「不妊症・子宝治療」カテゴリーアーカイブ

うれしかったこと

昨日はとても嬉しい事がありました。

カルテを見ると、4年以上も通われている方。

個人情報を伏せても、あまり書けないほど様々な事がありました。

大学病院のご紹介。不成功を数え様々な治療を乗り越えてのやっとの妊娠。

ご出産の日を楽しみにしていての、突然の不幸。

治療に復帰しても、なかなか妊娠せず。

さすがに初診から4年経ち、年齢的に厳しくなって来たところ。

今度はしっかり妊娠して、昨日は胎児心拍も確認できました。

初診時から4年経っていても、卵巣の機能があまり衰えておらす。やはり鍼灸は効果があったなでしょう。

帰ってきた赤ちゃん。しっかり育ちますように。

第73回全日本鍼灸学会のこと(3) PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前気分不快症状)についての日本産科婦人科学会ガイドラインについて

第73回全日本鍼灸学会(宮城大会)では、実にエキサイティングなセッションを企画してました。

全日本鍼灸学会と、日本産科婦人科学会の事実上の共同企画であるセッションも、名誉なことに私がコーディネートさせていただきました。

全日本鍼灸学会・日本産科婦人科学会特別共同企画
「月経前症候群・月経前不快気分障害診断治療管理指針コンセンサスミーティング ~鍼灸師の皆様のご意見をお聞かせください」

日本産科婦人科学会女性ヘルスケア委員会委員である、近畿大学東洋医学研究所教授である武田卓先生と、明治国際医療大学講師の田口玲奈先生の登壇でした。

鍼灸院でも普通に扱う『月経前症候群=PMS』(生理前に頭痛や腰痛、イライラが強くなるとか)と、『月経前気分不快障害=PMDD』不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラなど出現』について、日本産科婦人科学会でのガイドライン作成について鍼灸師の方々に意見を伺うというセッションでした。

PMSやPMDDについての解説を行い、非薬物療法での章で鍼灸の記載について、フロアの鍼灸師の皆さんから『こんな起債で良いか』と意見を伺うものでした。

実際にフロアから意見を上げてくるのは、大学医学部の先生方が多く、順天堂医学部の大学院の先生だとか、そういった方々が鍼灸の基礎研究をされていることに、ちょっと嬉しかったり。

当院では不妊をよく扱いますが、それ以外このように産科婦人科領域でも知識を深めています。

第73回全日本鍼灸学会のこと(2)難治性不妊

5月の全日本鍼灸学会では、『生殖医療における鍼灸の役割(難治性不妊の治療の現状と未来)』と題したシンポジウムも企画しました。

日本での鍼灸による不妊治療の草分け、名古屋の明生鍼灸院の木津正義先生(写真右)と私(三瓶)のダブル座長。

生殖医療専門医は、福島県立医大・生殖医療センター病院教授の菅沼亮太先生。

菅沼先生からは、生殖医療の歴史から、アメリカ生殖医療学会の鍼灸を推奨するガイドラインを紹介いただきました。

当院でも大変難しい患者さんでお世話になっているドクターです。

また、生殖医療カウンセラーでは、同じく福島県立医大・生殖医療センターのカウンセラーである本田明奈先生。

本田先生からは、カウンセラー業務を通しての様々な知見をご発表頂きました。

最後のシンポジストは、四国・香川県丸亀市の厚仁病院生殖医療部門から登壇いただいた、松田尚香先生

すでに生殖医療の中で活躍する鍼灸師としての立場から、実際の鍼灸を取り入れたチーム医療についてお話しいただきました。

第73回全日本鍼灸学会のこと(1)

先月末に開催した学会の話を数話書いて行きたいと思います。

この学会は、世界鍼灸学会連合(WFAS)に加盟している日本最大の鍼灸学会です。

年に一回学術大会を開催しています。

9年前に郡山で第64回大会を開催し、次は仙台に回って来ました。

大会の会頭は東北大の高山教授。私は実行委員長を仰せつかり、準備期間はほぼ4年。

立場上、大会の企画に深く関与することができたので、不妊のセッションを多数企画しました。

僭越ながら、『不妊鍼灸の特別演題入りとこれから』と題し、400人定員の会場で教育講演1を講演させていただきました。

不妊症に対する鍼灸治療は、今やしっかりしたエビデンスがありますが、そのほとんどは海外のものばかりです。

日本から質の高いエビデンスを発信する必要がある、という内容でお話ししました。

座長は、同じ福島県郡山市で鍼灸サロンLiberaを開業する益子勝良先生。不妊症に関する卓越した知識と経験から座長をお願いしました。

もし郡山近辺で不妊治療を受けられる際は、益子先生をおすすめいたします。(郡山市 富久山 鍼灸サロンLibera)

もちろん、白河市近辺の不妊症の鍼灸治療は当院へどうぞ!

講演の要旨は↓こちら(^^♪

11月12日のスライドを作っております

 

全日本鍼灸学会宮城大会 無事閉会しました

<日曜・休日診療>
6月2日(日) 朝8時~正午まで診療します。
6月9日(日) 朝8時~正午まで診療します。
6月16日(日) 朝8時~正午まで診療します。
6月30日(日)朝8時~朝9時(4名限定)します

6月23日(日)日本鍼灸師会東北ブロック会議(青森)のため休診

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数年来、準備に奔走してきた第73回(公社)全日本鍼灸学会学術大会宮城大会は、5月24日(金)~26日(日)の3日間、仙台国際センターを舞台に、1,553名の参加登録を集め、大成功で閉幕しました(^^♪

この3年間。最後の3ヶ月は夜も昼もない毎日でした。

仙台国際センターを全館借り切りで開催。

会場費だけで莫大な金額でした(;^ω^)

私、実行委員長でしたので、開会宣言をさせていただきました。

開会式はメインホール第1会場。1,000人収容です。

左はじが私。お隣は大会会頭の東北大の高山先生です。

プログラムは2日間。全50セッションで94講演。マンモス学会でした(;^ω^)

私が企画したプログラムもいくつかあり、日本の不妊鍼灸のなかで、足跡を付けられたと自負しています。

おいおいと紹介していきます。

 

原因不明の不妊を考える 男性因子は??

一昨年書いた記事。

原因不明不妊にも原因?要因がある、男性因子編です。

不妊症の約半分の原因は男性にあることは周知のことと思います。

そこで『男性不妊』の基準を挙げてみたいと思います。

WHO(世界保健機構)で、『これ以下だったら自然妊娠はまず不可能』という、最低基準が昨年改訂されました。

今まで広く全世界で使われていた基準は2010年版で、最新版は2021年版。

なぜに、精液の基準がこれくらいの数値ですよ、という由来は、過去の記事で書いています

WHO精液基準2010年版と、2021年版の比較は下のスライドとなります。あまり変わってはいません。

当院で挙児を望む患者さん(多くは女性)の初診時に、ご主人の精液所見について尋ねると、ほとんどの方は『医師に大丈夫と言われました』とか、『ちょっと少ないかもと言われた』とかあまり正確に答えられない方がほとんどです。

実際に妊娠したカップルの男性の精液所見はどうなっているかという調査報告があります。

聖マリアンナ医科大学の岩本教授(現・国際医療福祉大学教授)の調査報告では、全体で1ミリリットル中の精子は平均1億匹、運動率も56%くらいであったということです。

しかも、精液濃度の中央値は8200万匹だったそうです。WHOの基準ですと1500万とか1600万ですが。

いかがでしょうか?

WHOの精液基準を満たしているからと言って、全く安心できないことがわかると思います。

精液所見が低ければ、妊娠に至るまでの期間が長くかかることが大いにあり得ます。

当院では事前に検査した精液測定の数値を確認し、必要があれば当院へ持ち込んでいただいた精液を再測定しています。

卵子を調べることは大変ですが、射精した精子を測定することは鍼灸院レベルでも可能です。

また当院では男性不妊の鍼灸治療を行ってます。

子宮内膜症既往の不妊の方

チョコレート嚢腫手術の既往のある患者さん

昨年の8月から不妊で来院している方。

20代の半ばに卵巣のチョコレート嚢腫で片側の卵巣を内視鏡で部分手術し、30代初めとなった今は月経の周期が25日くらい。

卵巣機能低下による高FSH状態による頻発月経状態(一ヶ月に2回月経)と低AMHで閉経が早くなる早発閉経予備軍と判断し、鍼灸治療開始後、3ヶ月で国際医療福祉大学を紹介させていただきました。

当院での卵巣機能改善、卵子の質の改善を目指した治療をしながら、紹介先でのリプロダクションセンターでの諸検査中に自然妊娠。

喜んだのもつかの間、胎嚢確認できずに化学流産へ。

再度自然妊娠

その翌周期からはリプロダクションセンターでも積極的な治療を開始したらしく、プロミッドを使ったタイミング指導から始まり、2周期目で再度妊娠。

前回、化学流産した周期から1周期置いた周期です。

数年妊娠しなかったのが、3か月に2回妊娠ですので、やはり鍼灸は妊娠する体質へ体を変えるのでしょう。

定期的な治療継続が効果をもたらす

この患者さんは、時々2週に1回になる時がありましたが、週に一回真面目に通われていました。

体質改善のためには、継続した治療が必要です。

前回の治療の効果が残っているうちに、次の治療を重ねると、効果も重なっていきます。

せっかく治療を始めたのならぜひ真面目に継続しましょう。

難しいPCOS 多嚢胞性卵巣について 

肥満を伴わない、男性化が見られないPCOがアジア人種、特に日本人に多く、当院にもやせ形ですらっとしたPCOの方が多くいらっしゃいます。

こうしたタイプは多くは月経不順も軽度で、長くても45日くらいで来潮される方がほとんどです。

一方、筋肉太り、肥満、多毛などの男性化が見られるPCOの方も一部にはいらっしゃいます。

こうした方は、月経の周期も非常に長く、たとえば次の月経まで何もしなけれな100日を超したりするかたがおられます。
なかなか月経が来ないので、産婦人科の外来で注射をしたりしてリセットされる方も多いことでしょう。

鍼灸を行ってもなかなか月経の周期が整わない、また鍼灸をしながらの人工授精や体外受精でもなかなか妊娠されない方には、肥満型や筋肉太りのなどの方が多いです。

もしBMIが25以上の肥満傾向がある方、筋肉太りだと思われている方は体重の5%くらいの減量を目指してダイエットや運動などをされると改善することがあります。
もちろん鍼灸をしながらダイエットをなどを行うとさらに良いと思います。

肥満のPCO方の脂肪細胞にはアディポネクチンという血漿蛋白が低下しており、これがインスリン抵抗性を引き起こし結果的に未熟な閉鎖卵胞を多くしている、という事です。

数年前の不妊カウンセリング学会の発表では、クロミッドの効きにくくなったPCOの方が5~10%のダイエットにより、またクロミッドによる排卵誘発が有効になってきた、という多症例の報告もありました。

多嚢胞性卵巣でもし肥満傾向があれば、ぜひダイエットをおすすめいたします。やせ型が多い日本人のPCOであっても、やはりPCOはインリン抵抗性と高LH環境、高アンドロゲンが関与しますので、適度な運動は大切です。

またPCOであっても鍼灸は卵の質を改善します。
順調に排卵されるようになった時に『良い卵』になっているように、鍼灸をおすすめいたします。