不妊、多嚢胞性卵巣についてのいつも持っていた疑問点についていろいろご教示を頂きました。

特別講演2は、同じく県立医科大学会津医療センター附属病院副院長 漢方医学講座教授の三潴忠道先生にお願いいたしました。座長には県鍼灸師会の中沢会長が務められました。
会津医療センターでの漢方診療の実際、また国内初となる公立医科大学での鍼灸師の公費による研修制度は前期2年後期3年の研修医と全く同じシラバスで、これからの日本鍼灸のあり方を強く提言していただきました。

月曜日祝日の市民公開講座では、東洋医学の知恵を込めた『経絡ストレッチ』を、帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科非常勤講師である朝日山一男先生にお願いし、座長はもともと朝日山先生と親交のあるいわき市・たけのこ鍼灸館の永山剛士先生にお願いしました。

ほか、アスリートの鍼灸による緊急処置では、JOC日本オリンピック委員会医科学強化スタッフである大高茂先生による講演で、鍼灸サロンLiberaの益子勝良先生

体幹・体の捻じれと経絡の概念を関連付けたダイナミックロト・セラピーでは創始者の溝口哲哉先生に3時間半にわたる講演をお願いし、県鍼灸師会青年委員長・訪問鍼灸 鍼龍院長の関根美智先生に座長を務めていただきました。

通常の学会発表にあたるポスター展示・発表では、いわき市の永山剛士先生のほか、一寸法師ハリ治療院の太田友理香先生が福島県代表として発表されました。司会・座長はいわき市・しゅう鍼灸院の柏原修一先生が務めました。

東北各県青年部の企画では、2020年開催東京オリンピックを視野に入れたスポーツ鍼灸のワークショップを行い、講師には呉竹鍼灸臨床研究所所長の古屋英治先生、座長は福島県立盲学校教員の矢吹淳先生にお願いいたしました。

昨年は第64回全日本鍼灸学会の準備や運営を2年がかりで。今年は東北鍼灸学会を1年がかりで。
この3年はホントにバタバタしております。

学会の写真が集まりましたら、紹介いたします。

公開講座の新聞記事(鍼灸柔整新聞)

だいぶ日が過ぎてしまいましたが、京都での公開講座の内容を鍼灸柔整新聞に取り上げていただきました。

講義の内容がよく書かれています。

鍼灸柔整新聞(一寸法師ハリ治療院・中沢先生提供)の記事。 クリックで大きくなります。

新聞記事は、福島県鍼灸師会会長・一寸法師ハリ治療院・中沢先生より頂きました。

クリックで大きくなりますので、お時間のある時にお読みいただければ幸いです。

原因不明不妊について考える(子宮内膜症編)

(はじめに 京都での不妊鍼灸ネットワーク公開講座で講義した内容を簡単に紹介します)

妊娠を希望して来院する女性患者さんを治療するにあたり、なぜこの方は妊娠、出産しないで当院に来たのであろうか、とまず最初に考えます。

患者さんによっては、専門医で診察や治療を受けている方もいらっしゃるし、中には体外授精を主とした高度先進生殖医療を受けている方もいらっしゃいます。

排卵障害や黄体機能不全、卵子の老化や卵巣機能不全など、病名ともとれるし単なる周期ごとの機能的な変調とも思える病態名を、患者さんはなんとなく抱えいるようです。

鍼灸師側からすると(女性)不妊治療は子宮の血流改善、内膜環境、また卵巣機能向上、卵子の質の改善を掲げて治療している場合が多いように思う。一方、鍼灸をよく知る高度先進生殖医療を提供する専門医から話を聞くことが何度かあり、多くの医師はもっとマクロの、体全体の底上げのような効果を鍼灸に求めていることが多いようです。

(女性)不妊の原因は判明するだけでも多岐に渡るりますが、それが生殖年齢を通してずっと抱え続けるものでないことは、みんさん周知のことでしょう。

ここで、案外見過ごしがちな月経痛を主訴とする『子宮内膜症』について京都の公開講座では触れてみました。

子宮内膜症の概要:本来子宮の内面に増殖する子宮内膜が、腹腔内など異所性に増殖する病態で、妊娠に対してさまざまな悪影響を及ぼします。
子宮内膜症による不妊の要因。実に様々な要因があります。しかも一般的には原因不明とされる場合が多いようです。

子宮内膜症は、進行した症例ではチョコレート嚢腫や骨盤内癒着などがあり、それぞれ医療の対象となりますが、軽症であれば専門医でも痛み止めの処方で終わることが多いようです。

 

実は、重症の子宮内膜症よりも軽症のものが免疫的な不妊をもたらしやすい、と言われています。子宮内膜症そのものに対しての鍼灸の効果は不明ですが、痛みの改善などは大きな効果があります。もしかしたら、(鍼灸による)炎症状態改善は、子宮内膜症によって引き起こされている強い生理活性の改善効果があるのではないかと思います。

しかし、子宮内膜症はその病態のステージから妊娠にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。子宮内膜症の主訴は、『続発性の月経痛』です。この主訴は鍼灸でよく軽快します。

今後、月経痛の改善から子宮内膜症に対する鍼灸治療の効果、またそれによる妊娠率向上への研究が進むことを願っています。

次回は、子宮内膜症の不妊に関する文献を紹介します。

不妊鍼灸ネットワーク公開講座で参加と講義をしてきました。

お彼岸の連休は、京都での第二回不妊鍼灸ネットワーク公開講座に参加してきました。

講座はびっしり7時間。

第一講座を担当してきました。

群馬の秋森先生にPCをセットしてもらい、講義開始~~

しかし1時間の持ち時間を40分に短縮せよ、と指示があり。。。

苦労しました(涙) 実技なんか懇親会の時に、セイリンさんにベッドを持ってきてもらって行いました。

早口でしゃべりまくり、わけのわからない講義となったと思います。後日ブログに話した内容を書いていきたいと思います。

講義のほか、会員の症例発表も。

写真の発表者は、兵庫県西宮市の寺澤先生

座長は、宇都宮のきむら鍼灸の木村先生

これは、大阪・寝屋川市の西村先生
短期間で卵質が良くなった症例でした。

みなさんすごい発表ばかりでした。

特別講演1では、カリスマ培養士の木下勝治先生(醍醐渡辺クリニック培養室長・第17回日本臨床エンブリオロジスト学会大会長)から、採卵後の培養業務の詳細について豊富な動画を使って贅沢に講義していただきました。

特別講演2は、醍醐渡辺クリニック(京都、滋賀で初めて体外授精を行ったJISART認定クリニック)院長の渡辺浩彦先生の講義。

凍結前スクリーニングという、着床前スクリーニングとほぼ同じ内容の胚の鑑別をお話しいただきました。

いわき市から、不妊症鍼灸治療の研究に橋本先生

不妊症治療の研究の目的で、見学の先生が木曜午後診療に参加されています。

いわき市:常磐湯本町 さはこの湯向かい:はりきゅうはしもとの橋本修一先生です。

橋本先生は不妊鍼灸ネットワークの正会員で、私の鍼灸学校時代の大先輩です。

東京の名門・小池温灸院で修行された、人格も技術もすぐれた先生で、尊敬する鍼灸師の一人です。

昨年、東京で開催された不妊鍼灸ネットワークの研修会では、全会員を前に続発性不妊の症例発表をされました。
http://sanpei89.rakusaba.jp/?p=349

見学、とはいえ、当院の患者さんを前に私も橋本先生から学ぶことも多く、毎週木曜の午後を楽しみにしています。

来院されている患者様にはなにかとご負担をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

いわき市 はりきゅうはしもと院長の橋本修一先生:不妊鍼灸ネットワーク会員と。

いわき市 湯本 はりきゅう はしもと
http://www.89hashimoto.com/

不妊鍼灸ネットワーク公開講座 3月20日

お彼岸の真っただ中、京都で不妊鍼灸ネットワークhttp://www.kodakara.org/ の第二回公開講座が開催されます。

すでに100名の受講申し込みがありましたが、10名程度再募集を行う事になりました。

受講希望の方は、http://www.kodakara.org/kensyu/2015koukai_kyoto.html

をご覧ください。

・第一講義で三瓶が当院で日常行っている治療と対応を担当するほか、

・排卵障害、PCOSでアキュラ鍼灸院の徐大兼先生、

・着床率向上の話で、なかむら第二針療所院長 中村一徳先生、

・ほか、会員発表5題

特別講演は、JISART認定医療機関である醍醐渡辺クリニックよりドクターと培養士さんの講義があります。

・「不妊治療におけるラボワークの実際」
醍醐渡辺クリニック培養室長 木下 勝治 先生

・「クリニックにおける不妊治療の現状」
醍醐渡辺クリニック院長 渡辺 浩彦 先生

以上を予定しています。