不妊治療などでの、妊娠体質や卵の質の改善、またアレルギーや認知症の予防など、鍼灸治療ではありとあらゆる症状や疾患に人間の本質的な体の状態を改善させることを目指します。
例えば不妊治療では、何度も採卵を行い、次第に卵の質が低下してきたり採卵できる数が少なくなってきたりします。
これは治療期間が長くなればその分だけ体は老化します。卵巣の老化は考えているより早いことが多いです。
また薬や注射で卵巣を刺激すれば、それだけ卵の在庫を多く使うことになり卵巣の老化を早くします。
鍼灸やこうした老化を防ぎ、場合によっては若返らせる効果があります。
例えば下に2つのグラフは、ある難病の方の腎機能の指標である推定GFRとクレアチニンの推移を追ったものです。
推定GFRは、腎臓での濾過量を表しています。腎臓が老化するとこの数値は低下します。
この患者さんは、40ml/分/1.73立方メートルでした。1分間に40mlしか濾過していない状態でしたが、鍼灸治療を行うと12日目から濾過量が増えて、正常域まで改善しました。
通常、年齢とともに腎機能が落ちてきますが、年齢以上に悪化していくものが慢性腎不全(CKD)と言われています。
この方は病院での診断で、難病のほか慢性腎不全と言われていました。
同じ方のクレアチニンです。
やはり鍼灸開始後、10日目以降からクレアチニンが改善し、正常域になっています。
腎機能は生命力を表しているともいわれます。あらゆる症状や疾患の治療や予防に大切な機能ですし、人間の根源的なエネルギーを表しますので、不妊治療での卵子改善や男性不妊での精液所見改善にも必要なものだと思います。
なお鍼灸治療によって改善した腎機能は、鍼灸治療中止により緩やかに元の状態まで悪化してきます。その期間は結構長く、3~半年くらいのようです。
そのくらい鍼灸は効果があるのでしょう。
いろいろな症状が改善しても、2~3週に1回くらい鍼灸治療を行い健康管理をしていると、どんな方でも年齢以上に若い体になっていきます。