「不妊症・子宝治療」カテゴリーアーカイブ

11月12日のスライドを作っております

不妊症の鍼灸治療で、エビデンスはあるのか?

PubMedで調べると、1989年から3023年現在まで、215編のCT(臨床試験=Clinical Trial)、MA(メタアナリシス)、RCT(ランダム化比較試験)、Rv(レビュー)、決め手となるSR(システマティック・レビュー)があります。

Rv(レビュー)とSR(システィマティック・レビュー)は、論文としての信憑性が高まる研究で、すでに発表されている論文を集めて評価したものになります。

10年前はあまりRvもSRもなく、なるほど不妊鍼灸にエビデンスを語ることが難しかったようですが、ここ数年はだいぶ出てきたように感じます。

不妊鍼灸にエビデンスはある!

こうした内容にスライドを仕上げていきます。

 

11月12日 全日本鍼灸学会東北支部第39回学術集会の抄録

10月の日曜と祝日診療は、1日、8日、9日、15日、29日です。

日曜診療は原則前日までに予約が必要で、急患の場合でも朝9時までにご連絡ください。(予約分の診療が終わった段階で終了します)

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11月12日には、仙台国際センターで39回目となる全日本鍼灸学会東北支部の学術集会が開催されます。

テーマ:学生、初学者のための基礎的知識と鍼灸治療

https://tohoku.jsam.jp/schedule.html

鍼灸ビギナーの皆様への内容となりますが、不妊症への鍼灸治療ということで1時間、三瓶が講演させていただきます。

ブログのネタも尽きかけてきたので、抄録を掲載してみたいと思います。

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不妊症は、いまや全国の鍼灸院で普通に取り扱われている。

その鍼灸治療のための医学教養の学習・鍼灸技術の習熟についてのセミナーも、地方鍼灸師会などの団体主催、またセイリンなどに代表される企業での商用主催など多彩に行われている。

本学会でも支部学術活動から年に1回の学術大会でも参加者が多く見込める目玉セッションとして開催されている。

しかし、不妊症の一般発表は毎回数多くあっても、エビデンスに乏しいという理由から、第64回学術大会ふくしま大会(2015年郡山市開催)まで、長らく特別講演や教育講演、シンポジウム、パネルディスカッションなどの特別演題に不妊症はテーマにならなかった歴史がある。

これはそれまでPubMedなどで世界的に検索しても不妊症に鍼灸が効果的であるという良質な論文があまりなかったからである。当時広く日本国内で不妊に鍼灸治療が行われていた背景もあり、第64回学術大会ふくしま大会では、『シンポジウムなら』という条件で特別演題として企画された。

私が所属していた不妊鍼灸ネットワークやJISRAMでは、エビデンスのある手技を会員相互で検証しながら共有をしてきた。

その中でも、良好胚を獲得するための陰部神経刺鍼法の変法のパルス通電や、下腿の三陰交~陰陵泉・地機へのパルス通電などは基本的な代表手技となっている。

またJISRAMでの研究分科会では男性不妊を特に研究する『おたまじゃくしの会』を結成しその研究成果を仲間たちが日本不妊カウンセラー学会で発表してきた。

後年、すでに日本生殖学会やアンドロロジー学会などで男性不妊などを発表し、全日本鍼灸学会では高木賞を受賞した若き研究者である伊佐治景悠氏に様々なヒントをいただき、男性不妊の効果的な治療も行えるようになった。

本講ではJSRAMでの基本手技である良好胚獲得を目指す刺鍼通電法と、男性不妊の治療法を披露する。

また来年5月開催の第73回学術大会宮城大会では、64回学術大会からまた一歩深めて『難治性不妊』に関するセッションを多数企画した。

この一連の不妊関連セッションを紹介し、多職種との連携を深めながら今後日本から世界へ発出されるエビデンスの可能性を紹介する。

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要約すると・・・抄録を要約するってのも変ですが(;^ω^)

昔は、不妊治療での鍼灸なんてエビデンスもなくて学会からは相手にされていなかった。

しかし全日本鍼灸学会の64回大会(郡山開催)で、やっと学会の特別演題に入ることができた。

卵子の質の改善、男性不妊への鍼灸対応などもだんだんエビデンスが出てきて、いよいよこれから医療と協働で効果を上げていく時代が来た、っていう感じでしょうか。

もう一人の講師は、帝京平成大学 ヒューマンケア学部 鍼灸学科
の教授 今井賢治 先生ですので、恥かかないよう頑張らないと。

抄録を提出したので、今度はスライド作らないと。それも11月の2つ分作らないとです。

不妊治療で大切なこと3)子宮系、着床成績の向上に鍼灸は寄与するか

10月2日(月)より、木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付を19時30分まで延長します。 (当日の18時までにご連絡ください)

10月1日(日)は、正午まで診療いたします。 10月の日曜と祝日診療は、1日、8日、9日、15日、29日です。
※日曜診療は、原則前日までに予約が必要です。急患の場合でも朝9時までにご連絡ください。

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11月の全日本鍼灸学会東北支部学術集会で講演する内容の整理シリーズです。これをもとにスライドを組み立てていきます。

さて、良い胚を移植しても着床しない妊娠できない。

卵が先か子宮が先か。 体外受精では良い胚の獲得と並んで永遠のテーマだと思います。

近年は胚盤胞の細胞をいくつか採取して染色体の異常を検査する着床前スクリーニング・着床前診断を行う方が増えてきました。

何度も胚移植しても妊娠に至らないのは、可能性としては一番先に疑うのは胚の良否だと思います。

しかし、遺伝子を扱ううえで倫理上様々な制限があり、そう簡単に受けられないのが染色体の検査です。

さて、胚に何の問題もないと前提しての話になります。 何度も胚移植して着床しない・妊娠できないのは、子宮側に何らかの問題があると考えるのは普通のことでしょう。

子宮側の視点で反復着床障害(RIF=Repeated Implantation Failure)という病態を検査するには、

  • ALICEテスト 子宮が慢性子宮内膜炎に罹患していないか、の検査。慢性子宮内膜炎に罹患していると、まず妊娠しない着床しないと言われています。
  • ERAテスト 子宮は胚盤胞を着床させるのは数時間程度と短く、移植のタイミングがずれていないか調べるテストです。
  • ほかEMMAテスト、通常の子宮鏡による子宮内検索など行うようです。

さて、鍼灸による着床改善に関しての論文は?

あります。イエスPuMed!

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33613685/

The Effects of Acupuncture on Pregnancy Outcomes of Recurrent Implantation Failure: A Systematic Review and Meta-Analysis

日本語訳タイトル「再発性着床不全の妊娠転帰に対する鍼治療の影響:系統的レビューとメタ分析」

2021年の、最近の研究です。

目的: 体外受精・胚移植(IVF-ET)を受ける再発性着床不全(RIF)患者に対する鍼治療の有効性と安全性を系統的に評価し、臨床医と患者に信頼できるガイダンスを提供することを目指す。

【方法】 国内外の医学雑誌を検索し、IVF-ETを受けているRIFに対する鍼治療のランダム化比較試験(RCT)の文献を収集した。

メタ分析には RevMan 5.3 ソフトウェアが使用され、含まれた研究の品質を評価するためにコクランのバイアスリスク評価ツールが使用されました。

結果: 最終的に基準を満たす 7 つの文書が含まれました。 その結果、臨床的妊娠率(RR = 1.90、95% CI (1.51, 2.40)、 P < 0.05)、生化学的妊娠率(RR = 1.59、95% CI (1.27, 1.99)などの転帰において介入群(鍼灸群)の方がより寄与していることが示されました。、P < 0.05)、

胚の着床率(RR = 1.89、95% CI (1.47、2.45)、P < 0.05)、子宮内膜の厚さ(MD = 1.11、95% CI (0.59、1.63)、P < 0.05)の場合対照群と比較すると、その差は統計的に有意です。

胚移植の数と子宮内膜の種類に関して、鍼治療グループと対照グループの間の差は統計的に有意ではありませんでした。

結論: RIF患者に対する鍼治療は、患者の妊娠転帰を改善する可能性がある。 比較的有効で安全性が高く、臨床応用に適した治療法です。

ただし、含まれている研究の質は十分ではないため、このメタ分析の結論は注意して扱う必要があります。 証拠レベルの向上のためには、高品質で大量のサンプルを備えた二重盲検RCTの増加が期待されます。

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上記は7文献を検討したレビューになります。

鍼灸を行うと、体外受精での着床率と妊娠率が改善するようですが、今後さらにサンプル数を多くした研究を行う必要がある、ということです。

さて一方、世に出る前の研究ですが、京都のなかむら第二針療所の中村一徳先生の研究では、先に紹介した胚盤胞獲得率について鍼灸介入前後での研究を一部紹介しました。 https://sanpei89in.com/blog/?p=3658

中村先生の研究で鍼灸を行った方の着床率について研究したものがあります。

胚側に問題のないことはPGS合格胚を移植することでクリアしており、純粋に子宮側から見た着床のみ視野に入れた研究になります。

  • PGS(着床前スクリーニング)で染色体に問題のない胚であると確認した場合、着床率は60パーセント台。
  • 鍼灸治療を十分行ってPGS確認後の胚を移植すると80パーセント台の着床率に向上する。

早く論文化しましょう、なんでしたら統計解析と海外への論文投稿のお手伝いに会津医療センターを紹介しますよ、って言ってあり、本人もその気になってきているので(笑)、だんだんと世界に出る研究になると思います。

結論。

着床改善に、鍼灸は有効である。しかし、ERA、EMMA、ALICEテストなど陽性の場合、もちろん医療による治療が必要なのは言うまでもありません。

不妊治療で大切なこと 2)卵巣系、採卵成績の向上に鍼灸は寄与するか

10月2日(月)より、木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付を19時30分まで延長します。 (当日の18時までにご連絡ください)

10月1日(日)は、正午まで診療いたします。
※日曜診療は、原則前日までに予約が必要です。急患の場合でも朝9時までにご連絡ください。

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11月に全日本鍼灸学会東北支部学術集会で講義する内容の2番目。

卵の質を改善する。採卵の成績を向上させることに鍼灸は効果があるか。

多分、卵質の改善、採卵成績の改善とは、体外受精を受けている方、何度も受けている方は最大のテーマではないかと思います。

生物学では、受精する前は卵。受精してから『卵子』と呼ぶようになります。

受精する前の『卵』は1個の細胞ですが、染色体が普通の細胞の半分。22+1個の染色体が入っています。

ここへ、22+1個の染色体をもった精子が受精して、母方22+1、父方22+1の染色体が合わさり、44+2=46の染色体をもった1個の細胞の受精卵が出来上がります。

そして卵割と言われる分割を繰り返してやがて子宮の内膜に着床します。その後も細胞を増やしてやがて胎児ができていきます。

卵の質とは何でしょうか。

卵割を繰り返すには、膨大なエネルギーが必要だと言われます。1つは分割を繰り返すための栄養です。

これは検証することはできませんが、鍼灸をある程度行うと胚盤胞の獲得率が向上したり、採卵数が増えたりすることがあり、それが偶然ではない確率であったりします。そこから鍼灸の効果が推定できます。

PubMedでは、下記がありました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25854012/
腎虚型不妊症患者における鍼灸治療による卵子の質の改善

  • PMID: 25854012
  • 2015年のPubMed収載

方法: 腎不全(腎虚)として区別され、体外受精・胚移植(IVF-ET)を受けた年齢35歳から42歳の66例が、ランダムに観察群と対照群(各33例)に割り付けられた。

ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬を用いた長期プロトコールのIVF-ET療法が2つのグループに採用された。観察グループにて。

体外受精サイクルの月経 5 日目に、三陰交 (SP 6) に EA を適用しました。Zigong (EX CA 1)、Zhongji (CV 3)、Guanyuan (CV 4)。

対照群では、同じ経穴に偽鍼治療を適用しました。

処置は採卵日まで2日に1回与えられ、針は毎回30分間保持された。

腎不全症候群のスコア、良質卵子率の変化、2 つのグループで高品質の胚発生率と臨床的妊娠率が観察されました。

採卵日の卵胞液中のインスリン様成長因子-i(IGF-1)とIGF-2、および血清βエンドルフィンβ-EP)のレベルと、卵母細胞の品質との相関関係を2つのグループ間で比較しました

結果

1) 観察群では、治療前と比較して治療後の腎不全症候群(西洋医学的な腎不全ではなく、腎虚のこと)スコアが明らかに減少しました(P<0.05)。

観察群の治療後のスコアは対照群と比較して明らかに大幅に減少しました。 (P<0.05)。

2) 観察群の良質卵子率と良質胚率はいずれも対照群より高かった[81.3% (161/198) vs 57.6% (98/170)、59.8% (58/198) 97) vs 37.7% (26/69)、両方とも P<0.05]。

3) 対照群との比較。採卵日の卵胞液および血清β-EP中のIGF-1およびIGF-2のレベルはすべて観察群で明らかに増加した(すべてP<0.05)。

結論: EAは卵胞液および血清β-EP中のIGFの発現を効果的に改善し、高品質卵子率と高品質胚率を増加させ、腎不全(英訳のため本来は東洋医学の『腎虚』だと思われる)の症状を軽減します。

 

もう一つは、卵の染色体の質だと言われています。また精子にも不良生活や年齢による精子DNAの欠損が指摘されています。

染色体では鍼灸の出番はないと思われがちですが、この染色体の異常は『受精の際の偶然の異常』として出やすく、ここにも鍼灸は効果がありそうです。

不妊鍼灸ネットワーク、JISRAMを一緒に創設した仲間に、京都の中村一徳先生(なかむら第二針療所)がいます。

この先生の研究に、同じ卵巣刺激法を行っていた同一の患者さんで、鍼灸介入前後で採卵成績と胚盤胞獲得(到達)率を調べた世界的にも珍しい研究があります。

55人の患者さん。
鍼灸開始前 223採卵周期(回数) 採卵数838個
鍼灸治療後 180採卵周期(回数) 採卵数807個

40歳未満は、胚盤胞の獲得率が約3倍に。こんな研究があり、論文化して世界に発出していただきたいと思います。

 

ほか、このような研究もあります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19873910/
卵巣反応不良患者の体外受精・胚移植(IVF-ET)に対する電気鍼治療の効果

  • PMID: 19873910
  • 2009

方法: IVF-ETを受け入れた60例を無作為に観察群と対照群に分け、各群30例とした。

2つのグループは両方とも排卵誘発のためのアンタゴニストスキームで治療され、観察グループには電気鍼治療介入も追加され、Guanyuan(CV 4)、Taixi(KI 3)、Sanyinjiao(SP 6)などが選択されました。治療後に 2 つのグループの治療効果を比較しました。

結果: 治療前には 2 つのグループ間に有意差はありませんでした。

観察群(鍼治療グループ)の腎不全(腎虚)の症状は治療後に大幅に改善され、血清エストラジオール(E2)値、受精率、卵子成熟率、良質胚率、着床率は観察群の方が群よりも優れていました。

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)注射日の対照群(すべて P<0.05)。

観察群の卵胞液および血清中の幹細胞因子(SCF)のレベルは、対照群よりも有意に高かった(両方ともP<0.05)。

観察群の妊娠率は対照群よりも高く、観察群の中絶率は対照群よりも低かった。

結論: 電気鍼療法は、卵巣予備力が乏しい体外受精患者に対して良好な臨床効果があり、卵子の質と妊娠結果を改善することができます。

 

本日の結論。卵質の改善や採卵成績の向上に、鍼灸は効果があります。

不妊治療で大切なこと1)不妊鍼灸のエビデンスについて

10月2日(月)より、木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付を19時30分まで延長します。
(当日の18時までにご連絡ください)

9月23日(土・祝)は、午前中のみ診療します。まだ少し空きがありますのでぜひご利用ください。

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来月、仙台国際センターで開催される第39回全日本鍼灸学会東北支部学術集会の講義メモです。

1)不妊鍼灸のエビデンスについて

ながらく有料制であったPubMed。世界中の医学研究の論文を登録してあり、数年前から無料で検索できるようになりました。

大本はアメリカの厚生労働省にあたるNIHが運用しており、当院でもよく使います。ブラウザの通訳機能バンザイですね。

まずPubMedで検索します。キーワードは『infertility(不妊症) + acupuncture(鍼)』

検索の条件は、
1)Clinical Trial(臨床試験)
2)メタアナリシス
3)RCT(ランダム化比較試験)
4)レビュー
5)システィマティック・レビュー

以上で調べました。
すなわち、多数の患者を扱った臨床試験や論文、多数の論文を比較検討した論文の数は213編ありました。

結果は →(短縮URL) https://is.gd/qEJnJ1

結果からいうと総論的に不妊症に『有効』であり、エビデンスがあると言えます。

鍼灸師の先生方には、不妊鍼灸には『エビデンスがある』と自信を持っていただきたいです。

代表的なシスティマティック・レビューを挙げてみます。

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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35222669/
”女性不妊症の治療法としての鍼治療:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタアナリシス”
Kewei Quan Chuyi YuXiaohui WenQiuping LinNaiping Wang Hongxia Ma
PMID: 35222669 PMCID: PMC8865966
DOI: 10.1155/2022/3595033 2022年

結語:”7,676 人の参加者による 27 件の研究が含まれていました。その結果、(鍼灸)介入群は出生率(RR = 1.34; 95% CI (1.07, 1.67); P < 0.05)、臨床妊娠率(RR = 1.43; 95% CI (1.21, 1.69))などの転帰においてより多く寄与していることが示された。 ; P < 0.05)、

生化学的妊娠率 (RR = 1.42; 95% CI (1.05, 1.91); P < 0.05)、

継続妊娠率 (RR = 1.25; 95% CI (0.88, 1.79); P < 0.05)、

有害事象 (RR = 1.65; 95% CI (1.15, 2.36); P < 0.05)、

および移植率 (MD = 1.19; 95% CI (1.07, 1.33); P< 0.05)、対照グループと比較した場合、その差は統計的に有意です。”

ほか

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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18843737/
”鍼治療と妊娠補助”
Ying C Cheong Ernest Hung Yu NgWilliam L Ledger
PMID: 18843737 DOI: 10.1002/14651858.CD006920.pub2
2008年

結語: 胚移植 (ET) 当日に鍼治療を行った場合、出生率 (OR 1.89、95% CI 1.29 ~ 2.77) に利点があるという証拠がありますが、ET の 2 ~ 3 日後に鍼治療を行った場合にはそうではありません ( OR 1.79、95% CI 0.93 ~ 3.44)。

採卵前後に鍼治療を行った場合、妊娠結果に利益があるという証拠はありません。

ほか

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”生殖補助医療(ART)を受けていない不妊女性への鍼治療:系統的レビューとメタ分析”
Liu Yun Wu Liqun Yao ShuqiWu ChunxiaoLu Liming Yi Wei 
PMID: 31335705 PMCID: PMC6709164 DOI: 10.1097/MD.0000000000016463
2019年

結語:妊娠率は、対照群と比較して、治療により有意に改善されました(RR = 1.84、95% CI 1.62 ~ 2.10、P < 0.00001)。

サブグループ分析の結果、純粋な西洋医学による介入と比較すると、鍼単独、鍼治療と西洋医学、鍼治療と中国医学、または鍼治療と中国医学と西洋医学のいずれの介入であっても、これらのサブグループすべてで有意な改善が見られたことが示されました。

不妊症の種類に応じたサブグループでは、多嚢胞性卵巣症候群、卵管性不妊症、排卵障害などの原因による不妊症が大幅に改善されたことが示されました。

さらに、排卵率と子宮内膜の厚さが大幅に増加しました。LHレベルは明らかに低下していました。

さらに、鍼治療を行うことで、悪影響が少なくなりました。

ファネルプロットにより、出版バイアスが存在する可能性があることが明らかになりました。含まれているすべての試験には、割り当ての隠蔽、参加者と職員の盲検化、結果評価の盲検化、選択的報告、およびその他のバイアスの側面において不明確なリスクがありました。ランダム配列生成におけるリスクが不明瞭であると評価された研究は 1 件のみでした。

不完全な結果データでは、1 件を除いてすべての研究が低リスクでした。

ほか、36編(合計39編)のシスティマティック・レビューがありますが、ほとんどの論文で鍼灸が有効と書かれています。

ただし今後多くの研究を重ねて検証していく必要がある、と書かれているものが多い印象がありました。

また多嚢胞性卵巣、鍼灸内膜症関連でも不妊に関しては鍼灸は有効、というものがありました。後日紹介します。

なお、こうした不妊鍼灸に関しての報告は近年になってから多くなった印象があります。

不妊治療で大切なこと 11月の全日本鍼灸学会東北支部学術集会で講演します

10月2日(月)より、木曜日以外の平日(月・火・水・金)の最終受付を19時30分まで延長します。
(当日の18時までにご連絡ください)

9月23日(土・祝)は、午前中のみ診療します。まだ少し空きがありますのでぜひご利用ください。

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来たる11月12日(日)、仙台国際センターで開催される第39回全日本鍼灸学会東北支部学術集会で、講演させていただくことになりました。

演題は『初学者のための不妊症への鍼灸アプローチ』です。

持ち時間が1時間しかありませんので、リンクを貼ったカナケンさんのセミナー(3時間超)をかなり圧縮しないとなりません。

主に話す内容は、

1)不妊症のエビデンスについて

2)卵巣系、採卵成績の向上に鍼灸は寄与するか

3)子宮系、着床成績の向上に鍼灸は寄与するか

4)男性不妊の改善、精液所見の改善に鍼灸は寄与するか

5)気を付けねばならない症例、患者さんについて

この辺りでお話ししようと思います。
(1~5の各論は、追って追記していきます)

主に他人の研究結果の引用になりますが、先日紹介したPubMedに掲載される以前の、新鮮な研究を多数知っております。

副会長を務めた不妊鍼灸ネットワーク、副会長と監事(監査役)を務めたJISAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の仲間たちの研究ですが、やがて世界のエビデンスに育っていくはずです。

来年開催で実行委員長を拝命している第73回(公社)全日本鍼灸学会学術大会宮城大会では、教育講演でこの話題に触れ、シンポジウムでは福島県立医科大学生殖医療センターのセンター長(医師)、カウンセラー(鍼灸師)、香川県・厚仁病院生殖センター鍼灸ルーム長(鍼灸師)によるシンポジウムで、多職種連携の中での鍼灸師の役割を探ります。

採卵成績改善ではおそらく世界が注目するようなデータを持っている京都の鍼灸師によるランチョンセミナーを企画しています。

実技セッションでは、おそらく男性不妊では日本一の京都の鍼灸師の鍼灸実技を披露します。

生殖医療分野は、おそらくもっとも研究が進んだ医学分野だと思います。しかし、人間には生き物である以上加齢があり肉体の劣化があります。鍼灸はそもそも体の治癒力を使って様々な病気や書状に対応します。

ということは、加齢に対して若返りの効果もある。ということになるでしょう。最先端の医学技術に、古臭いですが古来の東洋医学を補助的に使う、現代医学を手伝わせていただくことで、不妊に嘆くカップルが一組でも少なくなるよう、統合医療を組み立てていきたいと思います。

 

 

不妊の鍼灸治療で大切なこと

当院の最近の不妊治療の傾向

昨年の4月から不妊治療に健康保険が使えるようになり、当院ばかりではないと思いますが、鍼灸院に通われる患者さんが、だいぶ少なくなって来たと感じます。

当院の状況ばかりではなく、セミナーなどで受講される先生や、私が受講した講習会の講師の先生方も同じ印象だそうでした。

また、世間一般の鍼灸院で普通に不妊治療を受けられるようになり、わざわざ遠方の当院まで足を運ばなくとも、近くの鍼灸院へ行けば受けられる、と言う事もあるでしょう。

最近当院に通われている方は、やはり体外受精を繰り返していたり採卵しても移植まていける卵子・胚にならない、と言うような方や、何度も流産を繰り返すと言う気の毒な方ばかりです。

鍼灸はこう言う方にこそ役立ち、今年に入って鍼灸を開始した方はだいたい良い結果が得られているようです。

今月は十分な治療期間を定めて採卵に復帰した方が3人おられます。

採卵の結果が楽しみです。

また鍼灸を続けながらだと、普通は年齢とともに落ちてゆく採卵の成績も、そう変わらないで継続できることが多いです。

鍼灸は、現代医学が効果を表しやすい、体の土台を作ります。

来週再来週には採卵後の凍結結果がわかる方が3人うますが、さて結果やいかに?

不妊の鍼灸治療で大切なこと

8月の最後の日曜日は、長らく当院で取引している鍼灸材料の問屋さん、カナケンさんの主催セミナーの講師を務めます。

今までずいぶんと、全国の鍼灸師会や学会、今回のカナケンさんのセミナーなどで講演させていただきました。

不妊治療は話す事が多く、だいたい3時間のコースで依頼される事が多いです。

今現在、パワーポイントのスライドは100枚くらい。これを絞らないと実技も入るから3時間では終わりません。

大切な内容に絞ると、

1.排卵障害への対応

多嚢胞性卵巣PCOSなどへの対応で、なかなか排卵誘発に反応しなくなったような方への対応ですが、鍼灸治療自体は、体外受精を受けている方への採卵成績改善の治療と共通する事が多いです。

2.子宮内膜症体質への対応

続発性の月経痛がある方は、このような体質を疑い鍼灸治療を進めます。チョコレート嚢腫があったり、AMH抗ミューラー管ホルモンの低い、若くして卵巣予備能が低下している方が多いので、対応は非常に要注意です。

3.採卵成績改善・卵質の改善

これは、いつか学会で発表しようと思ってますが、同じ方で鍼灸介入前後で卵巣の刺激法が同じ方。つまりクロミッドやフェマーラなどの低刺激法、hMGやフォリスチム注射などの高刺激でも、鍼灸開始前後で変わらなかった方で、鍼灸開始後は最後に凍結できた卵子の数が優位に多くなります。

また胚盤胞の獲得率や、グレードも高くなる方が多いです。

これは妊娠には良い卵・胚が大切なので、自然妊娠にも必要です。

4.男性不妊への対応

当院では精液所見を顕微鏡で客観的に評価しながら鍼灸を行っていますが、だいぶ鍼灸の効果を実感します。

精液所見改善は、体外受精ばかりではなく自然妊娠にも必要ですから、大切な治療です。

実際に、数や運動率の変化を顕微鏡の動画を見ながら解説して行きます。

5.ストレスへの対応

あらゆる治療の基礎になります。なぜ鍼灸が効果を表すか。やはり脳の報酬系の改善です。日本式鍼灸の効果でしょう。

ストレスへの対応は、不妊ばかりではなく、流産のリスクをいくらか低下させたり、健やかに妊娠期を過ごすのに役立ちます。

こんな話で3時間講義します。